いばら美喜「謎の恐怖少女」(1988年4月15日第1刷発行)

「M県花見市に住む、平凡な中学生、牧村今日子はたった一つだけ常人とは違っていた。
 彼女は、如何なるものにも、全く恐怖というものを感じない、無恐怖症だったのである。
 ある春の季節、花見市では若い男女が毎日、急死していく。
 原因はさっぱりわからないが、死因は極度の恐怖に襲われたことによるショック死らしい。
 今日子も二度、その怪死の原因である、モンスターに襲われる幻覚に見舞われるが、無恐怖症のため、何も感じない。
 そんな今日子を、町の高台にある別荘から見守る男女があった。
 男女は、冥界からの使者と、その助手を務めるしのぶ。
 冥界からの使者は、冥界の若返りのために、若い人間をあの世に送り込むべく、この世を訪れており、一月前にこの町に移って来た。
 また、しのぶは、交通事故で瀕死の重傷を負っていたところを、冥界からの使者に助けられ、二目と見られぬ顔も復元してもらった恩があり、彼に忠実に仕えていた。
 二人は一対の合わせ鏡を片方ずつ持っており、しのぶがショック死させたい人を鏡に映し、冥界の使者の鏡と合わせると、その人は幻覚に襲われ、ショック死する。
 ある日、今日子の姉が、しのぶの顔に移植する皮膚のために、しのぶの両親にさらわれてしまう。
 今日子は、その現場を目撃し、冥界からの使者の住む別荘にやって来る。
 冥界からの使者は、今日子に幻覚が通用しないことを知ると、直接、手を下すことを決意する。
 良心の呵責に耐えかねた、しのぶは、今日子達を救おうとするのだが…」

 いばら美喜先生の最後の単行本です。(遺作なのでしょうか?)
 1988年の発行で、発行部数が少なかったのか、ちょっと入手困難です。
 というワケで、知名度は低いのですが、ストーリーはなかなか面白いです。
 ラストの「生死の境」でのバトルや長く伸びた爪での人体スライス等、見どころもバッチリあり、良作だと思います。
 それにしても、幻覚描写に当時のホラー映画の影響がダイレクトに現れていて、感慨深くありました。
 いばら美喜先生のマンガでグロいゾンビが見れるのは、このマンガだけでしょうね。

2017年6月12日 ページ作成・執筆

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