日野日出志「地獄虫を食う! 鬼んぼ@」(1987年7月15日第1刷発行)

 人間の心の闇に潜む地獄虫が大好物の妖怪、鬼んぼ。
 鬼んぼは今日も、地獄虫が寄生した人間を探して、さまよい歩く…

・「妖怪鬼んぼ登場の巻」
 水泳が得意な山田ひろしは、市民プールで溺れたことをきっかけに、水恐怖症になる。
 水の中に、水死人の幻影が現れ、彼を水の中に引きずり込もうとするのであった。
 彼に目を付けた鬼んぼが、彼の心に忍び込んで、水死人の幻影の理由を探ると…

・「よみがえった悪霊の巻」
「新学期。
 マキのクラスの担任は、陰気な中年の男教師。
 彼を目にして以来、マキは奇怪な幻覚に悩まされるようになる。
 その幻覚は、人が凶器で惨殺されたり、殺人鬼が人を殺害するといった猟奇的なものであった。
 ある日、授業で、彼女は担任の額に穴があき、血が噴き出すという幻覚を見て、気絶。
 彼女が休んでいる間、鬼んぼが彼女の心を覗くと、彼女の過去に謎を解く鍵があった…

・「孤独に住むばけものの巻」
 早苗田予備校女子寮に住む、陰気な娘、中山。
 彼女は、グロテスクな化け物の幻覚に幾度となく襲われる。
 友人が全くいない孤独の中、自分が狂っているという不安が彼女を追い詰めていく。
 鬼んぼは、彼女の前に現れる化け物の正体に興味を持つが…

・「魔虫んぼ登場の巻」
「育児真っ最中の山田の奥さん。
 彼女の赤ん坊が、怪物に変身し、彼女を襲うようになる。
 鬼んぼは赤ん坊に何者かの霊が憑りついていることに気付き、彼女の心の奥を探る。
 霊の正体とは…?
 そして、鬼んぼの前に、ライバル(?)の「魔虫んぼ」が現れる…

 マイナーな怪奇漫画雑誌「mako」に掲載されていた作品と思われますが、二冊しか持っていないので、はっきりとわかりません。
 グロ描写は多いものの、主人公の鬼んぼからして能天気キャラであるため、内容はユルく、大概、ハートウォーミングな結末を迎えます。(個人的には、後味すっきりでいいと思います。)
 とにもかくにも、印象に残るのは、鬼んぼの呪文「シデヒノヒ ラナムヨ ガンマ!」。
 これを目にしたために、今、こうして、この作品についての文章を書いているのであります。

2019年6月21日 ページ作成・執筆

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