日野日出志「地獄虫を食う! 鬼んぼA」(1988年6月15日第1刷発行)
人間の心の闇に潜む地獄虫が大好物の妖怪、鬼んぼ。
鬼んぼは今日も、地獄虫が寄生した人間を探して、さまよい歩く…
・「怪物が住む学園の巻」
「高校への受験勉強に駆り立てられる女子中学生、川村ひとみ。
彼女は、家では母親に、学校では先生に叱咤され、心が休まる時がない。
そのうち、彼女は学校で恐ろしい幻覚に襲われるようになる。
遂に倒れてしまった彼女の地獄虫を鬼んぼが食べようとした時、天井裏に何やら気配がある。
それは「んぼ族」(注1)の少女、「姫んぼ」であった。
更に、魔虫んぼも加わって…」
・「孤独の部屋の恐怖の巻」
「鬼んぼが目を付けている少女、かな。
彼女は突如、家に引きこもるようになる。
父親が仕事で不在のため、母親は娘の異変にうろたえるばかり。
ある夜、かなは、大切な人形を包丁で滅多刺しにして、鋸で解体。
それを畳の下の地面に埋めようとする。
どうも彼女には何者かの霊が憑いているようなのだが…」
・「マムシの守り神の巻」
「残酷な動物実験にひたる女子高生、中村。
彼女はスケバングループに脅され、家で好き放題されていた。
いじめられ、荒んだ彼女は、冬眠中のマムシを「救い神」として大切にする。
ある日、スケバン達への我慢が限界に達した時、彼女はマムシを用いて復讐しようとするが…」
・「まだまだいるぜ地獄虫の巻」
「頭が割れたり、髪が抜けるといった幻覚に悩まされる少女、亜矢。
それは彼女の幼少期のトラウマとコンプレックスが原因となっていた。
鬼んぼが彼女の地獄虫を食べようとすると、強敵「蠍んぼ」が彼の前に立ちはだかる…」
この巻では、鬼んぼに、魔虫んぼ、姫んぼといった仲間(?)ができ、能天気度がアップしております。
コミカルな描写が増える一方で、グロ描写は相変わらず、どす黒く陰惨で、そのギャップがなんちゅ〜か、違和感ありまくりです。
もしかしたら、このコミカルな部分が、日野先生が本来、描きたかったものなのかもしれません。
個人的には、読後、何故か、心が温かくなっているという不思議な作品です。
・注1
「んぼ族」は、単行本の前袖で述べられているだけで、詳しい説明はありません。
多分、「地獄虫を食べる妖怪」の総称のことでありましょう。
ネーミングは「(固有名詞)+んぼ」で、「鬼んぼ」「魔虫んぼ」「姫んぼ」「蠍んぼ」といった感じです。
何か、凄く投げやりだなあ〜。
2019年6月23日 ページ作成・執筆