森由岐子「おいてけ堀の蛇女」(1983年3月15日第1刷・1984年12月15日第5刷発行)

「真田家は元・庄屋の、M村一の大家。
 家族は主の真田省二、妻の鈴子、一人娘の美保の三人で、省二は村長として日々忙しく働いていた。
 冬のある日、鈴子は風邪をこじらせて、それが腎炎に悪化し、床に臥せるようになる。
 小さい娘もいるため、省二が弱っているところ、真田家を一人の女性が訪れる。
 彼女の名は高木マヤといい、自殺に失敗し、助けを求めに来たのであった。
 以来、マヤは真田家に住み込み、鈴子や美保の面倒を看るようになる。
 だが、マヤの正体は、悪事の限りを尽くしてきた毒婦であった。
 マヤは毎日、鈴子に毒薬を盛り、遂には、おいてけ堀の突き落として、溺死させる。
 鈴子の死は病を苦にした自殺と処理され、一年後、省二はマヤと再婚する。
 妻の座に納まったとたん、マヤはその本性を現し、省二の目の届かないところで、美保への虐待を開始する。
 しかし、奇妙な女性が、美保へのいじめを邪魔し、数々の怪異でマヤを精神的に追い詰めていく。
 その奇妙な女性は、以前、鈴子に命を助けてもらった、おいてけ堀の白蛇であった…」

 森由岐子先生による「蛇女もの」です。
 一昔前の怪奇漫画家は皆と言っていいほど、「蛇女もの」を描いておりましたが、森由岐子先生はあまり作品数は多くない気がします。(他は「生首村の花嫁」ぐらい?)
 また、蛇女も、楳図かずお先生の作品のような、人を襲うモンスター・タイプではなく、ヒロインの少女を守る、善の存在です。
 個人的には、森由岐子先生の作品の方が、ストーリーの輪郭がしっかりしていて面白いと思います。
 あと、蛇少女の手や首が伸びる際の擬態語「にゅわ」に感銘を受けました。手書きの文字が味わいを増しております。

2019年1月26・27日 ページ作成・執筆

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