森由岐子「ママは吸血鬼」(1982年12月15日第1刷・1986年7月15日第9刷発行)

「伊代は征木財閥のお嬢様。
 ある日、海外から戻った父親が、新しい母親を連れて来る。
 継母の名は彩子といい、母親の老婆と共に屋敷に住むこととなる。
 彩子は非常に美しく、屋敷の使用人からも評判は上々。
 だが、伊代はどうしても新しい母親になじめない。
 更に、父親が海外に出張に出てから、伊代の周囲では奇怪な出来事が起こるようになる。
 彩子の母親と呼ばれている老婆はどうも、彩子の娘らしいこと。
 バラ園で彩子に誘惑されるたびに、兄の真也が衰弱していくこと。
 そして、屋敷で飼われている鳩や鯉の数がどんどん減っていること。
 伊代は彩子の正体を暴こうとするものの、全て妄想で片付けられてしまう。
 そんなある日、解雇された女中であるお里の息子、公一が屋敷を訪ねてくる。
 彼は、母親と音信不通になったことを不審に思っていた。
 伊代は彼に事情を話し、助けを求めるのだが…」

 「後妻が屋敷でスリラー・ショック」と並ぶ、森由岐子先生の鉄壁パターン「継母が化け物でスリラー・ショック」ものです。
 この作品で印象に残るのは、吸血鬼の継母…ではなくて、真也や公一といった優男キャラ。
 この人達、あまりに日本人離れした容姿をしておりまして、西洋のアイドル歌手のような、ロンゲのイケメンです。手足はもちろん、蜘蛛のようにひょろ長いです。
 作者の趣味と言われればそれまででしょうが、息子はバリバリのイケメンなのに、親は普通のおっちゃんやおばちゃんなので、違和感の方が際立っているように思います。

・備考
 後半、水濡れの痕や歪みあり。最終ページの下側、欠損あり。

2019年1月19日 ページ作成・執筆

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