飯沼ゆうき
「アカゴヒガン@」(2020年12月23日初版第1刷発行)
「アカゴヒガンA」(2021年4月24日初版第1刷発行)
「アカゴヒガンB」(2021年7月24日初版第1刷発行)
「アカゴヒガンC」(2021年11月24日初版第1刷発行)



・「第1話 孵化」(単行本@/「月刊サンデーGXデジタル版」2020年8月号)
「立木梅子は赤ちゃんが大好きな産婦人科医。
 彼女は幼い頃、父子家庭で、父親からDVを受けていたが、隣人の立木家に保護され、家族の一員として育てられる。
 その後、一人息子の立木ハルトと結婚するも、彼女の想いに反して、なかなか子宝に恵まれなかった。
 不妊治療を初めて三年、治療の結果が出る日、病院で異変が起きる…」

・「第2話 殺戮」(単行本@/「月刊サンデーGXデジタル版」2020年9月号)
「次々と怪物と化していく新生児たち。
 彼らは親も医者も見境なく殺していく。
 梅子はなるべく多くの命を救おうとするが、彼女はあまりに無力であった。
 病院内をさまよううち、彼女はハルトと再会するが…」

・「第3話 受胎」(単行本@/「月刊サンデーGXデジタル版」2020年10月号)
「ハルトは怪物に襲われるが、赤ん坊の習性により助かる。
 二人は診察室に隠れ、梅子はハルトの治療をする。
 その時、ハルトは梅子に、検査の結果、彼女が妊娠していることを告げる。
 状況をわきまえずに梅子は小躍りして喜び、そのせいで怪物を招き寄せてしまう。
 二人は窓から脱出しようとするが、病院の外では…」

・「第4話 愛情」(単行本@/「月刊サンデーGXデジタル版」2020年11月号)
「梅子は怪物化した赤ん坊たちに取り囲まれる。
 怪物になっても基本は赤ん坊なので、その習性を利用すれば、ここから脱出できるチャンスがある。
 しかし、彼女の赤ん坊を想う気持ちが彼女を窮地に追い込む破目に…」

・「第5話 脱出」(単行本A/「月刊サンデーGXデジタル版」2020年12月号)
「梅子は入院患者の身内の子供に助けられ、地下の霊安室に連れ込まれる。
 しかし、ここにも怪物化した赤ん坊がおり、地上へ上がる階段は崩落して通れない。
 そこで梅子はエレベーターのワイヤーを登ろうと考える。
 だが、エレベーター・シャフトの底にも怪物化した赤ん坊が口を開いていた。
 絶体絶命の時、その場にヤクザの息子が現れる。
 彼は自分の娘を捜しており…」

・「第6話 父親」(単行本A/「月刊サンデーGXデジタル版」2021年1月号)
「梅子たちはエレベーターワイヤーを登る。
 その時、上階からエレベーターが降りてくる。
 急いで一階の扉を開けようとするもびくともしない。
 ヤクザの息子は底にある機械室への避難を提案する。
 そのためには、底にいる赤ん坊を殺さねばならない。
 梅子は必死に止めるが、その理由とは…?」

・「第7話 跳躍」(単行本A/「月刊サンデーGXデジタル版」2021年2月号)
「一階で梅子は四組の夫婦(瀬戸冬夜・雪子、山野新樹・若葉、泉・蛍夫妻、あと一組の名前は不明)と出会う。
 また、母親らしき女性のそばには赤ん坊がいたが、この子は変身からもとに戻ったという。
 どうやら怪物化した赤ん坊を元に戻すには抱きしめればいいらしい。
 瀬戸夫婦は正面玄関を塞いでいる我が子を救うため、命を賭けて立ち向かう…」

・「第8話 選別」(単行本A/「月刊サンデーGXデジタル版」2021年3月号)
「病院から脱出できたものの、町の様子は一変していた。
 白い霧が立ち込め、病院の前には羊水の湖ができていた。
 その中では巨大な魚と化した赤ん坊が泳いでいたが、それは山野新樹・若葉の子供であった。
 山野若菜は子供を救おうとするが…。
 更に、梅子たちの前にママ友サークル「芽吹き」が現れる。
 「芽吹き」は子供を喪った母親が中心となって作られた自助サークルで、リーダーは蛍、そして、その下に幹部の不知火がいた。
 不知火はエキセントリックな性格で、事態はますます混迷の度を深めていく…」

・「第9話 悔恨」(単行本B/「月刊サンデーGXデジタル版」2021年4月号)
「不知火により山野新樹・若葉は水中に放り込まれる。
 我が子を抱きしめれば元に戻るらしいが、あの巨体をどう抱きしめたらいいか途方に暮れる。
 二人は壊れた建物の中に避難するも、ここは赤ん坊のテリトリーであった。
 突如、赤子の泣き声が聞こえ、見ると、赤ん坊がロープに絡まっている。
 しかも、座礁した船のスクリューがそのロープを巻き込んでいた…」

・「第10話 決死」(単行本B/「月刊サンデーGXデジタル版」2021年5月号)
「山野新樹は単身、沈没した船の操舵室へ泳いで行く。
 だが、スクリューを止めるスイッチが故障していた。
 このまま、戻れば命は助かるが、赤ん坊は力尽きてスクリューに刻まれてしまう。
 彼が下した決断とは…?」

・「第11話 大人」(単行本B/「月刊サンデーGXデジタル版」2021年6月号)
「梅子は「芽吹き」のメンバーが拠点にした学校へと運ばれる。
 ここでは「芽吹き」のメンバー三十人(九割が女性)が互いに支え合い、元に戻った赤ん坊を世話していた。
 だが、泉は蛍を連れてここから逃げる手伝いを梅子に頼む。
 二人は蛍の所に向かうが、途中、巨大な蚊のような怪物に襲われる。
 それは「芽吹き」のメンバーで妊婦の茅ノ輪が変身したものであった…」

・「第12話 進化」(単行本B/「月刊サンデーGXデジタル版」2021年7月号)
「赤ん坊だけでなく大人も妊婦なら変身するとわかり、人々はパニックに陥る。
 体育館にバリケードを築いて立てこもるも、相手には飛行能力と知性があった。
 そこで不知火は松蝉という男性を囮にして茅ノ輪を生け捕りにしようとする。
 その作戦は成功するも、追い詰めたことで怪物が進化してしまい…」

・「第13話 切断」(単行本C/「月刊サンデーGXデジタル版」2021年8月号)
「梅子たちのピンチに一人の少女が現れる。
 彼女は千里という名で、不知火の妹であった。
 彼女は居合の達人で、茅ノ輪を半殺しにする。
 その後、彼女は見回りの最中に見つけた安全な場所に梅子・不知火・泉・蛍を案内する。
 そこは横浜駅の構内で、千里と一緒に見回りに出た女子高生たち(神奈・睦・文・弥生・皐月)もいた。
 ここにはテナントがあるため、何でも揃い、しばらくは大丈夫そうであったが…」

・「第14話 冤罪」(単行本C/「月刊サンデーGXデジタル版」2021年9月号)
「翌朝、券売機の前に皐月の生首が置かれているのが発見される。
 皐月の大の親友だった神奈は半狂乱となり、妊婦の梅子や刀を持った千里を犯人と思い込む。
 梅子・不知火・千里はその場から逃げるが、神奈たちは梅子たちを殺そうと考える。
 彼女たちは神奈・弥生と睦美・文の二組に分かれ、梅子たちを捜すが、その間に次の犠牲者が…」

・「第15話 友情」(単行本C/「月刊サンデーGXデジタル版」2021年10月号)
「鴨のような巨大な怪物が現れ、梅子たちを襲う。
 怪物の正体はどうやら文らしい。
 彼女には援助交際をして妊娠したという噂があった。
 千里は彼女と意思疎通を図ろうとするが…」

・「第16話 托卵」(単行本C/「月刊サンデーGXデジタル版」2021年11月号)
「駅の構内から脱出するには東口の地下駐車場しかない。
 ただし、駐車場は浸水していた。
 生き残った人々は赤ん坊を連れて浸水した通路を進む。
 だが、鴨のような怪物が彼らを見つけ、迫ってくる。
 絶体絶命の時、千里は真実に気づく…」

・「第17話 順応」(単行本D/「月刊サンデーGXデジタル版」2021年12月号)
「『子供』の呼びかけに応じた女性たちは次々と怪物と化していく。
 このまま逃げてばかりでは埒が明かず、梅子はこうなった原因と解決策を調べるべきと提案。
 すると、蛍がここは「赤子の見る夢」だと話し始める。
 彼女の言う「始まりの赤子」とは…?」

・「第18話 予言」(単行本D/「月刊サンデーGXデジタル版」2022年1月号)
「蛍は新興宗教の巫女出身で、彼女を連れて逃げたのが泉であった。
 二人が痴話げんかをしている最中、巨大なハサミムシのような怪物が襲いかかってくる。
 泉は蛍に真実を明かすが、その時…」

・「第19話 糸口」(単行本D/「月刊サンデーGXデジタル版」2022年2月号)
「蛍の遺した言葉を頼りに梅子・不知火・千里は山中にある廃病院を訪れる。
 ここでは過去に解体しようとした際、15体のホルマリン漬けの胎児が見つかる。
 しかし、経営者は既に亡く、真相はわからないままであった。
 二人とはぐれた梅子は院長室に行き、参考になる資料がないか調べる。
 そこに現れたのは異形と化した看護婦であった。
 梅子は視察に来た医者と説明し、逃げるチャンスを窺うのだが…」

・「第20話 神秘」(単行本D/「月刊サンデーGXデジタル版」2022年3月号)
「梅子は看護婦に襲われ、千里に助けられる。
 どうにかトイレに逃げ込み、梅子は千里にここであったことを説明する。
 その話の流れで、梅子は、不知火に以前、子供があったかどうか、千里に尋ねる。
 過去、不知火に起こった出来事とは…?」

・「第21話 神秘」(単行本D/「月刊サンデーGXデジタル版」2022年4月号)
「迫りくる異形の看護婦。
 しかも、梅子と千里の前には、同じく異形と化した不知火がいた。
 不知火は息子を取り戻したと話すのだが…。
 梅子と千里の運命は…?」

・「第22話 再会」(単行本E/「月刊サンデーGXデジタル版」2022年5月号)
「梅子と千里は立木病院に戻る。
 途中、赤ん坊のために変化した人々を目にする。
 梅子は「始まりの赤子」の目的が何なのかを考え、ふとあることに思い当たる…」

・「第23話 家族」(単行本E/「月刊サンデーGXデジタル版」2022年6月号)
「立木病院で梅子が再会したのはこの世で最も会いたくない人物、彼女の父親であった。
 父親は彼女を暴力で屈しようとするが、梅子は自分の子供を守るため、父親と戦う覚悟を決める。
 だが、男の力に叶うわけがなく、彼女が窮地に陥った時…」

・「第24話 選択」(単行本E/「月刊サンデーGXデジタル版」2022年7月号)
「全ての原因は病院の中にある大きな穴。
 その底には「始まりの赤子」がいるらしい。
 梅子はハルトの両親と共にその穴の前に行くものの、父親に襲われる。
 梅子が家族として選んだのは…?」

・「最終話 赤子」(単行本E/「月刊サンデーGXデジタル版」2022年8月号)
「世界は梅子の目覚めを待っていた。
 目覚めた後、世界が進化するのか、元に戻るのかまだわからない。
 ただ今は幸せな夢をたくさん見て眠るだけ…」

 赤ん坊が怪物化するというパニック・ホラーの奇作です。
 ラリー・コーエン「悪魔の赤ちゃん」ぽいかと思いきや、あまりに異形過ぎて、「遊星からの物体X」(後半からは「わくわく動物ランド」?)な味わいで、キワモノ度は非常に高いです。
 この手の奇抜さを売りにした作品は徐々にストーリーに無理が生じてグダグダになることが多いのですが、この作品では派手な展開をどんどん繰り出して、スピーディに読ませます。
 ただし、説明不足なまま、ストーリーが進んでいくため、釈然としない部分(特に、立木ハルトはどうなったんだ?)が山ほど出てきて、結局のところ、よくわからないのが難点です。
 まあ、奇作ということを念頭に置いて、ヘンチクリンなイマジネーションを楽しむのが吉ではないでしょうか。

2025年11月3〜6・9日 ページ作成・執筆

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