かがり淳子「恐怖!ヒキガエルの呪い」」(2016年2月6日初版第1刷発行)

 収録作品

・「恐怖!ヒキガエルの呪い」(「ちゃおデラックス2003年8月21日号」掲載)
「さやかは資産家の娘で、美貌にも恵まれていたが、性格は極悪であった。
 ある日、ヒキガエルが教室に迷いこみ、騒動が起きる。
 その際に、カエルをかばった小杉を、さやかはいじめの標的とする。
 しかし、標本のカエルを彼女に投げつけ、顔に傷を負わせてから、さやかの目には人が全てカエルに見えるようになり…」

・「ダンゴムシと呼ばないで」(「ちゃおデラックス2003年11月25日号」掲載)
「運動会が近い秋の帰り道、実行委員の丸山(女)と武田(男)は道端でダンゴムシを目にする。
 気持ち悪がる丸山とは対照的に、武田は、踏まれないようダンゴムシを草むらの中に戻してやる。
 翌日、彼らのクラスに、奇妙な少女が転校してくる。
 その少女は陰気で、いつも膝を抱えてうずくまり、丸山に対して異様に敵意を抱いていた。
 そして、運動会当日…」

・「怪奇 呪いのワカメ」(「ちゃおデラックス2004年1月22日号」掲載)
「冬休み、ヒロインは、親戚の住む、海辺の小さな村を訪れる。
 村人達は彼女の長い髪を不審そうに眺め、更に、ハサミを持った老婆に髪を切れと迫られる。
 おばと姪っ子によると、あの老婆は「髪切りババア」で、この地方では女性は髪を短くする習慣があるという。
 夕暮れ、ヒロインは冬の海を眺めに浜辺に出る。
 そこで、髪がワカメになった、白装束の女性に、髪をよこせと襲われる。
 一度は振り払うものの、おばと甥っ子もワカメ女の呪いにかかり、ワカメ人間化する。
 ヒロインはワカメ女の魔手から逃れることができるのであろうか…?」

・「ブラックホール」(「ちゃおデ
ラックス2004年7月1日号」掲載)
「裏山にある〈神かくしの穴〉。
 それは人の手が入るぐらいの大きさのものであったが、ルミはその穴に手を入れて以来、悪夢に悩まされるようになる。
 その夢は、大きな真っ暗な穴に吸い込まれるというものであった。
 夢を見ないよう、ルミはなるべく眠らないよう努めるが、目を覚ましていても、真っ暗な穴は至るところにその姿を見せるようになり…」

・「黒いキャンバス」
「神崎やよいは、美術の特待生として、ある学園に転校する。
 そこでは学費、寮費、食費、教材費、部活動に必要な経費も全て支給されるという。
 早速、やよいは美術部に入るが、そこの部長は、コンクールの常連、黒淵絵美里であった。
 実は、やよいを学校に呼ぶよう、校長に推薦したのも、彼女であり、やよいの絵を高く評価していた。
 絵美里に頼まれ、やよいは肖像画のモデルを務めることとなる。
 絵美里が使うキャンバスは真っ黒なもので、絵が完成に近づくにつれ、やよいは原因不明の疲労感に襲われるようになるのだが…」

・「ワンダースクールシリーズ」
@「理科室の山本くん」(「ちゃおデラックス2003年1月22日号」掲載)
 小学校五年1組。
 新しく転校した山本くんは、実は、理科室にある人体模型であった。
 皆には彼が人間に見えていたが、加藤という男子生徒だけは、掃除の際に人体模型を丁寧に拭いていたせいか、その正体を見抜く。
 山本くんは加藤に、自分が普段役に立っていないので、掃除の時、運動会の綱引きの時には役に立ちたいと打ち明ける。
 そして、運動会当日…。
A「山本くんとキャロライン」(「ちゃおデラックス2003年6月26日号」掲載)
 理科準備室に新しく入った、骸骨模型のキャロライン。
 キャロラインは人体模型の山本くんに猛烈アタック。
 でも、山本くんの願いは人間の子と友達になることで…。
B「山本くんの卒業アルバム」(「ChuChu2003年5月1日号」掲載)
「6年3組に突如、現れた山本くん。
 実は、彼は今までもこっそりクラスメート達と行動を共にしてきた。
 しかし、彼らとは違い、自分は卒業できないことを知り、クラスに現れなくなる。
 そして、卒業式の当日…。
C「とびばこさん」(「ちゃおデラックス2002年11月17日号」掲載)
「放課後、跳び箱の練習をする男子生徒、中島。
 ちっとも跳べず、くさっているところ、跳び箱が彼に話しかけてくる。
 跳び箱が出した名刺によると、「日本とび箱普及協会 とび箱指導員 とびばこさん」とのこと。
 とびばこさんは彼が跳び箱に恐怖心を持っていることを知り、仲良くなろうと提案する。
 中島はとびばこさんから宿題を教えてもらったり、サッカーの話で盛り上がったりして、二人の間の距離は縮まっていくのだが…。
D「熱風!!フラメンコ先生」(「ちゃおデラックス2003年3月24日号」掲載)
「6年2組の音楽の授業に現れたのは、カスタネットの伝道師、富良面子(ふら・めんこ)。
 彼女はカスタネットの音色で意思疎通をし、生徒達を虜にする。
 音楽の男教師は彼女から生徒達を奪い返そうとするが、拙いカスタネットの技術では太刀打ちできない。
 そこで、カスタネットに対抗できる、日本古来からあるアレで面子に勝負を挑むのだが…。
E「野生の保険医ジェニー」(「ChuChu2003年9月19日号」掲載)
「体調不良のふりをして、女子生徒と保健室でいちゃつくのが日課の北沢明英。
 しかし、新任の保険医ジェニー(本名/銭ため子)は「今日から保健室はお前たちを甘やかさない」と宣言し、命がけで来るよう告げる。
 北沢は女たらしのプライドからジェニーをおとそうとするが、保健室は今やジャングルと化していた。
 北沢はジェニーにリベンジできるのか…?」

 いろいろなところで紹介されて、ちゃおホラーで最も有名な一冊ではないでしょうか?
 ヒキガエル、ダンゴムシ、ワカメ女と実にキワモノっぽいノリで、ギャグと紙一重かと思いきや、ストーリー自体は正統派で、ちゃんと「ホラー」しております。
 また、ホラー漫画の際には、腺病質な描線に変えており、犬木加奈子先生並に瞳孔の開きまくったキャラが不安を煽りまくります。
 個人的なベストは「怪奇 呪いのワカメ」。
 「カトちゃんケンちゃんごきげんテレビ」の「スイカ人間」の回のように、ホラーとギャグのギリギリの狭間を行くことに成功した、稀有な作品だと私は考えております。(ちょっと…いや、かなり勘違いが入ってます。)
 ちなみに、「ワンダースクールシリーズ」はホラー風味のギャグ漫画です。
 ホラー漫画よりも、ギャグ漫画の方が溌剌としており、作者にはこういう作品の方が水が合っていたのかもしれません。

2019年8月6・7日 ページ作成・執筆

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