楳図かずお
「漂流教室@」(1974年6月1日初版第1刷・1986年10月20日第17刷発行)
「漂流教室A」(1974年6月1日初版第1刷・1987年7月20日第19刷発行)
「漂流教室B」(1974年8月1日初版第1刷・1985年10月20日第12刷発行)
「漂流教室C」(1974年9月1日初版第1刷・1987年7月20日第17刷発行)
「漂流教室D」(1974年10月1日初版第1刷・1987年7月20日第17刷発行)
「漂流教室E」(1974年11月1日初版第1刷・1987年7月20日第17刷発行)
「漂流教室F」(1974年12月1日初版第1刷・1987年5月20日第16刷発行)
「漂流教室G」(1975年1月1日初版第1刷・1987年5月20日第16刷発行)
「漂流教室H」(1975年2月1日初版第1刷・1987年7月20日第17刷発行)
「漂流教室I」(1975年4月1日初版第1刷・1987年7月20日第16刷発行)
「漂流教室J」(1975年5月1日初版第1刷・1987年7月20日第17刷発行)
単行本@(「週刊少年サンデー」1972年第23号〜31号)
・「第1章・その日の朝」
高松翔は大和小学校の6年3組の生徒。
彼は最近、母親との関係がうまくいっておらず、その日の朝、母親と大喧嘩してしまう。
このままでは遅刻するので、学校へ走っていると、友人の山田信一が彼を追いかけてくる。
二人で学校に向かっていると、信一は給食費を忘れたことに気付く。
翔も給食費を忘れており、一緒に取りに帰ろうと信一は提案するが、翔は母親との事があり、そのまま学校へ向かう。
信一は家に戻り、再び学校へ向かう途中、凄まじい地響きがし…。
・「第2章・ゆれた教室」
翔は朝礼に間に合い、朝礼の後、教室に入る。
授業が始まったその時、学校は物凄い地震に襲われる。
地震はすぐに収まり、授業が再開されるが、校庭から叫び声が聞こえる。
見ると、男性教師が校庭に倒れていた。
先生たちが集まり、校門に駆けていくのを見て、翔と隣の机に座る愛川咲子も校庭に出る。
校門の前では先生たちが呆然と立ち尽くしており、翔が校門の外を覗くと、そこには何もない、不毛の大地が広がっていた…。
・「第3章・おびえた目」
翔は学校以外のものがなくなったと皆に教える。
子供たちが校舎の屋上に行くと、翔の言う通り、学校の周囲には何もなかった。
彼らはパニック状態になり、家に帰ろうと校門へ殺到する。
先生たちは彼らを押しとどめようとするが…。
・「第4章・とざされた世界」
先生たちは事態を把握しようとするも、テレビも電話もラジオも通じない。
ただ一つ明らかなことは学校の外のものが全てチリになったということだけ。
とりあえず、手分けをして原因を探ることにして、担任の若原先生は翔に家に電話をかけたら母親がいたと嘘をつくよう強要する。
先生たちが一番恐れていたのは低学年の生徒の間で不安が爆発することであった。
翔はクラスメートに向かい、母親と話したと嘘をつくのだが…。
単行本A(「週刊少年サンデー」1972年第32号〜42号)
・「第1章・狂気をよぶパン」
昼が近づき、子供たちは給食室へ向かう。
そこには給食屋の関谷久作がおり、食料を独り占めにして、初老の先生と愛川咲子を人質に取り、給食室に立てこもる。
先生たちは彼と話し合おうとするも、関谷は入り口にガソリンをまき、火をつけるという暴挙に出る。
翔をはじめとする6年3組の4人の生徒たちはパンを手に入れるため、給食室に忍び込もうとするが…。
・「第2章・6年3組の挑戦」
翔は一つのパンと一瓶の牛乳をどうにか手に入れる。
3組の生徒たちはそれを学校に迷い込んだユウちゃん(小野田勇一/三歳)という男の子に渡す。
しかし、食料を奪われたと知った関谷が激高し、各クラスを回って、生徒たちを痛めつけ、なけなしの食料を奪っていく。
6年3組の生徒たちは一致団結して、関谷を待ち伏せて…。
・「第3章・862人の墓標」
ユウちゃんが発見した大和小学校のボロボロに朽ちた看板。
それは彼らの慰霊碑についていたもので、翔たちは自分たちが未来に飛ばされたことを知る。
更に、突如、起こった日蝕のために、先生たちは次々と理性の糸が切れていく。
中でも最も頼りがいのある若原先生は…。
・「第4章・死の遠出」
若原先生以外の先生が死亡したため、若原先生が子供たちのリーダーとなる。
彼は食料を探すため、翔を含む、6年生のクラス代表5人と自動車で外に出る。
車を走らせていると、5年生の西あゆみという少女が砂漠を歩いていた。
彼女は片足が不自由で、ずっと一人ぼっちだったため、亡くなった両親の故郷である長野を目指していた。
翔は彼女を車に乗せ、砂漠を進むが、何もなく、川があるはずの場所も水は流れていない。
彼らがあたりを調べていると、一人の生徒が行方不明となる。
それが惨劇の発端であった…。
・「第5章・母の願い」
大和小学校が消失して以来、翔の母親(恵美子)はずっと悲嘆に暮れていた。
彼女は翔と喧嘩したことを後悔し、彼のことしか考えることができない。
ある日、家で電話が鳴り、彼女が警察と思って出ると…。
単行本B(「週刊少年サンデー」1972年第42号〜51号)
・「第1章・壁の中からの叫び」
翔の母親は彼の助けを求める声を何度も耳にする。
ある夜、翔の声で目を覚ました彼女は声のする方に急ぐ。
ケイヨー・ホテルでタクシーを降り、彼女は42階にある4225室へと押し入る。
彼の声はここからしているはずだが、彼の姿はなく、彼女はホテルの従業員に取り押さえられる。
警察沙汰になる寸前であったが、彼女はあきらめることができず、どうにかして翔に彼が大切にしていたナイフを渡そうと考える。
そのために彼女が取った行動とは…?
・「第2章・いけにえ」
翔と西あゆみが学校へ戻ってくると、咲子が血相を変えて彼らのもとに走ってくる。
彼女は顔に傷を負っており、殺されるから学校に入らないよう警告する。
校庭では6年2組の辰巳という男子生徒が磔にされていた。
翔が留守にしている間、低学年の生徒の間に奇妙な噂が流れる。
学校の中に一人、「よくない人」がおり、それは「た」の付く名字の人で、今回の出来事はその人物のせいだとという。
そして、その人物を火あぶりにして、槍で串刺しにすれば、雨が降り、もとの世界に戻れると彼らは信じていた。
磔の下には火がつけられ、翔は火を消そうとするが…。
・「第3章・一枚の木の葉」
若松先生と共に出かけて死んだはずだった長田という男子生徒が学校に戻ってくる。
彼は一枚の木の葉を握っており、奇妙なことに口の中は砂だらけであった。
彼らは植物のある場所を見つけるべく、探検隊(翔・大友・生垣・田代・赤羽)を組む。
だが、その直前に関谷がロッカーから脱出。
関谷はユウちゃんを人質に取り、翔たちに植物のある場所へ案内させる。
長田の足跡を見つけ、彼らはそこへ辿り着くが、その植物は…?
・「第4章・新リーダー・女番長」
探検隊から戻ってきたのは赤羽という男子とユウちゃんのみ。
咲子は怪虫のことを聞き、皆を集めて、話をしようとするが、校内では女番長の一派が力で学校を取り仕切ろうとしていた。
咲子は女番長に抗議するも、皆、力のある者の方へなびいてしまう。
女番長は倉庫から無断で食料を持ちだした犯人捜しを始め…。
単行本C(「週刊少年サンデー」1972年第51号〜1973年9号)
・「第1章・大和小学校国の門出」
翔たちや女番長が諍いをしている間に、低学年の生徒たちはヒステリーを起こし、大騒動になる。
生徒たちは翔と女番長の間で分裂しそうになるが、その時、5年の我猛という男子生徒が翔に話しかけてくる。
彼はこの小学校を国とみなし、皆をまとめるには「決断力のあるリーダー」が必要と説明して、総理大臣を選ぶ選挙の開催を提案。
女番長も同じように選挙について言い出し、投票が行われる。
女番長による選挙干渉もあったに関わらず、翔はリーダーに選ばれ、早速、厚生大臣(大友)、防衛大臣(生垣)、文部大臣(我猛)等、計七人でグループを結成する。
だが、落ち着く暇もなく、彼らは難題に直面することに…。
・「第2章・せまりくる大怪虫」
砂漠から怪虫がやって来る。
様々な備えをしていたにも関わらず、肝心な時に役に立たなかったり、怪虫には効果がなかったりで、怪虫は校内に侵入。
怪虫に防衛大臣の生垣は決死の攻撃を加えるも、怪虫は翔たちの避難している三階に迫る。
彼らは怪虫の襲撃からどう逃れたらよいのであろうか…?
・「第3章・捨て身の挑戦」
怪虫は小学校から去ったものの、またいつ襲われるかわからない。
翔は5・6年の男子生徒を組織して、怪虫退治に出かける。
だが、あの森に行っても、怪虫の姿がない。
訝っていると、仲田という男子生徒が空腹を訴えて騒ぎ始める。
彼はひどくお腹をすかせてはヒステリーを起こし、何度もトラブルを起こしていた。
その時、西あゆみが翔たちのところにやって来る。
彼女はある絵を持っていたが、その絵に怪虫の謎を解き明かす鍵があった…。
・「第4章・小さな強敵」
怪虫騒動の後、瀕死の女子生徒が二人、翔たちの方に向かってくる。
息絶えた彼女たちの身体にはぶつぶつの小さな穴があちらこちらにあった。
翔たちは急いで学校に戻ると、学校はやけに静かで、どこにも生徒たちの姿はない。
ある教室からザワザワザワという物音が聞こえ、一人の男子がそこに入ると、絶叫の後、彼は白骨と化す。
翔たちが武器を構えて教室に入るも、その教室には何もない。
ザザーという物音が移動していき、彼らはその後を追うのだが、その音の正体とは…?
単行本D(「週刊少年サンデー」1973年第9号〜19号)
・「第1章・勇気ある一撃」
翔たちは小学校から逃げ出すが、無数のミニ怪虫の波が次々と子供たちを呑み込んでいく。
彼らは先に避難していた生徒たちと合流するも、足の悪い西あゆみが取り残され、蟲の大群に取り囲まれる。
大友はことの原因である人物に詰め寄り、彼を殺そうとする。
翔は必死に止めるのだが…。
・「第2章・死を呼ぶ渇き」
翔たちは小学校に戻り、現状を確認する。
先生・生徒たちは51人死んで、今、学校にいるのは811人。
このままでは水も食料も長くはもたない。
彼らが頭を悩ませていると、プールの方で騒ぎが起こる。
6年1組の橋本という男子生徒がプールで溺れていた。
彼は水を飲もうとして落ちたらしいが、何かの病気らしい。
将来、医師志望の柳瀬は彼を診るが…。
・「第3章・黒い斑点」
橋本の皮膚に現れた黒い斑点。
柳瀬はペストと診断し、翔たちは衝撃を受ける。
このままでは餓死するより先にペストで全滅は必定。
翔たちは橋本と接触した人物を集め、小学校の外へと出るのだが…。
・「第4章・狂気のペスト禍」
新しくリーダーに選ばれた男子はペストの疑いのある者を皆殺しにしようと画策する。
橋本は焼き殺され、翔たちにも追手が迫る。
翔たちは総合病院のあったあたりを掘って、薬を手に入れようとするのだが…。
・「第5章・果てしなき暴走」
翔たちはペストにかかっていなかったものの、校内にペスト菌の接触者がいることが明らかとなる。
翔と柴田(猿顔のナイスガイ)は二人で小学校内への侵入をもくろみ、翔は潜入に成功。
そこでは新たなリーダーが翔に関係のある人物を旧校舎に閉じ込め、まとめて焼き殺そうとしていた…。
単行本E(「週刊少年サンデー」1973年第19号〜28号)
・「第1章・しのびよる死の影」
旧校舎の周りには火が焚かれ、逃げ出す者は皆、殺される。
翔たちは必死に応戦するも、煙に巻かれ絶体絶命。
その様子を遠くから見ていた愛川咲子は病院跡で見つけたミイラを利用することを思いつく。
彼女の案は功を奏し、翔たちの救出に成功するが、ペストの感染は拡大しており…。
・「第2章・時をへだてて」
翔の母は彼の助けを求める声を聞き、ストレプトマイシンを手に入れようと奔走する。
また、ストレプトマイシンをミイラの身体に入れるために、彼女はミイラとなった人物を探すが、それは人気野球選手の大木であった。
彼は試合中、デッドボールを頭に受け、総合病院に運ばれる。
翔の母親は彼の死を見届けるために自らを傷つけ、病院に搬送されるが…。
・「第3章・失われた光明」
ペスト禍は収まるが、生徒たちの数は半減してしまう。
その数日後、今度はプールの底がひび割れて、蓄えていた水が全て失われる。
男子生徒たちは集まって、それぞれ東西南北に水を求める探検に出かける。
翔たちは南に向かうが、海のあった場所も今は不毛の土地と化していた。
学校では愛川咲子たちが雨乞いのため、校庭で歌を歌っていると、雨が降り始める。
恵みの雨に皆、歓喜するが、この土砂降りの雨が思わぬ災厄を招くことに…。
単行本F(「週刊少年サンデー」1973年第29号〜38号)
・「第1章・未来植物の試食」
荒涼としたこの世界では花壇や畑の植物が彼らの命綱であった。
しかし、植物に奇怪なキノコが生え、ダメージを与える。
皆はこのキノコが食べられないかどうか考え、大友は関谷に食べさせようと提案する。
関谷はショックで正気を失っていた。
翔は反対するも、大友を中心とした生徒は翔を縛り上げ、関谷のもとに向かう。
関谷を畑まで連れてきて、キノコを食べさせると、急に苦しみ出し、医務室へと運ばれる。
その時、探検隊の後をついていった男子が学校に戻ってくる。
彼は狂っており、「怪物がせめてくる」と訴える。
その間に関谷の姿が見えなくなり、皆で手分けをして捜す。
大月という男子は関谷がキノコを食べたふりをしたことを勘づくが…。
・「第2章・のろいの教団」
未来キノコ…それは人を愉快にさせるだけでなく、異形のものに変えてしまうキノコであった。
大月以外にもキノコを食べた生徒が何人かおり、彼らは一つ目の神を信仰する。
その混乱の最中、水不足が深刻になり、翔たちは井戸を掘るのだが…。
・「第3章・巨大な目」
ある夜、「ヒィーッ」という薄気味悪い音が外から聞こえる。
キノコを食べた子供たちは目を覚まし、外に行こうとするのを翔たちは必死に引き留める。
翔たちが外へ様子を見に行くと、地面に穴があき、それが次第に近づいてくる。
翔たちは体育館で戦闘態勢を整えて、怪物を待ち受けるが…。
単行本G(「週刊少年サンデー」1973年第39号〜48号)
・「第1章・つめたい目」
関谷復活!!
子供たちは大人の関谷に頼り、しかも、翔は学校を爆破と濡れ衣を着せられてしまう。
翔は皆から無視されるが、大谷・柴田・石田・愛川咲子は彼にこっそり食料を与える。
その場を関谷に見咎められ、五人は砂漠で井戸掘りをさせられる。
更には、地上へ上がる縄梯子を切り落とされ…。
・「第2章・暗黒の世界」
愛子は地震でできた裂け目を見つけ、そこを皆で広げると、地下に降りる階段があった。
階段を下ると、地下鉄の飯田橋駅のホームで、彼らは線路を伝って東京駅に向かう。
ところが、何故か電車が走っており、彼らはある駅のホームに逃げ込むのだが…。
・「第3章・滅亡の記録」
光を見つけ、翔たちは喜ぶが、そこは怪物の巣窟であった。
また、怪物たちの中にキノコを食べた子供たちの姿がある。
怪物は彼らに映写機である映像を見せる。
それは、人類が「まやかしの文明」を謳歌した果てに終末を迎え、「怪物」の先祖が誕生するという内容であり、怪物の正体は「未来人類」であった…。
・「第4章・母の贈り物」
怪物から逃げ、翔たちは東京駅へと着く。
そこには大量のミイラ化した死体があった。
幸運にも翔たちは湧水を見つけるが、この底には火山帯ができており、突如、火山活動を始める。
翔たちはドアを閉めて、避難するが、もしも爆発を起こしたら、助かる見込みはない。
翔は母親に助けを求めるが、彼の祈りは届かない。
その時、彼は非常に重要なあることに気付く…。
・「第5章・闇からの脱出」
迫り来る溶岩、激しくなる地震。
翔たちは地上を目指し、階段を駆け上がる。
出口を見つけるも、天井の崩落により、翔が取り残される。
大友は翔を見捨てようとし、このことが後々の遺恨へとつながることとなる…。
単行本H(「週刊少年サンデー」1973年第49号〜1974年8号)
・「第1章・恐怖の糸」
翔たちは駅から命からがら脱出するが、未来人類たちが追ってくる。
どうにか学校にたどり着くものの、バリケードが築かれ、中に入ることができない。
翔たちは壁に粘着質の糸で貼り付けられ、未来人類は学校へとなだれ込む。
校内では関谷が子供たちを組織し、未来人類に対し捨て身の特攻をさせる。
旧人類と未来人類の戦いの行方は…?
・「第2章・失われた友情」
食料が失われただけでなく、巨大な未来オニヒトデの襲来で、子供たちはいずれ餓死するしかない。
極限状況の中、大友は翔への反感を明らかにし、子供たちは二つに分裂することとなる。
翔たちは新校舎、大友は他の校舎がそれぞれの「領地」となるが、大友についた連中が給食室を奪いに来る。
争ううちに、翔は相手の一人を殺してしまい、ショックを受ける。
更に、彼は突然、右の脇腹の痛みに襲われる。
症状からすると、どうやら盲腸らしく…。
・「第3章・危険な執刀」
柳瀬と看護婦役の杉山恵子は麻酔なしで翔に手術を施す。
我猛からスズランは麻酔、ヨモギは止血剤になると聞かされ、咲子をはじめとする四人の女子は花壇にそれを取りに行く。
だが、そこは大友の領地であった。
大友の連中が襲いかかってくる中、彼女たちは命を張って、スズランを翔に届けようとする…。
単行本I(「週刊少年サンデー」1974年第9号〜19号)
・「第1章・女番長の遺言」
翔たちのもとに女番長が戻ってくる。
彼女は見る影もなくやつれ果て、水を飲んだ後、息絶える。
彼女は、富士山の見える所にある「天国」に行ったらしく、そこは水も食べ物も何でもあるらしい。
しかし、翔が意識を失っている間に学校の外には怪物どもが集まり、子供たちには餓死が目前に迫っていた。
四人の男子生徒は大友の連中が自分たちを襲ってくるとの不安に駆られ、食料を奪うために、大友の仲間を襲って、殺してしまう。
当然、騒ぎとなり、四人はリンチから逃れるため、学校の外へ逃げ出すのだが…。
・「第2章・死の行進」
学校を襲うスモッグのかたまり。
今は仲間割れをしている場合でなく、翔も大友も学校を離れ、「天国」があるという場所を目指す。
ところが、目前には地震による地割れ、背後には毒ガスが迫り、進退窮まってしまう。
助かるには地割れをジャンプで飛び越さなければならないが…。
・「第3章・危険な天国」
富士大レジャー・ランド天国。
そこは時代別のアトラクションがあるアミューズメント施設であったが、今はコンピューターがいかれ、あらゆるものが翔たちに襲いかかる。
どうにか現代のゾーンにたどり着くと、そこは現実とそっくりの銀座であった。
そこは何でもあったが、動力源が切れているため、何も手に入らない。
餓死する者も出て、子供たちはわずかな食料を争って、理性を失っていく…。
・「第4章・飢餓集団」
どこからか流れてくる肉を焼く匂い。
翔と内藤が様子を見に行くと、大友の連中が集まり、何かの動物を吊るして焼いていた。
大友の連中に気付かれ、逃げる途中、内藤は殺される。
仲間のもとに戻った翔は「ブタの肉」を焼いていたと嘘をつくが、それがもとで、翔の組と大友の組の全面的な衝突を招く。
あらゆるものが崩壊しようとしている最中、翔と咲子のもとに大友がやって来る…。
単行本J(「週刊少年サンデー」19743年第20号〜27号)
・「第1章・いつわりの告白」
翔は元の世界に戻る方法を思いつく。
そのためには、もう一度学校へ戻らねばならないが、子供たちは皆、疲弊していた。
そこで、翔は自分が学校を爆破した真犯人だと告白する。
殺気だった子供たちに追われつつ、彼は西あゆみを背負い、死にもの狂いで学校を目指す…。
・「第2章・よみがえった友情」
元の世界に戻るヒントは「天国」にあったコンピューターが話した「巨大な衝撃力で時間の壁をひろげる」という言葉であった。
彼らはグランドで輪になり、お互いに手をつなぎ、元の世界に帰りたいと心の中で強く願う。
そして、輪の中央でダイナマイトを爆発させる。
一方、現代では翔の母親がテレビ番組に乱入して、翔たちが帰れるよう人々に呼びかけていた…。
・「第3章・漂流の果てに」
元の世界に戻ることは失敗したものの、翔たちは未来で生きる希望を見出す。
しかし、幼いユウちゃんにはやはり両親のもとが一番良い。
子供たちは再度、現実に帰還する方法を試すのだが、その場に関谷の姿が…。
・「ねがい」(単行本J/「少年サンデー」1975年16号)
「等は孤独な男子小学生。
ある日、彼はゴミ捨て場で人の頭のような形をした木製のカバーを見つけ、それをきっかけに人形作りを始める。
彼の作り上げた人形は恐ろしく不気味なものであったが、彼はそれに「モクメ」という名前を与え、それが動くよう「宇宙のエネルギー」に毎日、働きかける。
そんなある日、彼のクラスに浦野智子という少女が転入してくる。
彼女と仲良くなると、彼はモクメに魅力を感じなくなり、モクメをビルの建設予定地に捨ててしまう。
時は流れ、彼がモクメのことなんかすっかり忘れた時、「宇宙のエネルギー」が発動し、モクメが帰ってくるのだが…」
楳図かずお先生の代表作の一つというだけでなく、日本の漫画史においても一つの金字塔である「漂流教室」。
この作品については至る所で様々な考察がなされており、現在においてもいまだ議論をされるべき余地のある作品です。
正直な所、私如きが今更付け加えることはあまりないのですが、久々に読み返して感じたことは楳図かずお先生の「豪腕」でした。
読まれた方はある程度は納得していただけるのではないでしょうか、首根っこをひっ掴まれて、力づくでぐいぐい読まされる感じです。
釈然としないことは多少(多々?/注1)ありますが、圧倒的なストーリー・テリングの奔流に押し流され、きりきり舞いをしながら、気が付くと、一気読みをしているのです。
こんな体験、めったにできることではありません。
そう考えると、伊藤潤二先生こそは楳図かずお先生の「豪腕」を受け継がれた方だとつくづく思います。
そして、こんな「豪腕」な漫画家さんたちに恵まれた日本に生まれたことは実に実に幸せなことです。
・注1
釈然としないことはいろいろありますが、個人的にずっとひっかかっていることは、
何故、小学校の廊下に拳銃が落ちていたのか?(校長を襲った強盗のもの?)
病院で死体がミイラになるほど、置きっぱなしになっていたのは何故か?
未来人類で一匹、テレパシーができなくて、食べられた奴がいたが、どうしてテレパシーができなかったのか?
そして、これが最大の疑問なのですが、どうやって、あの我猛が地割れ(単行本I)を飛び越えることができたのか?(どう考えても、落ちそうだぞ。)
2024年3月1・2・4〜6・8・11・12日 ページ作成・執筆