牧原若菜「戦慄!フラワーマーケット」(2010年8月4日初版第1刷発行)

 収録作品

・「戦慄!フラワーマーケット」
 花々が美しく咲き誇る、秘密の花園。
 そこには、何でも願いを叶えてくれる、蝶子という美しい女性がいた。
 そして、今日もまた、迷える少女が秘密の花園を訪れる…。
「秘密の花園」
 親友と思っていたユイに、デタラメな噂を流され、彼氏を奪われた静香。
 傷心の彼女は、気が付くと、秘密の花園に迷い込んでいた。
 憎しみでいっぱいの静香が涙を流していると、蝶子が彼女の涙を植木鉢のつぼみに受ける。
 すると、つぼみは花開き、中から虫が出てくる。
 蝶子は静香に彼女の願いが叶うと告げるのだが…。
「髪」
 くせっ毛のお陰で、ろくな役にありつけない、演劇部員の木村まなみ。
 彼女は、演技が上手く、美人で、黒髪の素敵な城ノ内理花に嫉妬の炎を燃やす。
 ある日、偶然に蝶子と知り合った、まなみは、まだ、つぼみの花の植木鉢をもらう。
 蝶子によると、この花が開く時に、まなみの願いが叶うらしいのだが…。
「花のように美しく」
 いくら努力しても、きれいになれない鈴子。
 学校では、美人のミキに「ブス子」呼ばわりされ、たまらず、学校をとび出てしまう。
 涙でぐちゃぐちゃの鈴子が迷い込んだのは、秘密の花園。
 そこで、鈴子は蝶子から、美しくなるエキスをもらう。
 そのエキスの効能は抜群で、きれいになった鈴子は自信をつけていく。
 しかし、きれいになっても、心は満たされない。
 そんなある日、ミキが鈴子を校舎裏に呼び出し、ある打ち明け話をする…。
「花の命は短くて」
 秘密の花園を訪れた、高飛車な金持ちのお嬢様。
 彼女の願いは、ぺちゃんこの花を高くすること。
 蝶子は彼女に、その願いを叶えるエキスを渡す。
 寝る前に一滴、そのエキスを花に垂らすだけで、お嬢様の鼻はモデルのようにすっきり。
 有頂天になった彼女はついつい欲を出してしまい…。

・「朝顔観察日記」(「ちゃおデラックス2008年夏の超大増刊号」掲載)
「クラスで一番の成績の北原千華子。
 彼女のライバルは、天然なわりに、頭のいい柊さや。
 千華子のクラスでは夏休みに向けて朝顔を育てることとなるが、ここで朝顔の成長をめぐって、さやへの対抗心を燃やす。
 しかし、さやの朝顔の方が一方的に発育がよく、それに比例するように、憧れの日高もさやに接近していく。
 ある台風の日、千華子は休校中の学校に向かい、自分の朝顔を保護し、さやの植木鉢を破壊。
 ショックで、さやは学校に来なくなるのだが…」

・「呪いのウォーキング」(「ちゃおデラックス2009年春待ち超大増刊号」掲載)
「サワガニの飼育係に立候補した、あさみ。
 彼女の真の目的は、憧れのショータ君にいいところをいっぱい見せて、仲良くなることであった。
 しかし、サワガニに全く興味はなく、ハサミで指に怪我をさせられた恨みもあり、あさみはサワガニを放置。
 結局、サワガニは死んでしまうのだが…」

・「いっしょにあそぼ」(「ちゃおデラックスホラー2009年」掲載)
「あずさは、公園で一人、泣いている少女を見かける。
 情にほだされて、あずさは少女と一緒に遊ぶ。
 だが、少女は翌日も、その翌日も、あずさと遊ぶために、執拗につきまとう…」

 珍作「呪いのウォーキング」収録の単行本です。
 私は牧原若菜先生の作品を大して読んではいないのですが、どうもマニア人気の高そうな気がします。
 個人的な印象では、「ホラーM」あたりの作品と似たオーラをまとっているせいではないでしょうか?
 子供向けでありながら、ブラック・ユーモアが底辺に流れているように思います。

2018年4月3日 ページ作成・執筆

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