牧原若菜「戦慄!フラワーマーケットA」(2012年7月4日初版第1刷発行)

 収録作品

・「戦慄!フラワーマーケット」
 花々が美しく咲き誇る、秘密の花園。
 そこには、何でも願いを叶えてくれる、蝶子という美しい女性がいた。
 そして、今日もまた、迷える少女が秘密の花園を訪れる…。
「蝶子様の秘密」
 スリムな身体になりたいと花園を訪れた、太っちょな女の子。
 彼女は、願いを叶える前に、邸のトイレを借りる。
 蝶子に、他に部屋に入らない、また、私物には触らないよう釘を刺されていたにも関わらず、好奇心に負け、蝶子の部屋に入る。
 その部屋にあったアルバムを見て、彼女は蝶子の正体を知るのだが…。
「恐怖!カマキリ女…!」
 蝶子の花園に、チャラ男が現れる。
 蝶子は門前払いを食らわせるが、チャラ男が腹立ちまぎれにカマキリを蹴とばしたのを見て、態度を一変。
 お茶を飲むよう勧めると、チャラ男は猛烈な眠気に襲われる。
 彼が目覚めた時、目の前に、メイド服の娘が彼の様子を窺っていた…。
「口はわざわいのもと」
 たまみは内気なぽっちゃり娘。
 クラスの女子に散々悪口を言われているが、言い返せない自分が悔しくて仕方がない。
 彼女は蝶子の花園を訪れ、戦う「勇気」を望む。
 蝶子が彼女に渡したのは、勇気が出る香りのする香水。
 ただし、この香水を使った後は、汚い言葉を使ってはいけないと警告されるのだが…。
「向日葵のように」
 倉石のり子はとても臆病な女の子。
 彼女にはエリカという友人がいたが、実は、彼女こそがのり子を陰でいじめる張本人であった。
 ある時、学芸会で「シンデレラ」を演ずることになり、エリカは主役にのり子を推薦。
 多数決で、のり子はシンデレラ役となってしまう。
 のり子は必死で台本を覚えようとして、蝶子の花園に迷い込む。
 事情を聞いた蝶子はのり子に、ひまわりのエキスをブレンドしたミストをプレゼントする。
 このミストを一回スプレーすると、太陽のように明るくなって、まわりの皆が振り向いてくれるという。
 のり子はミストの使用を躊躇していたが、学芸会の当日、のっぴきならなくなり、ミストを使うと…。
「わたしの愛しいひと」
 蝶子の花園を訪れた、ぬい子。
 彼女の願いは、相手に告白をしたいというものだが、今まで冷たく当たったこともあり、どう接していいかわからない。
 蝶子は彼女に白いコスモス(花言葉は「乙女の純真」)を渡し、この花を握って、彼に接すれば、想いが通じると話す。
 だが、帰り道、ぬい子にべた惚れの鈴木コータローが現れ、そのコスモスを川に落としてしまう。
 落ち込む彼女の姿を見て、コータローは蝶子の花園に咲いているコスモスを無断で取るのだが…。
「蝶子様、怒る!!」
 なるみは、自分の美しさに酔いしれる少女。
 ある雪の日、彼女は、蝶子に仕える執事を目にして、自分の理想の「王子さま」と思う。
 彼を追って、なるみは蝶子の花園に入り込み、そこで蝶子に出会う。
 散々、おばさん扱いされながらも、蝶子はなるみに、女性をより美しくする香りの花を渡すのだが…。
「蝶子様、エステする」
 可愛くなりたいと蝶子の花園を訪れた女子高生。
 しかし、執事に、お取り込み中と断られ、実際、蝶子はひどく憔悴していた。
 蝶子の「アレの季節」とは…?

・「悪夢の糸」(2011年「ちゃおデラックスホラー」1月号増刊)
「三浦幸恵は心優しいが内気な性格の少女。
 その性格のせいで、彼女は佐々木というクラスメートにいじめられていた。
 ある時、幸恵はクモを助けようとするが、そのクモを佐々木に踏み潰されてしまう。
 翌日、クラスに、神山ふじみという少女が転入してくる。
 幸恵の隣の席になった彼女は、佐々木の勧誘を断り、幸恵と積極的に交際する。
 また、彼女は幸恵を佐々木のいじめから守ってくれる。
 その代わり、ずっと一緒にいてくれるよう言われ、約束するのだが…」

・「戦慄!妄想図書館 〜辞書〜」(2010年「ちゃおデラックスホラー」7月号増刊)
「バラの模様のついたベレー帽をかぶった、ボブ・ヘアーの少女が図書館に一人。
 彼女は、くすくす笑いをもらしながら、辞書を読む。
 彼女が辞書の言葉から生み出す妄想の数々とは…」

 牧原若菜先生は、田舎出身らしく、虫を題材にした作品に佳作が多いように思います。
 「悪夢の糸」では、蜘蛛女のシーンになると、俄然、ノッテきて、その思いを強くしました。

2021年3月30日 ページ作成・執筆

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