久世みずき「少女たちの恐怖童話」(2013年6月5日初版第1刷発行)

 収録作品

・「真夜中のお茶会」(「ちゃおデラックスホラー」2012年7月号増刊)
「中学一年生の川澄祢亜(かわすみ・ねあ)は奇妙な夢を見る。
 夢の中で彼女は羊の恰好をした男とドラッキーのような怪物と一緒にテーブルに座っていた。
 異形の者たちには祢亜のことが見えておらず、彼らはお茶会をしている。
 お茶の後、彼らはクッキーを食べるが、そのクッキーは祢亜のクラスメートの形をしていた。
 そして、自分の形をしたクッキーを食べられた者は死んでしまう。
 このことを知った祢亜はいじめられっ子の椎奈のクッキーが食べられるのを阻止する。
 これにより椎奈の命を救うことはできたのだが…」

・「七色マッチの少女」(「ちゃおデラックスホラー」2012年1月号増刊)
「込山真朱(こめやま・ましゅ)は幼い頃、父に死なれ、母にも捨てられ、今は母親の実家で祖母と暮らしていた。
 祖母は気難しく倹約家で、真朱は周囲から貧乏くさいと思われていた。
 ある日、彼女は倉庫で売れないものはないか探していると、床に七色のマッチが落ちていた。
 このマッチを灯すと、火の中に光景が浮かび、それは彼女に金運をもたらしてくれる。
 ただし、それには犠牲になる生き物が必要であった…」

・「夜がくる日」(「禁じられた恐怖夜話」掲載)
「葛城りいなは、内気なことに加え、転校が多いため、友人に恵まれない。
 だが、今度の学校は、佐藤一夜(かずや)という少年のおかげで、すぐにクラスになじむ。
 早速、クラスの伏見マキという少女が彼女の家に遊びに来るが、彼女は行方不明になる。
 りいなは母親と兄が彼女の失踪に関係しているような気がして、不安で仕方がない。
 そこで、一夜と共に、兄の部屋を調べようとするのだが…」

・「挟身(ハサミ)」(「ちゃおデラックスホラー」2013年3月号増刊)
「203X年。
 中学生の野村亜子は不思議なハサミを持っていた。
 これは「人の性格の悪い部分を切りとるハサミ」で、ハサミを使っても、相手の記憶が書き換えられるらしく、そのことは彼女以外は覚えていない。
 彼女は毎日毎日ハサミを振るい、人の悪意を切除する。
 ある日、彼女はクラスの不良女子、広川真琴にハサミを使う。
 広川には何度もハサミで用いていたが、なかなか良くならない。
 今度こそはと思っていたら、広川は亜子にそっくりになる。
 自分と一緒ならもう悪いことはしないと安心するも、以来、ハサミを振るった人物が皆、自分と一緒になっていき…」

・「姫の棺」(「押し入れおじょうさん」掲載)
「一ノ瀬このはの携帯電話に奇妙なメールが届く。
 それは「Casket of princess」というサイトへの招待状であった。
 このサイトは「大好きな彼をゲームで育成」することができ、このはは憧れの白石弘行の写真を送り、彼をゲーム登録する。
 このははゲームに夢中になり、彼の世話を甲斐甲斐しく焼くと、現実世界でも彼と親しくなっていく。
 彼女はゲームが現実とリンクしていることを知り、ますます夢中になるが…」

・「美人の湯」(「ちゃおデラックスホラー」2009年7月号増刊)
「神崎郷美と江田亮は美容が気になるお年頃。
 彼女たちはクラス一きれいな園田に注目していたが、ある時、彼女から「キレイの秘密」を教えると言われる。
 土曜日、二人は園田に連れられて、山の中に向かうが、そこには「k乃湯」という温泉旅館があった。
 女将さんもとても美しく、二人は大いに期待するも、郷美は生理になってしまう。
 仕方なく亮だけ入るが、入浴後の彼女は別人のようにきれいになっていた。
 また、性格も変わっているようで、郷美は温泉に不審を抱く。
 だが、亮や園田は彼女に温泉に入るようムリヤリ勧めてきて…」

 久世みさお先生は長年活躍されているベテランさんだけあって、怪奇マンガもうまくこなしております。
 個人的には「姫の棺」と「美人の湯」が面白いと思いました。
 「姫の棺」は最後のどんでん返しが見事に決まってます。
 「美人の湯」は「ぐちゃぐちゃドロドロ」系で、かなりのトラウマ度です。
 温泉嫌いの女の子が増えなかったなら、いいのですが…。

2024年5月31日 ページ作成・執筆
2024年8月25日 加筆訂正

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