まいた菜穂「身近でおきたこわい話」(2012年4月4日初版第1刷発行・12月20日第4刷発行)

 収録作品

・「はいべえさん」(2011年「ちゃおデラックスホラー」7月号増刊)
「町はずれの神社の前にあるマンホールには「はいべえさん」という霊がいると言われていた。
 暗闇好き、かつ、声真似上手の「はいべえさん」を呼び出すと、その子の家にまで訪ねて来るが、もしも会うと連れて行かれてしまうらしい。
 小学校六年の佳保、ミカ、理香、矢部(名前不明)の四人は、皆からの注目を集めようと、マンホールの所で、はいべえさんを呼び出す儀式を行う。
 だが、噂は本当で、少女達は次々と行方不明になっていく。
 最後に残った佳保は、隣に住む健人に事情を話し、彼の部屋の押し入れに閉じこもるのだが…」

・「糸電話」(2011年「ちゃおデラックスホラー」1月号増刊)
「マキと雪子は隣人同士で、幼い頃から大の仲良し。
 二人は糸電話を互いの部屋に張って、毎日、お喋りをしていた。
 中学校に入ると、明るい性格のマキはどんどん友達ができ、毎日が楽しくて仕方がない。
 しかし、一方の雪子はクラスでも浮いていて、マキは彼女をうとましく感じるようになる。
 マキは雪子に他に友達を作るようアドバイスするも、雪子にとって友人はマキ一人であった。
 マキは雪子と距離を置こうと、彼女と夜に携帯電話で話せないと告げる。
 だが、雪子は糸電話を使い、彼女の部屋を盗聴し始め…」

・「誘拐標識」(2012年「ちゃおデラックスホラー」1月号増刊)
「長瀬真冬は、兄の友人の夏希に恋をしていた。
 夏希は二年前から、毎週、火曜日と木曜日に、家に勉強をしに来て、真冬はその日を楽しみにする。
 だが、兄は真冬には冷たく、夏希を好きになることを決して許さない。
 遂に、限界に達した真冬は、「歩行者専用道路」の交通標識の所へ向かう。
 その標識には奇怪な噂があり、標識の前で、消したい人の名前を十回呼べば、標識の男が連れ去ってくれると言われていた…」

・「夏祭りがおわるまで」(2011年「ちゃおデラックスホラー」夏の超大増刊号)
「原飛鳥(はら・あすか)は、友人達と神社の夏祭りに行くが、うわべだけ他人に合わせるため、心から楽しめない。
 だが、鳥居をくぐったところで、異変が起こる。
 彼女は、神社の夏祭りが始まった昭和十年にタイム・スリップしてしまったのであった。
 そこで、彼女は、心優しいが、非常にとっつきにくい青年、春彦に助けられる。
 彼と過ごすうちに、飛鳥は自分の心を開くことの大切さに気付く。
 夏祭りの夜、神社の鳥居をくぐって、飛鳥は未来に帰ろうとするのだが…」

・「奇妙なともだち」(2009年「ちゃおデラックスホラー」春の超大増刊号)
「榎本ハルは、クラスメートの河本の秘密を知る。
 それは、絵にキスをすると、その絵が実体化するのであった。
 ハルはその秘密を怖がらず、河本と友人になる。
 彼女は、河本にとって初めての友達で、彼女のためなら何でもすると言う。
 それから、彼女の担任や友人が謎の失踪を遂げるようになり…」

・「蜜の選択」(2009年「ちゃおデラックスホラー」冬の超大増刊号)
「羽岡蜜と実はラブラブな仲。
 ある日、二人揃って階段から落ちた時、蜜の前に死神が現れる。
 死神は、二人のうち、どちらかの命を奪うと告げ、その選択を蜜にゆだねる。
 三日の猶予の間、蜜は、実の嫌いなところを見出そうと努めるが、彼は彼女を心から想ってくれていた。
 そして、決断の時…」

 個人的に、「誘拐標識」と「蜜の選択」の出来がいいと思いました。
 特に、「蜜の選択」は読み込めば読み込むほど、人間不信に陥りそうです。

2020年10月22日 ページ作成・執筆

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