栖川マキ「栖川マキの恐怖学校伝説@」(2011年7月6日初版第1刷発行)
・「本のシミ」(「ちゃおデラックス」2009年冬の大増刊号)
「大西志帆(仮名)は小学六年生の女の子。
彼女は図書室の本を借りては汚し、よく怒られていた。
ある日、図書室に彼女が読みたかった本が入る。
その本は黄ばんでおり、卒業生により寄贈されたという。
彼女はそれを借り、家で読むと、ページに大きなシミがついている。
それは血のように真っ赤であった。
読んだ後、彼女はその本を返そうとするのだが…」
・「予言メール」(「ちゃおデラックス」2010年春待ち超大増刊号)
「坂下楓(仮名)は小学五年生の女の子。
彼女はネットの掲示板で自分の小学校のパソコンルームに関する噂話があるのを知る。
それは、4時44分になると、一台だけパソコンが起動し、異界からメールが送られてくるというものであった。
放課後、女友達二人と一緒にパソコンルームで待っていると、噂通りのことが起きる。
メールは差出人のアドレスはなく、担任の先生が遅刻することがひらがなで書かれていた。
実際にその通りになり、その後もメールをチェックすると、メールの予言は全て当たる。
女友達は気味悪がり、楓は一人でメールを見るが、ある時、メールの文章に隠された秘密に気づき…」
・「エイリアン人類調査計画」(「ちゃおデラックス」2010年7月号増刊)
「渡辺佳奈(仮名)は動物好きな小学六年生の女の子。
友人たちと下校途中、彼女はペットショップがあることに気付き、入ってみる。
中は動物でいっぱいだが、店主は大きなマスクをつけた気味の悪い女性で、佳奈たちはすぐに店を出る。
それでも、佳奈は動物を見るためにペットショップに通い続けるが、毎回、奇妙なことが起きる。
ペットショップを冷かしに行ったクラスメートの男児はペットショップの店長は宇宙人だと訴えるのだが…」
・「忍び寄る。あのうわばき」(「ちゃおデラックス」2010年秋の超大増刊号)
「中川理沙(仮名)は小学六年生のいじめっ子。
彼女は転校生の小松ちはる(仮名)を標的にして、彼女のうわばきに「死ね」とマジックペンで書きこむ。
ちはるは欠席するようになり、理沙はもう不必要とちはるのうわばきをゴミ箱に捨てる。
だが、何故か、ちはるのうわばきは理沙のところに戻ってくる。
理沙はそのうわばきを川に流したり、燃やしたりするのだが…」
・「あなたのまわりのホントにあった怖い話」(「ちゃおデラックス」2010年夏の超大増刊号)
「(恐怖体験の募集があったらしく、グランプリ、準グランプリ、ちゃお賞を受賞した体験を漫画化したもの)
夏海、朱里、日菜子、紗枝は林間学校で同じロッジとなる。
晩、夏海が洗面所でろうそくを見つけてきたので、四人は百物語を始める。
最初の話は夏海から。
彼女が幼い頃、寝室にボロボロの服を着て、白い袋を手にした僧侶が入って来る。僧侶は部屋を歩き回るが、彼女の寝ている傍に立ち止まると…。
次に話すのは朱里。
彼女のひいおじいちゃんは足が悪く、テレビを観るのが好きだった。去年、ひいおじいちゃんは亡くなり、その部屋は両親の寝室、テレビは居間に置かれることになったのだが…。
三番目は紗枝。
彼女の祖母が亡くなった時、新しくお墓を立て、その前で家族写真を撮る。その写真には家族の背後に背を向けた人々が写っていたのだが…。
最後は日菜子。
彼女が今の家に移った時、親戚のみほとその母親が訪ねてくる。
みほがテラスに行くと、みほの母親が顔色を変え、日菜子に塩を持ってくるよう言う。
日菜子が塩を渡すと、みほの母親は「出ていけ!!」と繰り返しながら、外に向かって塩を投げつける。
みほの母親によると、前に住んでた人のご先祖が家族を捜して窓の外から見ていたらしいのだが…」
・「ピアノの闇にひそむ少女」(「ちゃおデラックス」2010年冬の超大増刊号)
「小嶋のぞみ(仮名)は小学六年生の女の子。
彼女は音楽教室に通い、ピアノの発表会に向けて練習に励んでいたが、いつも同じ所で間違えてしまう。
発表会の一週間前、彼女は学校の音楽室のピアノの噂を聞く。
このピアノは昔からあり、有名な音楽一家が寄付したものだという。
そして、このピアノを弾くと、ピアノが上手になると言い伝えられていた。
放課後、のぞみは音楽室に行き、そのピアノで発表会の曲を弾いてみる。
しかし、ピアノには他にも言い伝えがあり…」
・「異形のUMAゴム人間」(「ちゃおデラックス」2010年1月号増刊)
「森下理緒(仮名)は小学六年生の女の子。
彼女は家の本屋で店番の手伝いをするが、客は少なく、いつも退屈していた。
ある日、店にロングコートに帽子をかぶった怪しい客がやって来る。
彼女は特殊メイク専門学校生の兄が脅かしに来たと思い、背後からその帽子を奪う。
だが、それは緑色のゴムみたいな皮膚に尖った歯の怪人であった。
彼女が店をとび出したところで兄と会い、彼はそれは「ゴム人間」というUMAだと話す。
彼女は一笑にふすが、彼女の手には「ゴム人間」の帽子が残されていた。
その夜、彼女が寝室で本を読んでいると、窓が外から叩かれ…」
・「史上最恐の都市伝説 口裂け女」(「ちゃおデラックス」2011年春の超大増刊号)
「桜井いずみ(仮名)は小学五年生の女の子。
彼女は歯医者が嫌いで、あちこちに虫歯ができてしまい、母親に近所に最近できた歯医者に行かされる。
その歯医者は大きなマスクをした、きれいな女医さんで、一人でやっていたが、腕は確かで、いずみは安心する。
翌日、いずみは下校途中、皆と別れて、一人で歯医者に向かう。
すると、そこにあの女医さんが現れ、一緒に歯医者に行くこととなる。
女医は「もっとキレイになりたいと思わない?」といずみに聞いてくるのだが…」
・「ホントにあった怖い話 番外編」(描き下ろし)
「@茨城県。
ある日、河原あずみ(仮名)は委員会活動で帰りが遅くなる。
ふと見上げると、校舎のベランダの手すりに黒髪の女の子が座っている。
彼女は危ないと声をかけるが、目を離したすきに女の子は姿を消す。
翌日、校庭で友だちと遊んでいると、昨日の女の子が同じ場所にいる。
あずみが一緒に遊ぼうと声をかけると…。
A長野県。
ある小学校の女子トイレの噂。
東校舎の二階の女子トイレの奥から二番目の個室は誰もいないのに閉まっており、ドアを三回ノックすると、中から不気味な笑い声と共に五回ノックが返されるという。
だが、これは今川優子(仮名)の作り話で、友人のミホと協力して、他の女子生徒を驚かしては喜んでいた。
ある日、そのトイレに行くと、例の個室が閉まっている。
優子は自分たちの流した噂話を誰かが利用していると思い、そのドッキリに乗ることにするのだが…」
ちゃおの読者から栖川マキ先生に送られてきた恐怖体験の手紙を漫画化してものです。
学校怪談の大傑作「学校の怖い噂」の流れを汲む作品で、都市伝説系の内容が大半を占めます。
中でも「口裂け女」がいまだに現役なのが嬉しいところ。(作中で「マスクをつけていても不自然ではない現代の日本」と言及されているように、マスク着用率が諸外国と較べ、異様に高いことが「口裂け女」の寿命が長い理由の一つでありましょう。コロナ禍のお陰で、ますます寿命は伸びたようです。)
また、ちゃおホラーらしく、絵柄は可愛い少女向けなのに、ホラー描写になると、途端に全力で読者を殺しにかかるのも、その落差が味わい深いです。
ちなみに、個人的に一番怖かったのは「あなたのまわりのホントにあった怖い話」の一編、「墓の前で家族写真を撮ったエピソード」。これはかなり不気味です。
2024年7月30日 ページ作成・執筆