カトウタカヒロ
「カクカゾク@」(2020年8月17日初版第1刷発行)
「カクカゾクA」(2020年11月17日初版第1刷発行)
「カクカゾクB」(2021年2月17日初版第1刷発行)
「カクカゾクC」(2021年5月17日初版第1刷発行)


「単行本@」(「サンデーうぇぶり」2020年4月20日配信分〜6月15日配信分)
・「第1話・隕石」
 山田家は崩壊寸前であった。
(登場人物は以下の通り。
 山田大輔(父親)〜リストラされてアルコール漬け。腕っぷし強し。
 山田真由美(母親)〜優しい女性だが、義父の介護疲れで追い詰められていく。
 山田勝利(祖父)〜ぼけ老人。ピントの外れたことばかり言うのかと思いきや、たまにまともなことを言うので始末が悪い。
 山田縁(長男)〜真由美の連れ子。不良とつるみ、夜な夜なバイクを乗り回す。
 山田凛(長女)〜大輔の連れ子。陸上が好き。援助交際に手を出す。
 山田紬(次女)〜大輔と真由美の間に産まれる。引きこもりだけど、心根の優しい娘。)
 夫と妻は互いに再婚で連れ子がいたものの、最初は幸せな家族であった。
 だが、夫がリストラされたことから全ての歯車が狂いだし、皆の心はバラバラになる。
 そして、ある夜、母親は遂に夫に離婚届を出す。
 皆、諦めモードの中、紬だけが必死に反対し、最終手段に訴える。
 その時、50年に一度のラレール流星群の隕石が山田家を直撃し…。
・「第2話・合体」
 家はぶっ潰れたものの、家族全員無事な様子。
 がれきの中から顔の出ている縁は人影のようなものに助けを求める。
 だが、それは巨大な老婆の顔に手足の生えた化け物であった。(巨大な老婆の顔の下には中年男性の顔が付いており、舌もまた老婆の姿をしている。)
 これに攻撃され、縁たちはぶっ飛ばされるが、そこで驚愕の事実に直面する。
 彼ら家族は合体し、一つの身体になっていた…。(単行本@の画像を参照)
・「第3話・疎通」
 山田一家はその場から逃げるも、老婆の化け物に追いつかれてしまう。
 この化け物も彼らと同じく「家族」が合体したものであった。
 この化け物は山田一家を食べようとしており、その圧倒的なパワーを前に皆、どうしたらよいかわからない。
 とどめの一撃を喰らう寸前…。
・「第4話・現実」
 山田一家は病院に行こうとするも、人々から化け物扱いされる。
 更に、彼らと同じような化け物が幾つも出現し、互いに争い合う。
 一家はその場から逃げようとするが、途中で力尽き…。
・「第5話・謎」
 気が付くと、山田一家は家の離れに全員、全裸でそろっていた。
 だが、隕石の衝突災害は日本各地で起きており、昨夜のことは夢ではない。
 戸惑う彼らに祖父が突然、話しかけてくる。
 祖父にとり憑いているのは隕石と共に来た地球外生命体であった。
 エイリアンによると、縁たちは隕石の衝突で皆、死んだらしいのだが…。
・「第6話・繋がり」
 彼らが生き延びるには他の「家族」と戦い、それを食べねばならない。
 本来は家族一丸とならねばならないのだが、大輔と縁の確執が再燃してしまう。
 その時、縁の友人、岡勝(おか・まさる/あだ名はモジャ)がやって来て、縁は彼と共に外出する。
 モジャは昨日の災害で兄を亡くしており、縁たちの家族が無事だったことを喜んでいた。
 彼の気持ちに心を打たれ、縁は翌日、彼と共に登校する約束をするのだが…。
・「第7話・親父」
 休校中の学校で、縁は岡家の「合体家族」に襲われる。
 その頃、彼の家族は彼の危機に気付くも、孤立した縁は絶体絶命の窮地に陥っていた…。
・「第8話・願い」
 父親は縁をかばうも、瀕死の重傷を負う。
 また、縁も岡家の合体家族により上半身と下半身が切断される。
 祖父が縁の最期の願いを聞くと…。

「単行本A」(「サンデーうぇぶり」2020年6月22日配信分〜9月14日配信分)
・「第9話・回収」
 祖父は他の家族を回収し、山田一家は合体家族となる。
 だが、岡家と戦おうにも、縁は親友の勝と戦いたくはなかった。
 それに父親は腹を立て…。
・「第10話・蕎麦」
 自分達が危機に陥っているのに、いまだに縁と父親は喧嘩ばかり。
 その光景をあきれて眺めながら、岡勝の脳裏に兄の思い出が蘇る。
 勝はいつも優秀な兄と比較されていた。
 兄はいい会社に入り結婚し家を出るが、勝は実家の蕎麦屋を継ぐ将来しかない。
 だが、兄の真意とは…。
・「第11話・親友」
 亡き兄との約束を守るため、勝は縁に襲いかかる。
 彼は「友達」よりも「家族」を選んだのであった。
 しかし、一方の縁は…。
・「第12話・女」
 家族も友達も失いたくない。
 縁と勝の気持ちが他の家族にも通じ、両家は協力することとなる。
 しかし、仲直りの握手の際、岡家はあっさりと山田家を裏切り、攻撃してくる。
 見ると、岡家に異変が起こり、急速に凶暴化していた。
 岡家に何が起こったのであろうか…?
・「第13話・和解」
 両家が争う場に突然、現れた女、エリス。
 彼女のお陰で、両家は平静さを取り戻すことができる。
 エリスも「合体家族の宇宙人」であるが、彼女の外見は普通の女性であった。
 彼女は縁たちに制御して、宇宙人の本能に操られないよう警告する。
 その理由とは…?
・「第14話・家族会議」
 父親が中心となり、家族会議が開かれる。
 当座の生活は何とかなるので、連絡方法と行動範囲について話し合おうとした矢先、凛が父親に反発する。
 彼女は父親のリストラにより大学のスポーツ推薦をあきらめており、その挫折が尾を引いていた…。
・「第15話・先輩」
 家をとび出た凜は出会い系サイトでヘンな男に絡まれたところを陸上部の先輩、速水に助けられる。
 夜のグラウンドでお互いにいろいろな話をしていると、速水は彼女に少し走ってみるよう言う。
 しぶしぶ彼女が走ると、百メートルを9秒3の記録…。
 どうやらこれは宇宙人の力らしい。
 速水はこれに驚き、凛に推薦の話を自分がつけると話す。
 翌日、彼女は彼のコーチと会い、エージェントも紹介してもらえる。
 これで全てうまく行くと、彼女は速水に感謝するのだが…。
・「第16話・告白」
 凜はまた家をとび出すと、町で速水と会う。
 ところが、彼は女連れで、凛は衝撃を受ける。
 走り去ろうとする凜に速水は追いつき、彼女を抱きしめると、彼女だけが好きだと告白をする。
 その返事に凜は自分の家族が合体家族だと打ち明ける。
 だが、速水家もまた合体家族であった。
 速水の目的とは…?
・「第17話・走れ」
 凜は速水家の合体家族に追われるが、山田家の合体家族が助けに来る。
 だが、母親は凜をかばいつつ、誰とも合体しなくていいと話す。
 母親は今までの誤解を解くべく、凛に自分の弱さを打ち明ける。
 母親の話を聞き、凛が取った行動とは…?
・「第18話・娘と母」
 速水家とバトルの最中、速水家は暴走しそうになる。
 だが、暴走しているのは凜を追っかけていた先輩だけで、他の家族は皆、冷静であった。
 彼らは先輩の身体だけ潰し、その場から立ち去る。
 彼らは一体何者なのであろうか…?
・「第19話・秘密」
 山田家は少しずつ家族の絆を取り戻していく。
 ただ一人、父親だけは変わらないようなので、縁と岡勝は外出する彼を尾行する。
 父親はパチンコ店を通り過ぎ、隣の居酒屋に入るのだが…。
・「第20話・信仰」
 大輔(父親)はあるバーでバーテンダーとして働く。
 客に深谷という青年がおり、最近流行りの宇宙人動画をスマホで常連客の志賀に見せる。
 深谷によると、宇宙人関連の動画やそれに関するSNSのコメントはすぐ削除されていた。
 だが、彼の友人が宇宙人の撮影に成功しているらしく、大輔はそれに興味を感じる。
 翌日、深谷の案内で大輔と志賀はその友人の家を訪れる。
 その家は広く、道場のような場所に人が大勢集まっていた。
 彼らは「ムレール教」の信者というのだが…。

「単行本B」(「サンデーうぇぶり」2020年9月21日配信分〜12月14日配信分)
・「第21話・誘拐」
 山田家の前ではムレール教と警察が対峙する。
 警察にはエリスが付いており、ムレール教の面々をあっさり撃破。
 警察はムレール教が国家転覆を図っているとしてその壊滅を目指していた。
 山田一家は警察に協力するよう要請されるも、父親は拒否。
 すると、母親が突如逮捕されてしまう。
 更に、逃亡したムレール教の信者に紬がさらわれてしまい…。
・「第22話・母」
 山田一家は公安の百武徹と話をするため、警察に出向く。
 百武はムレール教は「他の合体家族と血の繋がりを作る儀式」、すなわち、セックスをすると話し、一家に揺さぶりをかける。
 紬の身が案じられるものの、父親は絶対に警察への協力を断る。
 何故なら、彼は過去に百武と会ったことがあった。
 そして、それは彼がリストラされた事件に関係しており…。
・「第23話・崩壊」
 父親の話を聞き、縁と凜は絶句する。
 しかし、今、紬の身に危険が迫りつつある。
 ジレンマに直面した彼らは母親に会い、意見を聞こうと考える。
 百武は縁たちを煽るために母親との会話を許可。
 母親は自分達はもうバラバラだと話すのだが…。
 更に、話が進むにつれて、意外な事実が明らかとなる…。
・「第24話・ムレール」
 ムレール教団に連れて来られた紬。
 彼女は助けを待ちながら、一人怯えていた。
 突然、鐘が鳴ると、信者たちは地下の会場へと向かい、紬もムリヤリ連れて行かれる。
 地下には広大な広間があり、舞台中央には「ゴッドダディ」と呼ばれるデブオヤジ(980歳)がいた。
 そして、その背後には3神使、真田ミカ(365歳)、サニー伊地知(149歳)、アズール北条(730歳)が控えていた。
 新しい神子たちはゴッドダディたちと「結合」の儀式をするというのだが…。
・「第25話・ちるどれん」
 ゴッドダディは会場の人々と合体し、巨大な化け物となる。(単行本Bの表紙を参照のこと)
 そして、無数の指から人間の身体が垂れ下がり、信者たちはそれと抱き合う。
 紬はこの場から逃げようとするも、指の身体に捕まりそうになり…。
・「第26話・普通の家族」
 山田一家は一応は平穏な生活を取り戻す。(警察の監視付きだけど)
 だが、紬は家族の愛を知りつつも疎外感に苦しんでいた。
 彼女は縁と凜が子供の頃のキャンプでの家族写真に自分が写っていないことを苦にしており…。
・「第27話・キャンプ」
 家族水入らずのキャンプ…のはずが、警察の一隊や他の合体家族(岡家含む)までついて来る。
 父親は苦い顔をしていたが、他の合体家族からはキャンプに来れたことを感謝される。
 一方、紬はスマホでネット友達のイコと連絡していた。
 イコは合体家族のいるキャンプ場へ向かっているようなのだが…。
・「第28話・写真」
 テントを張り、夕飯までに時間があるので家族写真を撮ることにする。
 適当な場所を見つけ、いざ撮ろうという時、紬が昔の家族写真と同じポーズで撮ることを提案。
 皆、ビミョ〜な面になるが、紬の涙には勝てず…。
・「第29話・よそはよそ」
 キャンプ場近くの山中でムレール教の連中と母子の合体家族が対峙していた。
 母子の合体家族はムレール教から脱走したらしい。
 ムレール教の連中の中にはサニー伊地知がおり、合体家族の母親に山田一家を殺したら、また教団に囲うと約束する。
 母子の合体家族は山田家の合体家族に襲いかかるが、とっても弱い。
 しかし、紬は母子の合体家族の中に親友のイコがいることに気付く…。
・「第30話・球体」
 他の合体家族が応援に駆け付けると、サニー伊地知は仲間と合体して、球体になる。
 その球体は高熱を発し、うかつに近づけない。
 球体は教団に帰ろうとするが、その中にイコは囚われていた。
 紬がイコを助けたいと強く願うと、山田家の合体家族に異変が…。
・「第31話・記憶」
 紬が助けた合体家族の母子は押見伊代と伊子。
 この母子の不幸な関係とは…?
 そして、伊子は母親のもとから離され、そういう境遇の子供たちの施設に入ることとなるが…。
・「第32話・過去」
 山田家の合体家族に起きた異変。
 それは宇宙人の記憶によるものであった。
 祖父にとり憑いた宇宙人は彼らの歴史について語る…。
・「第33話・煽動」
 ムレール教は電波ジャックをして、情報統制されていた合体家族のことが一般に広める。
 更に、警察が合体家族を虐殺しているとの情報を流す。
 これにより市民は警察に不信感を抱くこととなり…。

「単行本C」(「サンデーうぇぶり」2020年12月21日配信分〜2021年3月8日配信分)
・「第34話・崩壊」
 電波ジャック以来、騒動は収まらず、警視庁施設に対する襲撃も繰り返される。
 ある日、百武が山田家を訪れる。
 彼によると、まだ公にはなっていないが、一般市民が合体家族を捜し出して襲うという事件が起こっているらしい。
 そこで、自分たちの施設への引っ越しを勧めるが、そこに祖父が現われ…。
・「第35話・百武」
 合体家族の情報がネットに漏れ、あちこちで合体家族が出現し、狩りを始める。
 そこに岡家が現れるが、彼らは巨大な合体家族に襲われていた。
 しかも、相手の合体家族は岡勝の兄の仇であった。
 山田家は合体し、岡家と協力して、敵に立ち向かう…。
・「第36話・百武」
 ムレール教の深谷が山田一家の前に現れる。
 彼の横にはムレール教を鎮圧しようとして逆に捕らえられた百武の姿があった。
 深谷はこの世はムレール教が支配し、「家族」と言えばムレール教の合体家族をさすことになると話す。
 そして、山田家に自分達の仲間になるよう誘うのだが…。
・「第37話・真実」
 遂に自衛隊が出動し、このままでは大規模な武力衝突が起きてしまう。
 百武は山田大輔に協力を求めるも、大輔は家族を守るのに精いっぱいだと断る。
 すると、百武はある打ち明け話をする。
 その後、山田一家は避難所に向かうが…。
・「第38話・全員で」
 山田一家は百武に協力することに決める。
 自衛隊の作戦本部に向かうと、本部は合体家族に襲われるていた。
 山田家はエリスと共にムレール教の突撃部隊を片付ける。
 その後、百武よりムレール教への対策の話がある。
 ムレール教には合体家族を利用した生体コンピューターがあり、この予知能力はズバ抜けていた。
 このコンピューターを止めることができれば、今回の騒動は収束するというのだが…。
・「第39話・伊地知」
 自衛隊は作戦本部を移動中にサニー伊地知に襲われる。
 だが、伊地知の裏をかき、山田一家は別の車で移動中であった。
 しかし、山田一家の前にアズール北条が立ちふさがる…。
・「第40話・ダディ」
 山田家はムレール教の生体コンピューターのアイデアを利用して、その居場所を突き止める。
 だが、ビッグダディは想像を絶して巨大であった。
 山田家に勝ち目はあるのか…?
・「第41話・娘」
 エリスは生体コンピューターの頂上に立つ。
 彼女はムレール教の合体家族と合体するが、その目的とは…?
 そして、彼女の正体は…?
・「第42話・神」
 山田家とビッグダディの対決。
 「神」を名乗るビッグダディに山田家は「家族」や「絆」がどういうものであるか身をもって教える…。
・「最終話・家族」
 世の中は平穏を取り戻し、山田家も元通りになる。
 山田家にとって「家族」とは…?

 単行本の表紙を見てもらえれば一目瞭然ですが、ぶっちゃけ、「キワモノ」です。
 でも、単なる「キワモノ」ではありません。
 大抵、奇をてらった作品というのは設定の奇抜さで最初の方は面白いのですが、後が続かず、グダグダになって尻切れトンボになることが多いです。
 でも、「カクカゾク」は妙にストーリーや設定が練られていて、しかも、家族ドラマとしても作り込まれております。
 ただ、ちょっと打ち切りオーラが漂っていて、多少の説明不足や強引な展開はあるものの、それでも、しっかりした内容と評価できると私は思います。
 単行本の表紙やストーリーで食指の動かない人が多いでしょうが、ホラー漫画好きは一度挑戦してみても損はないのではないでしょうか?
 なかなか読みごたえがありますよ。

2024年6月3〜5・8・10日 ページ作成・執筆

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