みづほ梨乃「ショコラの魔法」(2009年7月6日初版第1刷・2019年6月20日第28刷発行)
森の中にあるチョコレート屋、ショコラ・ノワール。
お客を出迎えてくれるのは美しいショコラティエの哀川ショコラと猫のココア。
彼女の作るチョコレートはどんな願いでも叶えてくれる。
ただし、その代償として大切なものを一つ、失うこととなるのだが…。
・「ガトーオペラ歌姫の誘惑」(「ちゃお」2008年10月号)
「阿部まりあは売り出し中の新人歌手。
彼女はとにかく歌うことが大好きで、デビュー曲が10週連続一位の大ヒット。
しかし、先輩歌手の中洲亜矢はまりあを快く思わず、まりあが俳優の早川翔とできているとスキャンダルにはめる。
まりあは早川翔のファンたちに執拗な嫌がらせを受け、ひどい疑心暗鬼に陥った挙句、歌声が出せなくなる。
彼女は助けを求めて無我夢中で駆け、気が付くとショコラ・ノワールの前に来ていた。
まりあはもう一度歌えるようにと願い、哀川ショコラはトリュフを差し出す。
それを食べた後、まりあは歌番組で歌い、大歓声を浴びる。
彼女が失ったものとは…?」
・「スティックチョコレート決断のしるべ」(「ちゃお」2009年2月号)
「梶原まゆは才色兼備の少女。
成績はいつもトップで、委員会の仕事もバリバリこなす。
ある日、彼女は雑貨屋に寄り、売り物のコップを落として割ってしまう。
弁償しなければいけないが、持ち合わせがない。
ちょうどその時、店の人はおらず、彼女は壊したコップをハンカチで包み、一度店を出て、家にお金を取りに行こうと考える。
しかし、その現場をクラスメートの半沢ルミに携帯電話で写真を撮られてしまう。
ルミに脅され、まゆはとりあえずお金を渡すが、半沢の要求はどんどんエスカレート。
遂には、職員室にテスト用紙を盗みに行かされるが、そこに教師が現れ、まゆは逃走。
彼女は自分の人生はもう終わりだと絶望し、森を彷徨っているうちに、ショコラ・ノワールの前で倒れる。
目を覚ますと、そこは店内で、哀川ショコラはまゆにスティックチョコレートを食べるよう勧める。
これは「決断力のチョコレート」だというのだが…」
・「フォンダンショコラ情念の炎」(「ちゃお」2009年6月号)
「富永ミオはスケート大好き少女。
2月のある日、彼女は男子トップの稲場亨とペアを組むこととなる。
親友の藤田マキは亨のことが好きで、ミオは躊躇するも、マキはミオと亨が一緒に滑るところを見たいと肩を押してくれる。
マキはミオのマネージャーをすることとなり、ミオはマキの思いに応えようと無理を重ね、遂に疲労骨折してしまう。
だが、これは全てマキの策略であった。
親友に裏切られたと知り、ミオは亨に介助を受けながら、ショコラ・ノワールに向かう。
哀川ショコラは憎しみでいっぱいのミオに「情念のフォンダンショコラ」を勧める。
これを食べると、憎い相手を不幸に突き落とすことができるというのだが…」
・「キャラメルプラリネ愛の鎖」(「ちゃおデラックス」2008年冬の大増刊号)
「倉本沙羅はほやほやの高校一年生。
彼女は中学校時代はジミ〜であったが、そんな自分を変えるべく、ファッション雑誌を読み漁り、今はイケイケであった。
ただ一つ、不安材料があり、それは唯一同じ中学校出身の高城という男子。
彼は超ダサダサで、中学校時代に彼と同類扱いされるという沙羅にとって黒歴史があった。
幸いにも、彼は沙羅とは関わろうとはせず、これまでのところ、彼女の過去が明らかになるということはない。
ある時、女子に人気の品川と彼女は接点ができる。
その直後、携帯電話に見知らぬ相手から告白メールが届く。
告白されて悪い気はせず、一応、簡単に返事をするが、以降、メールは度々届き、徐々に内容は偏執さを増していく。
しかも、メールを出しているのは高城らしい。
遂には、沙羅の過去までさらされ、ストーカーの高城を何とかしてもらうため、彼女はショコラ・ノワールを訪れる。
だが、哀川ショコラは沙羅自身が何を求めているのかわかっていないと店から追い出す。
公園で沙羅が落ち込んでいると、品川がやって来て、彼女を慰める。
このことがクラスの女子にばれて、彼女は品川に色目を使ったと問い詰められる。
そこで彼女は高城のせいにするが、女子たちは納得せず、しかも、高城からも軽蔑されることとなる。
沙羅はもう一度、ショコラ・ノワールを訪れるが、彼女の願いとは…?」
・「フランボワーズ美しき罪」(「ちゃおデラックス」2009年春の超大増刊号)
「星野理華は大人気の少女モデル。
ある日、彼女はメイク・アシスタントの瀬尾ほなみと出会う。
ほなみは理華の大ファンで、理華も妹ができたようで嬉しい。
理華はほなみを買い物に連れて行ったりするが、ほなみは理華のファッションやコーディネートを観察する。
そして、あるパーティの際、ほなみは上から下まで理華と同じファッションで固めており、並ぶと姉妹のよう。
更には、撮影日に理華は急に気を失い、ほなみが彼女の代役を務めるという事件が起きる。
これが原因で理華は専属契約を切られるが、実はほなみはモデル志望で、理華からその地位を奪うための策略であった。
理華は、モデルとして復帰できるチャンスを求めて、ショコラ・ノワールを訪れる。
哀川ショコラはシャンパントリュフを食べるよう勧め、これは「輝くチャンスのチョコレート」だというのだが…」
ちゃおホラー(多分)最大のヒット作、「ショコラの魔法」。
単行本は約20冊あり、かなりの版を重ねておりますが、目がカマキリ並みに大きい少女漫画特有の絵が苦手で、食指が動きませんでした。
でも、ふとした機会に読んでみたら、これはなかなか面白い。
ミステリアスなチョコレート屋という設定は名画「ショコラ」がベースにあるのでしょうが、そこに「どんな願いでも叶うけど、その代わり、一つ代償を払わねばならない」という要素を加え、メリハリの効いた勧善懲悪のストーリーにうまくまとめあげております。
また、毎回、登場するオシャレなチョコレート菓子も人気を集めた要因ではないでしょうか?
私は甘党ではないので、さほどチョコレートは食べませんし、味もそれほどわかりませんが、世の中にはいろんなチョコがあるのだと勉強になりました。
ただ一つ、どうしても引っかかるのが、哀川ショコラのファッション。
ファッションというものについて私は全く理解も知識も皆無ですが、これはかなりのセンスだと思います…。
2024年10月4日 ページ作成・執筆