みづほ梨乃「ショコラの魔法〜nutty carnival〜」(2016年5月2日初版第1刷発行)
森の中にあるチョコレート屋、ショコラ・ノワール。
お客を出迎えてくれるのは美しいショコラティエの哀川ショコラと猫のココア。
彼女の作るチョコレートはどんな願いでも叶えてくれる。
ただし、その代償として大切なものを一つ、失うこととなるのだが…。
・「エンジェルフードケーキ 天使の息吹」(「ちゃお」2015年7月号)
「浅黄希(あさぎ・のぞみ)は新体操に情熱を燃やす少女。
彼女の唯一の気がかりは妹の奏(かなで)。
奏は最近、ギャルっぽくなり、部活に出ず、二人の間には溝ができていた。
ある日、希は練習中に胸の苦しみを訴えて倒れる。
彼女は心臓の病気で、手術をすれば治るが、新体操はあきらめねばならなかった。
希は新体操ができないのなら死を選ぼうとするが、奏が彼女の代わりに自分が全日本選手権に出ると話す。
短期間の練習で奏はあっという間に上達し、希は感心するが、奏はそんな希に対し、今までのコンプレックスと憎悪をぶつける。
希はこのままでは自分の居場所を奪われると考え、病院を抜け出し、ショコラ・ノワールを訪れる。
しかし、ここには彼女の病気を治すチョコは扱っていなかった。
失意の希はいつの間にか、練習場に足を運んでいた。
そこで目にしたのは…」
・みずの梨乃「ショコラの魔法 コーヒービーンズ真実の欠片」(「ちゃおデラックス」2015年7月号増刊ホラー&ミステリー号)
「飯田直(中学三年生)は新聞部部長。
彼女は、放送部の西尾猛と張り合っており、二年生の澤村竜聖の失踪事件をより先に解決しようとしていた。
ある時、彼女は願いの叶うチョコレート屋の噂を聞き、ショコラ・ノワールを訪れる。
話を聞いた後、ショコラは他者の目に映る景色が見える「コーヒービーンズ」を勧める。
それを食べると、鉄格子越しに鉄塔が見える写真がカメラから出てくる。
直はこの写真から場所を特定し、そこを調べるのだが…」
・「バリブレスト 勝者の轍」(「ちゃお」2015年9月号)
「綾瀬姫香は芸能一家で育ち、三歳の頃から子役として活躍していた。
しかし、彼女を認めてくれる人はおらず、ある映画の新人女優オーディションで優勝を目指す。
ところが、一次審査では岡本奈々という少女も姫香と同じ一位であった。
奈々は文化祭で芝居をした程度のキャリアしかなく、親が勝手にオーディションに応募したので出たという。
そんな素人娘と同点で姫香はひどくプライドを傷つけられ、同時に、もしもオーディションで優勝できなければ、失うものが多すぎる。
不安と焦燥の中、どうしたらいいのか悩んでいるうちに、彼女はショコラ・ノワールにたどり着く。
哀川ショコラは姫香から話を聞き、「パリブレスト」を勧める。
これは「勝利をさまたげるものをとりのぞくチョコ」であった。
姫香はこれを食べることを躊躇い、オーディション最終日を迎えるのだが…」
・「ショコラリキュール 月夜の祭典」(「ちゃお」2015年11月号)
「華と健也は幼なじみ。
ある日、健也が華に西の山にある廃線トンネルに行こうと誘う。
華は相手にしないが、あやかという少女が行きたいと言い出し、結局、華も付き合うこととなる。
トンネルに入り、暗闇を進むと、奥に明かりが見える。
健也とあやかが走っていき、華も後を追うが、出口を抜けた先は暗い気味の悪い場所であった。
彼女は灯りのある場所に向かうも、そこは魑魅魍魎まみれ。
しかも、健也とあやかはバケモノたちに捕まり、人形にされてしまう。
叫び声をあげそうになったところを、哀川ショコラに止められる。
ここは悪魔や魔女の集まるサバトで、今なら逃げられるが、まさか健也たちを置いていくわけにはいかない。
そこで、ショコラは姿が消えるチョコレートの香水を華に振りかけ、ショコラが人形を探している間、ショコラの出店まで行き、黒猫からメモに書かれてある商品をもらうよう華に頼む。
ただし、他の店の商品には絶対に触れてはならないと釘を刺されるのだが…」
・「ショコラパウンドケーキ 深海の祈り」(「ちゃお」2016年1月号)
「芹奈は豪華客船、ロイヤル・フォレスト号に乗り込む。
彼女の目的は七年前、船から海に転落死した聖(ひじり)という男友達の死の真相を知ることであった。
彼女を心配し、聖の友人だった拓也も彼女に付いてくる。
夜、二人で聖が落ちた甲板の柵を見に行くと、彼女の目に柵に座る聖の姿が視える。
彼女は聖が彼女に何か伝えたいのではないかと考えるが、その時、哀川ショコラが彼女に話しかけてくる。
哀川ショコラは何者かにこの船へ招待されていたのであった。
芹奈はショコラに七年前に何があったのか知りたいと言い、ショコラは彼女に「セサミマカロン」を差し出す。
これは「見たい時空の映像をうつす」ものなのだが、七年前の真実とは…?」
・「nightmare 儚き面影」(「ちゃおデラックス」2016年3月号増刊ホラー冬号)
「父の命日が近づくと、哀川ショコラは物思いに耽ることが多くなる。
彼女の父はライバルのショコラティエの放火により大やけどを負い、狂死したのであった。
彼女は炎の中に父親の顔を見て、更に、父親が炎の中から彼女を招く夢も見る。
カカオとは言葉が通じなくなり、孤独の中で彼女は父親の墓参りをする。
帰宅後、彼女は父親の幻を目にして、持っていた燭台を落とし…」
個人的には、「バリブレスト 勝者の轍」が最も出来が良いように思います。
ヒロインの懊悩をきめ細かく描いており、展開にも無理がなく、読後感も爽やかです。
余談ですが、「ショコラリキュール 月夜の祭典」にてチョコレートのお酒があることを初めて知りました。
一度、味見してみたいものです。(高そうだけど…。)
2025年7月20・21日 ページ作成・執筆