みづほ梨乃「ショコラの魔法〜vivid berry〜」(2022年12月31日初版第1刷発行)
森の中にあるチョコレート屋、ショコラ・ノワール。
お客を出迎えてくれるのは美しいショコラティエの哀川ショコラと猫のココア。
彼女の作るチョコレートはどんな願いでも叶えてくれる。
ただし、その代償として大切なものを一つ、失うこととなるのだが…。
・「ショコラグルナード 記憶の断片」(「ちゃお」2021年8月号)
「少女が目を覚ますと、そこは病室であった。
彼女は記憶を喪失しており、自分の名も母親の顔もわからない。
とりあえず、彼女の名は山田愛菜らしいが、自分のマンションに戻っても、何故か違和感が拭えない。
更に、母親は彼女を部屋からは決して出そうとせず、母親が外出する際には外からドアノブに針金が巻いてあった。
その晩、愛菜は母親に殺されると直感し、マンションから逃げ出す。
彼女はショコラ・ノワールに逃げ込み、哀川ショコラに記憶をなくす前の母親に会いたいと願うのだが…」
・「ボタンチョコレート 不器用な指先」(「ちゃお」2021年11月号)
「伊ノ瀬は裁縫の苦手な女の子。
彼女はバスケ部の黒田潤に想いを寄せていた。
ある時、彼女はサッカー部のマネージャーの妹尾が彼のボタンを手際よく付けるのを目にする。
伊ノ瀬はコンプレックスを刺激され、ショコラ・ノワールで裁縫の得意になるチョコを望む。
哀川ショコラが彼女に渡したのは、ソーイングの力を与える「ボタンチョコレート」であった。
伊ノ瀬は黒田潤に請われてマネージャーとしてバスケ部に入部し、繕い物を一手に引き受ける。
しかし、ボタンチョコレートには期限があり…」
・「ティア・ラルムチョコレート 恋の涙」(「ちゃおデラックス」2021年7月号)
「心結(みゆ)は想いを寄せていた慧から告白され、幸せの絶頂にいた。
慧は優しく、彼女を大事にしてくれるが、彼には女好きの噂があり、それを裏付けるような場面を心結は何度も目にする。
彼を信じたいと思いつつも、疑心暗鬼は募るばかりで、耐えきれなくなった彼女はショコラ・ノワールを訪れる。
哀川ショコラは心結から話を聞き、彼女にはチョコではなく、ガラスの小瓶を渡す。
心結がこの小瓶に触れると、心がすっきりして、小瓶に彼女の「純粋な心のカケラ」がたまる。
心のカケラは魔法のチョコの源で、ショコラは、小瓶がいっぱいになった時にまた店に来るよう、心結に言う。
心結はこの小瓶があれば大丈夫と喜び、以前のように慧と付き合い始めるのだが…」
・「ショコラ・ソリッド・パフューム あの日の思い出」(「ちゃおデラックス」2021年9月号)
「ハロウィンの夜、サバトという夜市が開かれる。
哀川ショコラもチョコを売る店を出していたが、チョコを容器ごと万引きされる。
ショコラとカカオは犯人を追い、その家を突き止めると、犯人はミルという人間であった。
彼は哀川ショコラが魔女になりたての頃、サバトで彼女を悪魔たちから助けたことがあり、その際に二人は人間界で会うことを約束する。
しかし、彼は自由を愛し、人間界には戻らずずっと魔界で暮らしていた。
ショコラはミルに人間界に戻るよう勧めるが、そこにエルザという魔女が現れる。
彼女はミルの育ての親であった。
また、体の弱い彼女を救うために、ミルが願いの叶うと言われるチョコを盗んだことが明らかとなる。
彼の想いを知ったショコラは…」
・「ショコラ・プレッツェル 再会の調べ」(「ちゃおデラックス」2021年11月号)
「小西理央は難病にかかっていた。
手術を受ければ健康になれるかもしれないが、失敗を怖れて受ける勇気がない。
彼女は病に倒れる前はフルート奏者で、病院の庭でフルートを吹いていると、哀川ショコラが話しかけてくる。
理央はショコラに、幼い頃からのライバル、結木充に死ぬ前に会いたいと願う。
彼は留学を終え、日本で凱旋公演を行う予定であった。
ショコラは理央に、想いを飛ばす「ショコラ・プレッツェル」を渡す。
ただし、体が弱っているため、彼女の魂を飛ばすことしかできず、話しかけたり一切できない。
それでも、理央はチョコを食べ、結木充のいるホールの控え室に行くのだが…」
・「ショコラ・プレッツェル 繋がる想い」(「ちゃおデラックス」2022年1月号)
「結木充と小西理央は幼い頃からフルートのライバル同士。
しかし、充が留学する前日、理央は突然、フルート教室をやめる。
聞くところによると体調を崩したらしいが、彼には何も挨拶がなかったことが彼にとってショックであった。
彼が懊悩している時、哀川ショコラが彼に話しかけてくる。
充は理央ともう一度会いたいと願い、ショコラは「ショコラ・プレッツェル」を渡す。
ただし、充は食べる覚悟が決まらず、そのまま、留学へ出かけるのだが…」
「ティア・ラルムチョコレート 恋の涙」が個人的にベストです。
自分の心に翻弄される娘を丁寧に描き、悪気はないものの浮気者の恋人が受ける報いはなかなかにほろ苦いです。
2026年7月28・29日 ページ作成・執筆