藤田和日郎「邪眼は月輪に飛ぶ」(2007年5月2日初版第1刷発行)
・「第壱回 狩人は森に佇む」
「ある日、アメリカ海軍の空母から東京へ『ミネルヴァ』が放たれる。
ミネルヴァは翼長150p程度のしろふくろうであったが、これに見られた者は皆、「呪い」にやられて死んでしまう。
たったの数日で全国での死者は四百二十万人を超え、日本は大混乱。
その最中、ある山村を二人のアメリカ人が自衛隊のヘリコプターで訪れる。
二人は陸軍特殊部隊(デルタフォース)のマイケル・リード准尉と中央情報局(CIA)のケビンで、目的は鵜平という猟師に会うことであった。
十三年前、鵜平はミネルヴァに挑み、撃ち落としたと言うが…」
・「第弐回 巫女は街を目指す」
「鵜平は奇妙な仮面をかぶった小柄な老人であった。
マイケルとケビンはミネルヴァ退治に協力してくれるよう頼むも、鵜平はミネルヴァを撃ち落とした後、米軍にそれを横取りされたことを根に持っており、二人を追い返す。
そこで登場するのが鵜平の娘、輪であった。
彼女は祈祷師をしており、村人の信任も厚かったが、母親の死のことで父親の鵜平を憎んでいた。
マイケルは彼女にミネルヴァの犠牲者の写真を見せ、鵜平を協力させるよう輪に頼む。
輪の一喝で、鵜平は重い腰をあっさり上げ、彼らは東京へと向かう…」
・「第参回 軍人は絶望に沈む」
「東京の本部にはアメリカの特殊作戦チームが集まっていた。
作戦とは、米軍と自衛隊がミネルヴァを目標地点まで誘導し、米国で有数の凄腕スナイパーが一斉に狙撃するというものであった。
鵜平と輪も会議の席に同席するが、スナイパーたちは鵜平をバカにする。
そんな彼らを鵜平は鼻で笑い…」
・「第四回 情報部員は暗黒を孕む」
「計画は失敗し、ミネルヴァは姿を隠す。
輪はミネルヴァの残した羽からミネルヴァが聖マーリン病院小児病棟にいると「観て」、ケビンと輪はそこに向かう。
聖マーリン病院では病院のシンボルであるふくろうの石像の後ろにミネルヴァが巣を作っていた。
小児病棟の様子を見た後、ケビンは本部に帰ろうとするが、ふとしたことから輪は彼の秘密を知ってしまう。
ケビンは単なるCIAの職員ではなかったが、彼の目的とは…?」
・「第五回 疾き車は街を駆ける」
「マイケルと鵜平がケビンと輪に合流。
このままではミネルヴァを駆除する目的で病院にミサイルが飛んでくる。
マイケルは鵜平に懇願するも、鵜平は「犬」がいないと何もできないと繰り返す。
そこでマイケルは自分が「犬」になると申し出て、鵜平は早速、行動を開始。
彼らは病院のふくろうの石像を車に乗せ、ビルの谷間を疾走する。
目指すはこのあたりで最も高い東京タワーであった…」
・「第六回 塔は決闘に震える」
「何度も危機を乗り越え、マイケルと鵜平は東京タワーに到着する。
ここで鵜平は自分の命と引き換えにミネルヴァを倒すつもりであった。
その時、思わぬ援軍が来る。
それはケビンと輪の乗ったハリアーであった。
鵜平はハリアーに乗り込み、ミネルヴァとの最後の勝負に挑む…」
・「第七回 邪眼は月輪に飛ぶ」
「鵜平とミネルヴァの勝負。
勝敗の分け目となったのは…?」
「週刊ビッグコミックスピリッツ」(2007年第2号〜第10号)にて掲載された、藤田和日郎先生による良作です。
ホラー、ファンタジー、アクション、家族ドラマが混然一体となってジャンル分けがしづらく、藤田和日郎作品としか言いようがないのではないでしょうか?(注1)
衝撃的なオープニングから尻すぼみになることなく、息をもつかせぬ展開を次々と繰り出し、ラストはド派手に決めて、感嘆の一言。(主人公たちがミネルヴァに殺されないのは愛嬌と言うことで…。)
ただ一つ、気になるのは日本では四百万人以上(総理大臣含む)死んでおりますが、後の復興は大丈夫だったのでしょうか?
ともあれ、ホラーを期待すると肩透かしを食いますが、一級のエンターテイメント作品ですので、一読の価値はあると思います。
・注1
何故、疑問文にしているのかと言いますと、私、藤田和日郎先生の作品を読むのはこれが初めてなのです。
「うしおととら」のコミックスは持ってはいるのですが、三十巻以上あり、いまだに手が出せてません。
いつか読まねば…と思いつつ、無情に時は過ぎていきます…。(そんな作品がいっぱい。)
2025年10月29・30日 ページ作成・執筆