青木孝夫「霊界教室A」(津野山久・原案/1993年9月25日初版第1刷発行)

 不思議世界の案内役、八雲礼士。
 彼が転校した先々で、体験した奇怪な出来事とは…?

・「1時間目 林間学校」
 高原での林間学校。
 夜、恒例の肝試しが始まる前、生徒達は先生に神社の裏の森に入らないよう注意される。
 そこは「入らずの森」と呼ばれており、迷うと二度と生きては出られないと伝えられていた。
 そう言われると、探検したくなるのが、ガキんちょの性(さが)で、八雲を含む五人組は「入らずの森」に入る。
 んで、案の定、迷ってしまった彼らに様々な怪奇現象が襲いかかる。
 また、彼らの前に現れる、着物姿の男の子の正体とは…?

・「2時間目 夏休み」
「二学期の始まる前日、八雲と三人の少年は、鈴木先生に宿題を見てもらうこととなる。
 三人の少年は工事中の旧校舎を通って、先にクラスに行き、八雲は遅れて、夕方、教室に入る。
 しかし、三人の少年は沈んだ様子で、鈴木先生の姿はない。
 八雲が事情を尋ねると、鈴木先生は旧校舎で事故に遭い、亡くなってしまったと言う。
 だが、そこに死んだはずの鈴木先生が現れ、教室のドアを開けるようノックする…。

・「3時間目 昆虫採集」
 恐ろしい夢を見て、保健室で眼を覚ました八雲。
 だが、夢の内容がどうしても思い出せない。
 クラスメートのもとに戻ると、理科室で昆虫の標本づくりの真っ最中。
 遊び半分で虫を殺すクラスメートを、八雲が注意すると、
「おまえだってさんざん虫を殺してきたじゃないか!!」
 と反論される。
 この言葉は前にもどこかで聞いた事があるようなのだが…。

・「4時間目 メリークリスマス」
「八雲が転入したクラスでは、文化祭の劇に向けて練習をしていた。
 しかし、ヒロイン役の少女はこの劇は呪われていると、役を降りたがる。
 実際に、おかしな気配を感じた八雲は、劇の邪魔をするものの正体を掴もうとする…。

・「5時間目 約束」
「子供達に人気の安浦先生。
 ある日、彼はスキーをやめた経緯を子供達に語る。
 小学生の頃、雪国出身の彼は、おじと共に、スキーをしていた。
 ところが、天候が急変し、吹雪となり、おじは崖から滑落。
 それ以降のことは話してはいけない「約束」だったのだが…。

・「6時間目 かんけり」
 八雲は友人達と缶蹴りをする。
 彼が鬼から逃げている時、階段の下にある闇に引きずり込まれる。
 それから、数十年、当時の少年達は学校で同窓会を開いていた…。

・「世にも不思議な物語」
「転校生の白井は大のこわがり。
 ある日、クラスメート達は幽霊のふりをして、彼を脅かす。
 だが、幽霊なんかいないとバカにする彼らに、白井は前の学校での体験を話す…。

 「霊界教室」は二巻完結ですが、二巻は一巻に較べると、ショック度は弱めです。(それでも、充分、トラウマ・レベルではありますが…。)
 また、ストーリーがどこかで見たような感じなのも、印象を弱めているかもしれません。(「約束」は小泉八雲「雪女」、「昆虫採集」はムロタニツネ象先生の「虫地獄」(「人形地獄」収録)では?)
 そして、ハッピー・エンドなのかよくわからないラストも正直、ビミョ〜です…。
 どことなく打ち切りのオーラを感じるのですが、はっきりしたことはわかりません。
 とりあえず、巻末の「この作品をラフカディオ・ハーン(小泉八雲)にささぐ…」という言葉で、主人公の名前、「八雲」礼士の由来がわかりました。

2018年7月13日 ページ作成・執筆

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