今井康江・他「本当にあった衝撃の恐怖体験」(2015年2月4日初版第1刷発行)

 収録作品

・今井康江「世界は光のなかに」(「ちゃおデラックスホラー」2014年10月号増刊)
「第一中学校の修学旅行にて、二年一組の生徒達は鍾乳洞を訪れる。
 近藤ひかり(13歳)が通路を進んでいると、四人の女子生徒が彼女に声をかけ、立入禁止区域に誘う。
 ひかりが彼女達と行くと、広場で四人はひかりに長谷川秀人について尋ねる。
 修学旅行の三日前、彼女は彼に告白されており、四人はそれに反感を抱いていたのである。
 彼女達は口論となり、もみ合ううちに、崖から川に転落。
 ひかりが目を覚ますと、流されたため、自分がどこにいるかわからない。
 彼女は懐中電灯を頼りに出口を探す。
 男子生徒達は「地底人」の噂をしていたのだが…」

・坂元勲「帰れません。」(「ちゃおデラックスホラー」2014年10月号増刊)
「春奈(13歳)の住む近辺で、40代前後の不審な男が目撃される。
 自分は大丈夫と高をくくっていたところ、家の前で彼女は攫われる。
 彼女を誘拐したのは、中年の夫婦で、春奈は山奥の一軒家に監禁される。
 夫の方は不愛想であるが、妻の方は彼女に愛着を持っている様子で、気を遣ってくれる。
 でも、夜中にこっそり彼女の首を見に来たりして、やはり、気持ちが悪い。
 春奈は夫婦に従順にして、脱出の機会を窺うのだが…」

・福永まこ「殺人パズル」(「ちゃおデラックスホラー」2014年10月号増刊)
「香奈枝はパズルがとても得意な少女。
 クラスでは孤立していた彼女に唯一、優しく接してくれるのは朋子のみ。
 香奈枝はクラスの皆と楽しく遊べるパズルがないかと考えていると、ネットで「3D作成カメラ」の広告を目にする。
 これは撮った写真を3Dパズルにしてくれるという優れもので、「今なら無料」の惹句に惹かれて、注文する。
 実際に、蝶をカメラで撮ると、その写真がパズルになっていて、出来上がったものは実物と一緒であった。
 朋子はこれを喜んでくれて、香奈枝はもう一度、カメラを注文したサイトを訪れる。
 すると、実寸大パズルが作れるという「3Dパズル」が紹介されていた。
 香奈枝はこれを入手して、学校で朋子達と一緒に箱を開けると…」

・溝口涼子「妄想」(「ちゃおデラックスホラー」2014年10月号増刊)
「井川月乃と陽子は双子の姉妹。
 だが、月乃は明るく、陽子は陰気で、性格も容姿も正反対で、とても双子とは思えない。
 ある日、図書館で陽子が心臓発作で急死する。
 葬式の日、月乃は斎場から離れ一人で悲しんでいると、陽子の幽霊が現れる。
 陽子は、いろいろと未練があり、成仏できないのであった。
 月乃は、陽子の未練を晴らすため、自分の身体を貸す。
 月乃の身体を使ううちに、陽子は、月乃の意識がない間、彼女の身体を自分の好きにできることに気づく。
 そして、月乃の彼氏、山内良太を夜の海に誘い出し、殺そうとするのだが…」

・諸岡きゅうこ「永遠のトモダチ」(「ちゃおデラックス」2013年夏の超大増刊号)
「ある中学光の三年生の修学旅行。
 くるみ、渚、里桜は仲良し三人組。(くるみ〜泣き虫でちびっこ。渚〜大人っぽくて、かっこいい。里桜〜性格の違う二人のまとめ役)
 くるみが携帯用ストラップを間違って、二つしか買って来なくても、里桜のアイデアでオリジナルのストラップが三つ出来上がり。
 だが、泊まった先のホテルで、くるみは怖い話を耳にする。
 このホテルには、修学旅行に行けなかった少女の霊が出て、仲良しグループは嫌がらせの末、あの世に連れていかれるという噂があった。
 怯えたくるみを渚が脅かそうとしたことから、二人の仲にヒビが入り、修学旅行はギスギスしたものとなる。
 里桜は涙を流して、二人を諫め、関係は修復したものの、くるみと渚は里桜の様子がおかしいことに気づく…」

・姫川きらら「ケータイノキモチ」(「ちゃおデラックス」2010年春の超大増刊号)
「和歌は友達の最新の携帯電話が羨ましく仕方がない。
 自分の携帯電話は三年前に買ったもので、もうボロボロ。
 朝、目覚めると、携帯電話がおニューになっていた。
 登校前、友達に電話していると、携帯電話が溶けだし、彼女はその中に引きずり込まれ…」

・七瀬れい「嗤う死神」(描き下ろし)
「黒沢は真面目な少女で、タロット占いにはまっていた。
 吉野菜子が彼女に占ってもらうと、何度やっても未来に「死神」のカードが出る。
 黒沢は一週間以内に命の危険があると警告するも、菜子は占いなど全く信じていない。
 実際、一週間、菜子の身には何も起こらなかった。
 お昼、彼女がお弁当を食べようとすると…」

・清家ミドリ「&change」(「ちゃおデラックスホラー」2014年10月号増刊)
「大暮絵里子は校舎の屋上からとび降り自殺をしようとする。
 彼女は戸崎萌を中心とするグループからいじめを受けており、それを耐えかねたのであった。
 自殺しようとした瞬間、彼女は手を掴まれる。
 見ると、空間に開いた穴から見知らぬ若い女性が現れ、彼女の自殺を阻止する。
 彼女は六年後の彼女で、絵里子の自殺を止めるため、未来からやって来たのであった。
 未来の彼女は、いじめになんか負けないよう、絵里子に変わるよう忠告する。
 そのアドバイスに従い、絵里子はいじめに立ち向かおうとするのだが…」

・いしいゆか「おともだち」(「ちゃおデラックスホラー」2014年10月号増刊)
「百々瀬暦(ももせ・こよみ/13歳)は転校して一か月経っても、友達ができない。
 体育の時間、和泉ミキという少女と知り合うも、彼女は暦と深く関わろうとはせず、大ショック。
 女子トイレで暦が泣いていると、キラキラした美少女が声をかけてくる。
 彼女は隣クラスの紗彩と名乗り、二人は友達となる。
 二人は休み時間を共に過ごすが、幾つかおかしな出来事があるも、夢だと思い、暦は気にしない。
 ある日の帰宅途中、暦と紗彩が帰ろうとした時、和泉ミキも同行する。
 帰りに三人はショコラティエに寄るのだが…」

・北村有香「キレイになりたい」(「ちゃおデラックスホラー」2010年7月号増刊)
「河原咲は高校一年生の少女。
 彼女はアンティーク・ショップで「ホープダイヤ」のペンダントと出会う。
 この「ホープダイヤ」は世界中の由緒ある人々の手を渡り歩いた、地上最大のブルーダイヤで、付けた人を光り輝かせ、きれいにするという。
 お代は気持ち程度で、綺麗になってからの後払いであったが、満足したら、返しに来るよう店主から念を押される。
 咲がこのダイヤを身に付けてから、彼女はぐんぐん綺麗になり、憧れの蒼井先輩とも結ばれる。
 だが、彼女は、綺麗でなくなった時のことを考えると、とてもダイヤを返す気にはならない。
 一方で、彼女は次々と不運に見舞われる。
 しかも、その時にはダイヤが光ったように見えるのであった。
 不幸はダイヤのせいと思い、彼女はダイヤを捨てるのだが…」

 福永まこ「殺人パズル」、溝口涼子「妄想」、清家ミドリ「&change」の出来がいいように思います。
 ベストは奇想が冴えた「殺人パズル」でしょう。
 また、「妄想」は意外などんでん返しがあり、感心しました。

2023年1月4・5・13日 ページ作成・執筆

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