富所和子・山口夏実「闇に鳴く石」(2003年8月20日初版第1刷発行)
収録作品
・富所和子・山口夏実「闇に鳴く石」(「ちゃお1996年5月号」から「超!ふしぎサークル」の題で四回連載?)
「あいり、隆志、涼一の三人は小さい頃から仲良し三人組。
ガサツで男っぽい隆志とは対照に、紳士的で頭脳派の涼一と、天真爛漫な少女あいり。
中学生になった三人は、あいりの希望で「ふしぎサークル」を結成する。
まず手始めに、理科室の「鳴き石」について調べることにする。
その石は、暗くなると、鳴くと噂されていたが、教師に見つかり、成果はなし。
翌日、今度は、校庭の隅にある、幽霊が出ると言われる石を見に行く。
その時、隆志に異変が起こり、卒倒。
以来、彼は時々、凶悪な面相になり、あいりに殺意をむき出しにする。
あいりと涼一は石について調べると、学校建設の際、石を壊そうとした作業員が変死する事件が起きていた。
石には何やらお経のようなものが書かれており、二人は近くの寺のお坊さんに相談する。
実は、あの石は、過去に起きた大量殺人事件と関係があるものであった。
あいりと涼一は、石に封印されていた怨霊をまた封印しようとするのだが…。
そして、理科室の「鳴き石」との関連は…?」
・富所和子「わたしの中の…」(「ちゃお1996年5月号」付録プチちゃおコミックに掲載)
「浜田夏海は元気いっぱいの女の子。
自分の魅力で愛しの日野くんを振り向かせようと夢見るものの、友人の山瀬が先に告白してしまい、日野はあっさりOK。
失恋した夏海が部屋で泣いていると、彼女に話しかける声がする。
声はスクール・カバンの中からで、日野は山瀬にだまされていると、夏海を慰める。
カバンの中の声は、夏海の耳に心地よい言葉のみを囁き、夏海は徐々に洗脳されていく。
その声の正体は…?」
中編「闇に鳴く石」は、個人的に、ウジウジしたヒロインを受け付けず、イマイチに感じました。
その代わり、短編の「わたしの中の…」は、諸星大二郎先生「袋の中」の影響を(多分)受けながらも、女子中学生のドロドロ・グログロな心理描写に重点を置いており、かなり読み応えがあります。
ちゃおホラーの中でも、かなりのトラウマ度を誇る名作ではないでしょうか?
2019年8月5日 ページ作成・執筆