室山まゆみ「とびきり特選あさりちゃんB 気分はホラー」(2008年7月22日初版第1刷・2014年2月20日第3刷発行)
収録作品
・「あさり、おばけになる!?」(単行本E巻)
「海に行った時の写真。
その中の一枚に、あさりの背後に着物姿の女性がいる心霊写真があった。
夜、あさりの寝室にその女幽霊が現れる。
女幽霊はあさりが自分の死んだ子供にそっくりだと話し、あさりを殺そうとするのだが…」
・「愛と死をみつめて!?」(単行本G巻)
「丈夫なことだけが取り柄のあさりが寝込んで、死にそう。
でも、医者の診立ては単なる風邪で、熱の「37.4度」。
それでも、優しくしてもらおうと、あさりは大袈裟に苦しむ。
そんなあさりの様子を見て、死神が彼女の魂を抜きに来るのだが…」
・「寄り道の罰」(単行本57巻)
「あさりは遅刻の罰として校長室で居残り。
雨が降るので、校長は寄り道せずに帰るよう言うが、あさりは、新刊の漫画を立ち読みしようと、寄り道する気満々。
途中、あさりは木の下で少女が雨宿りしているのを目にする。
少女がずぶ濡れになっているのを気の毒に思うものの、自分も濡れたくないので、無視しようとすると、いつの間にか、その少女があさりの傘を手にして、相合傘となっていた。
あさりは少女の正体を悟り、傘を置いて、その場から逃げようとするのだが…」
・「あさりちゃんの地獄のメロディー」(単行本22巻)
「放課後、あさりが音楽室の窓を閉めに行くと、きれいな女性がピアノを弾いていた。
女性が今、弾いていた曲の感想を聞いてくるが、その曲は「猫ふんじゃった」で、あさりは自分にだって弾けるとあっさり。
すると、女性はこれは自分が「長いことかかって作った曲」だと主張し、明日こそびっくりするような名曲を聴かせるから、この時間にまた来るよう、あさりに命令する。
あさりは毎日、放課後、音楽室に行くが、女性が弾く曲は「はとぽっぽ」や「チューリップ」といった童謡ばかり。
だが、あさりは徐々にやつれて、明らかに様子がおかしくなる。
たたみは放課後、あさりの後をつけ、あさりが「みんなの歌おばけ」にとり憑かれていることを知り…」
・「あさりの幽体分離」(コミックス未掲載作品)
「ある朝、あさりがいつまでも起きてこない。
たたみとママが様子を見ると、息はしているが、まるで死んでいるかのよう。
たたみはあさりが「幽体分離」をしていると気づく。
たたみとママはあさりの幽体がどこに行っているのか推理するのだが…」
・「花子さんハーイ!」(単行本32巻)
「あまったフィルムであさりは写真を撮る。
その中の一枚は、自分の部屋を外から写したものであったが、窓ガラスに女性らしき影が写っていた。
あさりは自分の部屋に何かがいると大騒ぎ。
たたみはあさりに、学校にいる「花子さん」があさりについてきたと言うと、火に油を注ぐ結果となる。
あさりはすっかり「花子さん」ノイローゼになるのだが…」
・「巻貝町ミステリーツアー」(単行本36巻)
「あさりはたたみにおだてられ、『巻貝町ミステリーゾーン』の取材に協力することになる。
たたみは新聞委員長で、学校新聞の記事にする予定であった。
夕方、二人は巻貝町の心霊スポットを回り、写真を撮るのだが…」
・「怪談、ポチを呼ぶ声」(単行本43巻)
「あさりが「うにょ」(浜野家の飼い犬)の散歩をしていると、どこからか「ポチ」と呼ぶ声が聞こえる。
見渡しても誰もおらず、うにょはやけに怯えた様子であった。
帰宅後、あさりがこの話をすると、たたみは、あさりには声だけしか聞こえなかったが、うにょはそのおばけの姿を見たと指摘する。
更に、ママは、あのあたりで二か月前、犬をつれた少女が轢き逃げにあって死んだと話す。
あさりは一人でうにょの散歩に出かけるのが怖く、たたみと一緒に行くのだが…」
・「階段怪談」(単行本47巻)
「桜貝小学校に伝わる『階段怪談』。
放課後、人気のなくなった校舎の東階段に「手すり女」が現れるという。
手すり女は六年生ぐらいの女の子で、階段の手すりに股をかけて滑り降り、壁に激突。
振り向くと、血まみれの顔で、「どうして止めてくれなかったの〜」と首を絞めようとするのだという。
その話を聞いた翌日、あさりは日直で、放課後、先生の手伝いをさせられる。
更に、理科室の鍵を閉めるよう頼まれるが、理科室には東階段を通らねばならなかった。
そこで、あさりが考えたこととは…」
・「おばけのいるレストラン」(単行本58巻)
「パパがいない夜、浜野家のママ、たたみ、あさりはイタリアン・レストランで夕食をとる。
デザートの前、あさりはトイレに行く。
トイレの中は左右と背後が鏡張りであった。
用を足している最中、あさりが横を向くと、鏡の中に見知らぬ少女の姿が映っている。
あさりは急いで力んでいると、少女が話しかけてくる…」
・「ラッキーばけ子ちゃん」(単行本48巻)
「新学期。
あさりが元気いっぱいで学校に行こうとすると、突然、ランドセルに重みがかかる。
見ると、ランドセルに女の子の幽霊が座っていた。
彼女は四年生の新学期を前に死んでしまい、学校生活を楽しもうと、あさりにとり憑いていしまう。
最初は怯えていたあさりだが、授業も宿題もテストも全部、幽霊が教えてくれて、成績急上昇。
あさりはすっかり慢心して…」
・「雨女はだれだ!」(単行本67巻)
「浜野家が外に遊びに行こうとするたびに、雨…。
ママとたたみはあさりを雨女と決めつける。
二人はあさりに何かが憑いていると考え、それを確かめるため、午前零時に合わせ鏡をするのだが…」
・「夏祭り仮装大会」(単行本70巻)
「巻貝町の夏祭りでは、駅前広場で仮装大会を催すこととなる。
参加は自由、優勝賞品盛りだくさん、参加賞も悪くないということで、たたみは大張り切り。
「くずの葉ギツネ」に扮するも、あさりにバカにされ、あさりをボコボコにする。
さて、たたみが駅前広場に行くと、幽霊の扮装をしたあさりがいた…」
・「クトゥルーの呪い」(小学五年生1988年12月号付録「ミステリー・ホラー・コミック」)
「夢の中、あさりは筏で暗い海を漂流していた。
向こうからボートがやって来るも、乗客は皆、脳ミソを食べられ、死んでいた。
すると、海の中から「のうみそをよこせ」と幾つもの手が伸びてくる。
しかし、あさりの頭はピ〜マンなので、化け物たちはもっと詰まったのうみそを要求。
一度起きたあさりは、たたみの寝床に入るのだが…。
夢に出て来た化け物達の正体とは…?」
・「霊が見えれば」(単行本76巻)
「あさりは喧嘩は強いが、怖い話は大の苦手。
と言うのも、あさりは何度も霊を視ているからであった。
クラスメートが、しょっちゅう霊を視ている人は逆に怖くないとあさりに話す。
何でも、霊を視ることができる人に教えてもらうと、視ることができるようになるらしい。
魔の悪いことに、いばら(あさりのクラスメートで天敵)のいとこののばらという女性が霊を視ることができた。
あさりはのばらからレクチャーを受けることとなるのだが…」
単行本100冊を超えた大ロングラン漫画「あさりちゃん」。
その中からホラー風味な作品を集めたアンソロジーです。
基本、ギャグ漫画なので、他愛のない話も多いのですが、稀に「ガチ」な話もあって、背筋がひんやりとさせられます。(「寄り道の罰」「花子さんハーイ!」「階段怪談」等)
中でも、「クトゥルーの呪い」は単行本未掲載のトラウマ作品として高名。(室山まゆみ先生はラヴクラフトがお好きらしい。)
「作者のぺえじ」も充実しており、怪奇マンガ・ファンには読む価値は十二分にあるように思います。
2023年2月22日/3月7・8日 ページ作成・執筆