葉月シモン「うごめく闇」(1983年6月30日第1刷発行)

 収録作品

・「うごめく闇」(1982年「週刊マーガレット」49号連載)
「美保は、名取千秋からの手紙を受け取る。
 名取千秋は中学校の時の親友で、彼女が転校してからも電話で連絡を取り合っていた。
 手紙には、家族が狂ってしまい、殺されると書かれ、美保に助けを求めていた。
 美保は、男友達の勇介と共に、彼女の家を訪れる。
 しかし、千秋は、手紙は出してないと言い張り、美保達に早く帰るよう言う。
 様子がおかしいのは千秋だけでなく、家族もどこか奇妙であった。
 美保と勇介は名取家に泊まることになるが、夜中、美保は何かの気配で目を覚ます。
 すると、額にゴキブリが落ちてきて、顔をあげると、天井隅に大量のゴキブリが寄り集まっていた。
 彼女の悲鳴を聞き、勇介が駆けつけるが、そこにはゴキブリの影も形もない。
 訝りながら、美保が水を飲みに行くと、納屋に灯りが付いている。
 窓から覗くと、縛られた千秋を家族が取り囲んでいた。
 彼らは千秋にあるものを飲ませるのだが…」

・「スーパー・ノバ」(1982年「週刊マーガレット」19号連載)
「新星子(あたらし・せいこ)は、女友達と共にボートで沖に出る。
 すると、空に光が見え、光の球がボート目がけて落ちてくる。
 それは星子に直撃し、彼女は意識を失う。
 実は、その光の球は、宇宙監獄から逃走した「ノバ」であった。
 後日、気象庁の清里観測所で、UFOが多数確認されるとの報告がなされる。
 新聞社のデスクである星子の父親は、記者の高津と清里観測所を訪れ、UFOを実際に目撃する。
 高津は連絡のために麓に向かうが、途中、観測所が爆発する。
 高津から父親が重傷を負ったと知らされ、彼女は急いで病院に行く。
 すると、麻酔で眠っているはずの父親が突如、起き出して、彼女を襲う。
 彼女は超人的な力を発揮して、反撃するのだが…。
 彼女の中に潜む「ノバ」とは一体…?」

・「天国への扉」(1981年「週刊マーガレット」50号連載)
「教会が運営する孤児院「光の家」。
 麻由は、両親を一月前に亡くして、泣いてばかり。
 腕白坊主の勝は彼女のことが何故か気になり、話しかける。
 麻由は、母親の所に行きたいと言い、勝は両親は「お空」にいると教える。
 その夜、二人は寝床を脱け出して、キリストの磔刑像に、「天国」に連れて行ってくれるよう必死に祈る。
 翌日、真由の叔父夫婦が彼女を引き取りに来る。
 明らかに遺産目的であったが、孤児院としては拒否することもできない。
 真由は叔父夫婦に引き取られたものの、虐待を受け、雨の夜、孤児院へ一人で戻ってくる。
 勝は彼女を連れて、礼拝堂に逃げ込むのだが…」

・「魔性伝説」(1981年「週刊マーガレット」31号連載)
「神守明と麻生妖子(ましょう・ようこ)は考古学を学ぶ学生であり、また、婚約者同士。
 妖子が明の母親に顔を見せるため、故郷の滑津川(なめつがわ)を訪れた際、二人は遺跡のフィールドワークに出かける。
 遺跡を見て回っている最中、妖子は「御かくし山」を見て、ショックを受ける。
 彼女はその山に何か霊気のようなものを感じ、翌日、二人は登る。
 明によると、何もないらしいが、地震の後、土砂崩れの跡から洞穴が見つかる。
 中は石室になっており、壁には見知らぬ文字が彫られていた。
 彼は、文字の写真を大学の教授へ送るのだが…。
 この山に秘められた「鬼人伝説」とは…?」

 葉月シモン先生の三冊目の単行本で、ホラー漫画がメインです。
 ゴキブリ・ホラー「うごめく闇」はそのスジでは有名ですが、個人的に気になったのは「スーパー・ノバ」。
 病院での殺戮は明らかにやり過ぎで、感銘を受けました。(投げっぱなしのラストはモヤモヤするなあ…。)

・備考
 目立つ汚れ、幾つかあり。最後の方に二か所押印があり、それをマジックで塗りつぶしている。

2022年1月8・9日 ページ作成・執筆

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