柿崎普美「ダークハンター 死者の学園」(1989年4月30日第1刷・1989年10月15日第3刷発行)
収録作品
・「ダークハンター 死者の学園」(「ザ・マーガレット」1988年・28)
「生徒数二万のマンモス校、王城高校の新理事長は、若干17歳の王城さとし。
彼は、ドクター・ロバートの協力のもとに、特別舎をつくる。
そこで再教育を受けた劣等生は「エリート」として生まれ変わり、抜群の能力を発揮するようになる。
しかし、その「エリート」の不審死が相次いで発生。
王城さとしの幼馴染で恋人である霧山由紀も「エリート」の不審死を目の当たりにする。
由紀はどんどん遠い存在になっていく王城さとしを心配し、謎に包まれた特別舎を不審に思う。
そんな由紀の前に、己神怜という男子学生が現れる。
己神怜はことあるごとに王城さとしとドクター・ロバートを挑発し、特別舎での「再教育システム」を非難する。
彼は特別舎の秘密を何か握っていうようなのだが…。
そして、人の死相を見ることのできる己神怜の正体とは…?」
・「ダークハンター ダークナイト」(同人誌「プライベート・エリア」1985年8月)
「チベットの山奥で狼に育てられた少年、レイ。
10歳の頃、捕られられ、ある組織の研究所にて、人体実験を受ける日々を送る。
見かねた女科学者サリアとともに研究所を逃亡、山奥の小屋で隠れ住む。
それから三年間、サリアから言葉を習い、愛情をたっぷりそそがれ、人間らしくなったレイ。
ある日、レイの前に、サロメという謎の女性が現れる。
サロメは、サリアのために血を流すことになるから、サリアから離れるべきとレイに忠告する。
レイが家に戻ると、サリアは組織の人間によって誘拐されていた。
サリアを人質にされたレイは、、並外れた能力を買われ、一流の殺し屋に仕立て上げられる。
サリアを取り戻す日を夢見て、組織に言われるがまま、レイは暗殺を続けるのだが…」
己神怜の生い立ちを描いた作品であります。
同人誌に発表されたものですので、柿崎普美先生の本来描きたかったマンガなのでありましょう。
やっぱり最後は「ファンタジックな設定」で締めております。
辛いことを書きますと、こういった設定をうまく作品に溶かし込めなかったところに、柿崎普美先生の作品の弱点があるような気がします。
まあ、多少の欠点があったとしても、1980年代を通して「マーガレット」の怪奇マンガを、ほとんど一人で支えた柿崎普美先生には素直に頭が下がります。
・「狼くんの午後」(「ザ・マーガレット」1988年・31)
「閑静な片田舎にある私立遠野学園は、日本で有数の財団の宗主である遠野家により設立された。
この学園の特徴は、午前中は普通の授業で、午後は専門教育にまわされる。
この専門教育は、生徒の生来のための専門教育を学ぶためのもので、あらゆる分野にわたり、選択は生徒の希望に任されていた。
ある日、遠野学園に都内からの転校生がやって来る。
刀根雪乃という女生徒は、幼い頃、何度も誘拐されたトラウマから、極端な男性恐怖症。
そんな彼女に、理事長、遠野賢はアドバイザー兼ガードマンをつけると約束する。
それは遠山狼という男子生徒であった。
しかも、理事長が選んだ専門教育は「アイドル科」。
雪乃の中にある宝石の原石を探し出すため、雪乃と狼の二人三脚が始まる…」
ドタバタ・コメディーです。個人的には、なかなか面白かったです。
2016年8月3日 ページ作成・執筆