福田健太郎「シニギワ」(2016年12月7日第1刷発行)

 要守(かなめ・まもる)は五歳の頃から自分の能力に気付き始める。
 彼の能力は「人の肌に触れるとその人の『死に際』が見える」というものであった。
 12歳の時、彼はその能力を人のために使おうと考える。
 中学の入学式の時、級友だった小暮が校舎の屋上から跳び下りようとするのを予知し、彼は友人の明と共に小暮を止めようとする。
 だが、突然、右手が激痛に襲われ、皮膚と肉が溶けるように見える。
 しかも、小暮の代わりに明が転落して死亡し、助かった小暮も数日後には自殺してしまう。
 このことで守は「人の『死に際』を変えることは決して犯してはなら」ず、また、「人の死に際を変えると、別の誰かが死ぬ」というルールを知る。
 その教訓は右手に黒いアザとして刻まれることとなった。
 そして、16歳になった守は高校生となり、中学校の時の話から「死神」と呼ばれ、恐れられていた…。

・「第1話 君への愛は永遠に死なないから」(「ジャンプGIGA」2016年Vol.1)
「もうすぐ文化祭。
 要守のクラスの演目はフォークダンスで、くじ引きでペアを決める。
 彼の相手は美人かつ清純で人気の高い白石カナで、クラスメートは皆、彼のことを敬遠していたが、彼女は彼に微笑んでくれる。
 しかし、神崎という粗暴な男子生徒が彼にくじの券を変えろと強要し、アザの右手を出して脅すも、逆にボコボコにされてしまう。
 その夜、守は枕を涙で濡らすが、文化祭当日、彼の相手として目の前に立ったのは白石カナであった。
 白石カナは神崎が彼からくじの券を奪ったことを知り、友人の券と替えていたのである。
 守は感動しながら、彼女と踊るが、ダンスの最中に彼女が照明器具に直撃されて首がすっ飛ぶところを視る。
 彼は彼女の「死に際」を変えるため、この場所から去ろうとするが…」

・「第2話 存在の許されない世界」(「ジャンプGIGA」2016年Vol.2)
「文化祭での死を回避したものの、『死』は白石カナを追っている。
 今度、彼女に訪れるのは午後四時半ごろの駅前の交差点での交通事故死。
 守は彼女をなるべく事故現場から遠ざけ、更に、彼女の代わりに死ぬ人を見せないようにしなければならない。
 その日の下校途中、彼は白石カナに声をかけ、喫茶店に誘う。
 一緒にいたカナの親友の武下梓も一緒に誘うも、彼女は彼に冷たい言葉を投げつける。
 武下梓がカナの身代わりになると思い、その時は安心するが、段々と彼女を見殺しにすることが心に重くのしかかって来る。
 事故が起きる時間、彼は駅前の交差点に駆けつけ、梓を引き留めようとするのだが…」

・「第3話 究極の愛のかたち」(「ジャンプGIGA」2016年Vol.3)
「守は身代わりに死んでしまうつもりであったが、自分がその身代わりとなり、事故に巻き込まれる。
 死に瀕した彼の前に『死』が現れ、それが口から出す光はぽかぽかと温かく心地よい。
 だが、守は白石カナを守るために生きなければ!!と思い、『死』に歯向かい、これを殺す。
 一か月後、彼は病院の一室で目覚める。
 病室にはカナがおり、彼は彼女が死から逃れることができたのではないか?と考える。
 試しに彼女の手に触ってみると、この晩、彼女は道路の陥没により死ぬ運命で、『死』の追跡はいまだ続いていた。
 しかし、彼はカナを救い、同時に誰も傷つかない方法があることに気付く。
 彼は病室を脱け出し、カナが事故に遭うはずの現場に向かうが、そこには…」

・「最終話 この世の生きとし生けるものと同じ数だけの誕生がある」(「ジャンプGIGA」2016年Vol.4)
「十年後、要守とカナは結婚し、カナは妊娠する。
 ある日の診断で、医者は胎児に生命活動以外の反応がないことを重く見て、明日、帝王切開の手術をすることを決める。
 だが、その手術ではどちらかの命が選ばれなければならなかった。
 そして、守は海外に行き、カナとは連絡が取れなくなっていたが、実は…。
 守はカナを救うことができるのであろうか…?」

・「おまけ漫画 シニギワ」
 福田先生のデビュー作「デビリーマン」とのコラボですが、「デビリーマン」を読んだことがないので、よくわかりませんでした。

 『死』を予知する青年が愛する女性を『死』から守ろうとする…というストーリーで、各話のタイトルからしてロマンティック(もしくは中二病)なオーラが出ておりますように、恋愛ものの要素が強いです。
 ただ、このヒロインのために、かなりの数の人が「身代わり」になってしまっているので、人によっては話に入り込めないかもしれません。
 それに、本来死ぬはずでない人間がこんなにひょいひょい死んでたら、人類全体の運命が変わってしまうのではないでしょうか?
 また、第3話からの展開が唐突かつ強引で、さすがにコレはないような気がします。
 最終話はとても感動的なので、急ぎ足で終わらせず、もっとじっくり続けることができたら、また評価は変わったかもしれません。

2024年6月20・22日 ページ作成・執筆

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