ブーメランパンツ野郎「邪図」(2019年2月9日第1刷発行)
収録作品
・「第1話 B」
「フミは出産を控え、実家で暮らしていた。
ある朝、目覚めると、お腹の中の赤ん坊がいない。
赤ん坊は何とフミの母親のお腹に移動していた。
母親は高齢のため、出産には耐えられそうにないが…」
・「第2話 M」
「溝口(27歳)は競馬狂いのフリーター。
競馬ですってんてんになり、バイト先は解雇され、お先真っ暗。
絶望のどん底にいた時、友人からもらった植木鉢に変化が起きる。
この植木鉢には「咲くと幸せになれる」花の種が植えてあり、その花が咲いていた。
しかも、茎には硬貨が生えていて、合わせて二万円ぐらいある。
これで当分、生活できると思いきや、翌日、競馬で全部使ってしまう。
頭を抱えていると、花にまた硬貨が生えている。
どうやら彼が不幸や悲しみを感じると、お金が生えてくるようなのだが…」
・「第3話 ピクチャーブック」
「あるマンションの一室。
シノブは、母親に捨てられた少年。
飼い犬のマサルと共に、彼は絵本を読んで、母親の帰りをむなしく待ち続ける。
マサルはシノブのために、彼の大好きな「モーリーをさがせ!」の本を引っ張って来る。
シノブは本を開くが、中の登場人物は、彼が見ない間に、皆殺しにされていた。
彼はモーリーの生死を確かめるため、本を隅々まで捜していると…」
・「第4話 4月6日」
「妻のカオリが出かけた際、カズオは彼女の日記を読んでみる。
最初は、鈍感な夫への愚痴ばかりだったが、次第に、夫の無関心なのをいいことに外出したという記述が多くなる。
そして、内容は「無味無臭で苦しまず死因さえはっきりしないような毒」のことに移り…」
・「第5話 老婆」
「オレオレ詐欺で弁護士役の青年がある老婆の家を訪れる。
さっさと金を回収して、帰ろうと思っていたところ、老婆は彼を息子の陽一と勘違いしていた。
老婆は金をたっぷり持っており、彼は息子のふりをするのだが…」
・「第6話 Potion」
「配送の仕事中、とび出してきた子供を轢き殺した男性。
彼は「人殺し」と責め苛む声に耐えかね、教会の懺悔室で思いの丈を打ち明ける。
すると、神父は彼に液体の入った小瓶を渡す。
毒と思い、その液体を飲むが、翌朝、目を覚ますと、心がとても軽かった。
地獄が終わったと喜ぶも、何か違和感が…」
・「第7話 COLORS」
「横尾サツキは他人との付き合いが苦痛の女子高生。
ある日の四時間目の終了間際、彼女は突如として人の心が見えるようになる。
人の心は心臓のあたりで燃えている炎の形をしており、その色を見るだけで、サツキは相手が何を考えているか手に取るようにわかる。
これを利用して、サツキはクラスメート達の相談にのり、次々と解決していく。
彼女は人に頼られ、感謝されることに喜びを覚えるのだが…」
・「第8話 面接」
「ある会社の面接。
担当者は青年の答えを、熱意が伝わって来ると褒め称える。
だが、その次には「本音でお願いしますね」と言う。
この会社の「本物の選考」方法とは…?」
・「第9話 P」
「キミコは、男性を嫌悪する女性。
ある日、彼女に宅配便が届くが、中には「ペニ※」が入っていた。
これで男を克服しろという啓示かと思い、彼女はこれを股間に付けてみる。
すると、取れなくなったばかりか、どんどんと男性化してしまう。
女友達のサチと映画の約束があり、マスクと帽子でごまかして、映画館に向かうのだが…」
・「第10話 3時15分」
「漫画家になるために上京した青年。
20代のうちに作品をデビューする予定なのに、一年間ネームすらできず、後一か月で30歳になってしまう。
明日までに何か描こうと焦るが、考えだけが脳内で空回り。
ふと気づくと…」
・「ブーメランパンツ野郎の邪図体験」
「作者が昔、働いていた会社は「トラブル&ダークネス会社」。
ある日、一人の女の子が入社してくる。
彼女は「オーラ」と「守護霊」が視えると言うのだが…」
「ブーメランパンツ野郎」先生について詳しいことを私は知りません。
絵は漫画太郎風(?)な感じで、この手の絵は個人的には好みでないのですが、ストーリーは「アイデアで勝負」タイプで、まあまあ面白いと思います。
また、多少、世間に揉まれたようで、世知辛さが妙に実感があるのも、味わいにつながっております。
ただし、「アイデアで勝負」しているだけで、捻りがなかったり、よくわからないまま終わる話もあるのが残念。
センスは良いと思いますので、機会があれば、また怪奇マンガに挑戦されてみては如何でしょうか?
2022年11月30日・12月1日 ページ作成・執筆