わたなべまさこ「かおるの最後の顔」(1995年5月28日第1刷発行)
「平成六年、七月。
白金にある高級マンションにて女性の変死体が発見される。
その死体は、間仕切りのガラスによって、首を皮一枚残して切断されていた。
死体の女性は松ノ崎香、処女作がミステリー大賞を受賞した、新進の女流作家であった。
松ノ崎香は岩手出身、両親はすでに亡く、一人娘といったことしか情報がなく、また死に謎が多かったため、警察は自殺・他殺の両面で捜査を進める。
捜査を受け持った大平了刑事は、出版社、香が働いていた書店、同棲相手と聞き込みを続けるうちに、新進女流作家とは違った別の顔が浮かび上がってくる。
松ノ崎香は、田中かおるという名で、幾人もの男を誘惑し、また、ホテトル嬢としても働いていただけでなく、香港の財閥の要人の愛人でもあった。
かおるの過去を知るため、大平刑事は故郷の岩手を訪れるが、そこでおぞましくも、奇怪な事実が明らかになっていく…。
かおるの死に秘められた謎とは…?
そして、かおるの産んだ赤ん坊の行方は…?」
(「OFFICE YOU」1994年11月号〜1995年4月号掲載)
怪奇マンガと言うよりは「※※※※」(ネタばれ防止のため伏字)をテーマとしたミステリーです。
でも、冒頭の「ギロチノイド」なシーンだけでも、このサイトで紹介する価値はあります!!
ここまでインパクトのある残酷描写は、わたなべまさこ先生の作品でもそうそうありません。(注1)
と書いたら、それだけの作品のように思われるでしょうが、この作品、非常に面白いです。
巧みな構成や、個性的な登場人物でぐいぐい読ませる作品で、わたなべまさこ先生の剛腕を思い知らされます。
ただし、一つ難を言いますと、ラストで明らかにされる「かおるの最後の顔」にどれだけの人が納得できるのだろう…?
あくまで「サイコ・スリラー」で貫き通していれば…と思わずにいられません。
・注1
と書きましたが、「聖ロザリンド」「リリアム」は、ウルトラ・ヘビーな残酷描写の絨毯爆撃だったりします。(サイコーだよ!!)
2018年11月23日 ページ作成・執筆