和田慎二「わが友フランケンシュタイン」(1977年3月20日第1刷・1985年7月15日第14刷発行)
・「わが友フランケンシュタイン」(1972年「別冊マーガレット9月号」掲載)
「1802年、ドイツのバイエルン地方。
ミア・ファンション・グルンワルドの領地にて、長い間、行方不明だった、フランケンシュタインの怪物(以下、怪物)が発見される。
ミアは怪物を邸に引き取り、こき使うが、徐々に怪物の醜い容姿に親近感を覚えていく。
というのも、彼女の首筋には醜いアザがあり、このアザのせいで、誰からも愛されることがなかったからであった。
だが、遠乗りに出かけた際、怪物に助けてもらったことをきっかけに、ミアは怪物の優しさに気づき、以来、友達となる。
そして、彼女は世界に明るさを取り戻すのだが…」
・「谷間に鳴る鐘」(1973年「別冊マーガレット9月号」掲載)
「19世紀初頭、スイスの山岳地方。
ある寂れた村の洞窟で、フランケンシュタインの怪物が氷漬けの状態で発見される。
鐘職人マフェルトの孫娘、イルゼは蘇生した怪物を匿い、マフェルトも村人の反対をよそに家に置くことにする。
ある日、村が寂れる原因となった「悪魔の叫ぶ声」の正体が判明する。
それは岩山の頂上にあいた風穴のせいであった。
マフェルトはこの穴に吊る鐘を作りあげ、怪物に鐘を取りつけてもらおうとする。
しかし、イルゼに想いを寄せるハインリッヒの密告により、地主は怪物を殺そうと目論む…」
・「怒りの十字架」(1975年「別冊マーガレット2月号」掲載)
「19世紀初頭、スイスに近いドイツのある村。
孤児で唖(おし)のヒルダは湖の底に、フランケンシュタインの怪物が沈んでいるのを見つける。
彼女は怪物に幾つも丸太をくくりつけ、底の泥濘から怪物の足を抜き出すことに成功する。
彼女と怪物は友達になるが、領主のヘル・クルスハルトによって、彼女は城の小間使いにされ、怪物は城に拘束されてしまう。
ヘル・クルスハルトは、ヒルダの身に付けていた十字架から、前領主の隠した財宝が湖の底にあることを知り…」
・「炎の地平線」(1975年「別冊マーガレット10月号」掲載)
「1848年、ドイツのある地方。
雷雨の夜、零落した貴族、ブレイク家に、変わった客が訪れる。
それは、怪物を生み出したビクトル・フォン・フランケンシュタイン博士と、博士の作りだした、二番目の人造人間、イボンヌであった。
博士は、自らの災厄となった怪物を滅ぼすために生涯をかけ、この地まで怪物を追い続けていた。
一方、偶然、怪物を発見したグスタフ医師は、怪物を、患者のクリスチーネ・ブレイクの別荘に匿う。
幼い頃の熱病が原因で下半身不随となったクリスチーネは怪物と親交を深めるが、貴族の肩書を狙うラドレック親子にその存在を知られてしまう…」
故・和田慎二先生が「フランケンシュタインの怪物」をテーマとして描かれた連作です。
多少、グロい表現はありますが、終始、怪物は心優しい存在として描かれ、ストーリーは基本的にハート・ウォーミングです。
いや、いいですよ、この作品!
何気なく読み始めたら、うるうるしちゃって、感動の赴くままに、こんな紹介文を書いちゃいました。
美内すずえ先生、魔夜峰央先生と再評価が進んでおりますが、和田慎二先生も積極的な評価をされることを祈っております。(注1)
・注1
「ピグマリオ」再刊されないかな〜。
ヒット作の「スケバン刑事」は読んだことがないので、何とも言えません。
ただ一つ言えることは、和田慎二先生って「優しい」人だったんだろうな〜ってことです。
2019年4月16日 ページ作成・執筆