宮脇明子「ナービー ―死霊の館―」(1981年8月10日第1刷・1983年8月15日第3刷発行)
収録作品
・「ナービー ―死霊の館―」(「週刊セブンティーン」1980年41号〜52号)
「高校生の広瀬美沙は両親を交通事故で亡くし、父方の叔父である季臣(すえおみ)に引き取られる。
季臣は若くして大学教授になり、父親から継いだ洋館に一人で住んでいた。
美沙が叔父の屋敷に行くと、庭の隅に十字架の墓がある。
それは彼の妻の麗子の墓で、彼女は先日、浴槽で手首を切って自殺していた。
彼女の遺言で屋敷の庭に土葬にしていたが、叔父はさほど悲しんでいる様子はない。
美沙は叔父の屋敷から高校に通い始めるが、ある日の下校途中、腐乱した女に襲われる。
この女はどうやら自殺した麗子らしく、美沙を執拗につけ狙う。
麗子が美沙を憎む理由とは…?」
・「人形が夜来る…」(「週刊セブンティーン」1980年35号〜36号)
「大正時代。
資産家の娘、深雪はわがままな子供であった。
ある日、使用人の老婆、トキの家に行き、孫娘の忍と出会う。
忍の両親は亡く、また、病弱で、母親の形見の日本人形と一緒に床に臥していた。
トキが外出している隙に、深雪は忍から人形を奪い、それがもとで忍は亡くなる。
深雪は人形は忍からもらったと嘘をつき、しかも、母親に捨てるよう言われると、その人形を土中深く埋めさせる。
七年後、深雪は美しく、そして、傲慢な娘へと成長していた。
彼女は子爵の青年と婚約するが、その日、彼女の周辺で奇怪なことが次々と起こる。
彼女はトキが忍のことを根に持ち、復讐をしようとしていると考えるのだが…」
ベテランの宮脇明子先生による傑作単行本です。
「ナービー」はゾンビもの、「人形が夜来る…」はタイトル通りに人形もので、どちらもショッキングな描写を畳みかけてくる本格派!!
特に、「ナービー」はあの時代には珍しいゾンビもので、あつたゆりこ先生のカルト作「ひき裂かれた顔」に多大な影響を与えているのではないかと私は推測しております。
「人形は夜来る…」は人形の描写がかなりヘビーで、日本人形が出てくる怪奇マンガの中ではトップクラスのトラウマ度です。
どんな漫画であっても手を抜かないところに宮脇明子先生のプロ根性が窺えます。
2024年5月8日 ページ作成・執筆