袈裟丸周造「廃屋の住人」(2011年12月24日第1刷発行)

・「第1話 落書き」
「藤森まどかは平凡な主婦。
 彼女にはもうじき小学校に入学する晃という男の子がいた。
 ある日、彼女は幼稚園の園長先生に呼ばれる。
 それは卒園制作で晃が描いた自画像についてであった。
 その自画像はおかしな顔であったが、その横にもう一つ同じ顔が描かれてあり、それには「かけいかずひと」と書かれてあった。
 「かけいかずひと(筧和仁)」は交通事故死した男児で、園としては彼のことは今は触れたくないので、何らかの処置をしたいと言う。
 帰宅後、まどかは晃のランドセルの中に落書き帳が入っていることに気付く。
 それに描かれたいたのは…?」

・「第2話 かけいかずひと」
「藤森家に野間健太という青年が訪ねてくる。
 彼はまどかの父方の従弟で、建築科の大学生であった。
 彼は晃の入学祝いを持ってきたのだが、どうも様子がおかしい。
 彼には幼稚園児が視えているようなのだが…」

・「第3話 ニアミス」
「健太がまどかに急に連絡してきたのは『廃屋に住む化け物の話』を聞くためであった。
 彼は子供時代に彼女からその話を聞いた記憶があり、それが何かのヒントになるのではないかと考えていた。
 彼の話はさっぱり要領を得ず、しかも、少し目を離した隙に家を出て行ってしまう。
 入れ替わりに、義母と晃が帰宅してくるのだが…」

・「第4話 寄りたい所」
「昨日、晃は熱を出すも、翌日には回復。
 それでも念のため、まどかは彼を病院に連れて行く。
 その帰り道、彼女は健太の住む岩戸のアパートを訪れる。
 健太の部屋には沢村という彼の友人がいて…」

・「第5話 “アレ”」
「沢村によると、健太は「消えた」らしい。
 彼は二週間前、健太と廃屋に行き、そこで何かを見た。
 そして、健太は再びその廃屋を訪れたであった。
 だが、沢村はその廃屋がどこにあるのか、どの道で行ったのか全く思い出せなくなっており…」

・「第6話 絵日記」
「卒園式で、まどかと晃は筧和仁の母親に挨拶される。
 和仁の母親は晃が息子の似顔絵を描いてくれたことに感謝していた。
 卒園式の後、まどかと晃は筧家に招待される。
 そこは古いが立派な屋敷で、応接室には和仁の描いた絵が飾られてあった。
 和仁は非常に絵の好きな子で、毎日、何かを描いていたという。
 和仁の母は晃にパステルのセットをプレゼントするが、その帰り道…」

・「第7話 ともだち100人できるかな」
「卒園式の夜、まどかは実家に電話をして、母親に祖父のことを聞く。
 彼女に怖い話をいろいろとしてくれたのは母方の祖父で、霊感の強い人物だったらしい。
 彼女は母親に『廃屋のお化けの話』を詳しく教えてくれるよう頼む…」

・「第8話 空き家」
「まどかが晃の入学式用の洋服を店に取りに行っている時、義母から電話がかかってくる。
 晃が一人で外に出てしまったという。
 晃はパステルを和仁が持って行ったと話していると聞き、まどかは筧家の屋敷を訪ねる。
 筧家は引越しを済まし、屋敷は無人であった。
 しかし、何やら人の気配が…」

・「第9話 シンクロ」
「まどかは筧家の屋敷で野間健太や沢村が見たものを視る。
 危ういところを彼女は晃に助けられるのだが…」

・「最終話 Swallow and disappear」
「晃が熱を出したという連絡を受け、まどかは雨の中、車で急ぐ。
 すると、筧和仁が事故死した場所で「かけいかずひと」が道の真ん中に立っている。
 和仁は「一年生になったら」を歌い、まどかが耳を塞いでいると、車が勝手に動き出し、和仁に向かって進んでいく。
 その先には…?
 その頃、晃は目を覚まし、母親の危機を察していた…」
(「週刊ヤングジャンプ」2011年34号〜44号)

 「幽霊屋敷」をテーマにした、隠れた佳作です。
 普通の家庭の描写を淡々と、かつ、丁寧に積み重ね、派手さは全くありません。
 また、怪異について全てが説明されているわけではないので、人によっては意味不明に思えるでしょう。
 でも、読み込むと、じわじわと薄ら寒さが背後から忍び寄って来ます。
 特に最終話のアップ顔は夜、一人で読んでいたので、心臓に悪うございました。
 読む人を選ぶ作品だとは思いますが、ホラー好きは一度、読まれて損はないと思います。
 にしても、この作品、ヤング・ジャンプの読者にどれだけウケたのでしょうか…?

2025年4月4・15日 ページ作成・執筆

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