宮脇明子「水晶宮の夜」(1987年7月9日第1刷発行)
収録作品
・「水晶宮の夜」(「週刊セブンティーン」1986年30号〜34号)
「松本喬と彼の兄貴分の吉住はチンピラどもと喧嘩をして、病院に搬送される。
そこは、院長が世界的権威の脳外科医で有名な病院であった。
四日に及ぶ昏睡の後、喬は意識を取り戻すが、吉住は喬よりも元気だったにもかかわらず、容体が急変し急死していた。
心の支えであった吉住を失い、喬は喪失感に苦しむ。
入院中、彼は見知らぬ少女の夢を幾度も見る。
彼が涙を流すと、少女も同じく涙を流し、彼に「タスケテ タスケテ…」と訴える。
そして、ある夜、喬は死んだはずの吉住が外で歩いているのを窓から見る。
彼は夢に現れる少女を絵に描き、看護婦からこの少女が何者なのか教えてもらうのだが…。
この病院の秘密とは…?」
・「冬の観覧車」(「週刊セブンティーン」1984年5・6合併号)
「高い場所から町を見下ろし、城や公会堂を指さしている夢。
吉川恭子はしばしばこの夢を見るが、母はこの話をすると嫌がる顔をするばかり。
学生生活最後の冬休み、彼女は地方の遊園地でバイトをすることになる。
電車から降り、駅から一歩踏み出すと、彼女は既視感に襲われる。
ここは夢に現れた土地であった。
バイト先の遊園地で、彼女は野球帽の男の子を度々見かけるが、いつもどこかに消えてしまう。
ある日、彼女が男の子を追いかけると、その男の子は幽霊で、顔半分が潰れていた。
この男の子の名は立花はじめ。
町の有力者の後継ぎで、昔、彼と恭子が観覧車に乗っていた時、彼女に突き落とされ死んでしまったという。
衝撃の事実を知り、彼女は町を去ろうとするが、はじめの幽霊により命を救われる。
彼女ははじめを殺したのは自分ではないと思い、はじめの異母弟の夏彦の協力を得て、真相にたどり着こうとするのだが…」
・「まんなかのマリヤ」(「週刊セブンティーン増刊」1981年8月1日号)
「原田ひろみは地味で大人しい女の子。
彼女はサッカー部の森田に想いを寄せ、サッカー部の雑用を心を込めてやっていた。
彼女にとって最も目障りなのが花岡麻理矢の存在。
麻理矢は外見は可愛らしく、ぶりっ子しているが、内面はがさつで自己中心的。
しかも、彼女も森田に目を付けており、何かにつけて、ひろみに嫌味を言うのであった。
ある時、ひろみは「3人ならんで写真に写るとまんなかの人は早死にする」という話を聞く。
そこで彼女はクラスメートの女子二人に頼んで、麻理矢が真ん中になる写真を撮る。
ひろみはこの写真の麻理矢にコンパスの針を刺して、鬱憤晴らしをしていたが…」
講談社のミステリーサスペンスコレクションにて再刊されておりますが、その際、「まんなかのマリヤ」が「黄泉に走る…」に変更されております。
初期の作品で、絵柄が違ったためでしょうか?
2024年6月21日 ページ作成・執筆