亜月亮「都市伝説@―蘇る殺人鬼―」(2008年8月30日第1刷発行)

 収録作品

・「都市伝説―蘇る殺人鬼―」(「マーガレット」2008年No.12〜14)
「岸本聖美は高杉三輝と付き合い始めて約一年。
 彼はイケメンだが、天然&軟弱な性格で、更に閉所恐怖症の気があった。
 彼は小さい頃から、赤ん坊の彼は小さな箱のようなものに閉じ込められている夢をよく見ていた。
 その夢は彼の出生に関係しているようで、彼の両親は実の両親でなく、彼は捨て子であるらしかった。
 ある日、聖美が一人で帰宅していると、不審な女性が現れる。
 その女性は前、ファストフード店で三輝の額のほくろを見て、顔色を変えたことがあった。
 女性は聖美に三輝の本当の両親の話を聞きたくないかと問いかけ、聖美は喫茶店でその話を聞く。
 高杉光輝の父親は、1980〜90年代に母親を含め九人の女性を絞殺した黒杉恭也であった。
 当時、高校生だった女性は彼と付き合っており、妊娠。
 黒杉恭也が拘置所で自殺をした後、ひそかに赤ん坊を産んで、コインロッカーに捨てる。
 それから17年後、三輝は父親とそっくりになり、額にも同じほくろがあった。
 女性は三輝を父親の生まれ変わりだと主張し、彼が17歳になる前に別れるよう聖美に警告する。
 17歳は黒杉恭也が初めて殺人を犯した年であった。
 聖美は女性の妄想だと考えようとするが、彼女の周辺では奇怪な出来事が起こり始める…」

・「右側の赤い闇」(「マーガレット」2007年No.17別冊ふろく)
「高校生の高田明梨の右目は眼球の角膜が赤く濁るという特殊な病気に侵される。
 このまま進行すれば失明する恐れがあるが、明梨はそれをさほど気にせず、これは罰だと考えていた。
 診察医の倉木は彼女から理由を聞く。
 教室で明梨の右隣は谷村真奈の席であった。
 真奈はおとなしく、明梨は彼女と通じ合うものがあったが、彼女はいじめの標的となる。
 明梨は巻き込まれることを怖れ、見ないふりをしているうちに、真奈はいじめで大けがを負い、入院先の病院で飛び降り自殺をしたのであった。
 翌日、明梨は学校に行き、教室で眼帯を外す。
 すると、真奈の席に赤い女子生徒の姿が見え、その直後、真奈の机の中にあった発煙筒のようなものから煙が出て、教室に充満。
 生徒たちと担任の佐々木は倉木に目を診てもらい、症状の重い数人はしばらく通院することとなる。
 この事件の犯人はわからなかったが、これ以降、谷村真奈のいじめの首謀者たちが次々と奇怪な目にあう。
 これは谷村真奈の呪いなのであろうか…?」

・「あなたがつくる都市伝説」(描きおろし)
 タクシーの運転手の間で広まる新都市伝説「謎の猛獣を運ぶ女」。
 果たしてその真相とは…?

 亜月亮先生の「都市伝説シリーズ」。
 後ろのカバー袖には「巷にあふれる様々な都市伝説を元にストーリーをつくっております」と書かれてますが、そんじょそこらの都市伝説をなぞっただけの薄っぺらい作品とはわけが違い、都市伝説をベースとしながらも、サスペンスやミステリー、恋愛ものの要素をきっちりと組み込み、読みごたえのある骨太な作品に仕立て上げております。
 「都市伝説」ブームに食傷気味な方、読まれてみたら如何でしょうか?

2024年11月1日 ページ作成・執筆

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