亜月亮「都市伝説B―殺人ネット―」(2009年3月30日第1刷発行)

 収録作品

・「都市伝説―殺人ネット―」(「マーガレット」2008年No.24/2009年No.1)
「藤村美由は市原ユキノのグループから壮絶ないじめを受けていた。
 ある日、美由は帰り道で「殺人ネット」の噂を耳にする。
 「殺人ネット」は「殺したいほど憎いヤツがいたら、そのサイトに依頼すれば殺してくれる」という。
 しかも、お金はかからないらしい。
 帰宅後、彼女が「殺人ネット」を検索すると、そのサイトは実在していた。
 とは言え、さすがにログインする勇気はない。
 しかし、翌日、彼女は市原ユキノに援助交際をするよう脅迫される。
 遂にブチギレて、美由は殺人ネットに市原ユキノの殺害を依頼。
 すると、その晩にユキノは通り魔に全身をめった刺しにされて殺される。
 美由は最初は罪悪感を感じるも、徐々にこれは偶然だったと思うようになる。
 また、ユキノが殺されて以来、彼女は友人も増え、憧れの御園先輩とも急接近。
 全てが好転するが、ある日、彼女の携帯電話に「殺人ネット」からメールが届く。
 その内容は上原カズヤという高校二年生を殺害する指令であった…」

・「都市伝説―隣りの凶悪犯―」(「マーガレット」2008年No.22)
「高校生の西村チカは親の転勤を機に一人暮らしを始める。
 住んでるマンションは駅から徒歩五分の1LDKで月四万円という安さ。
 また、隣人の加藤はカメラマン志望のフリーターで、彼女好みのイケメンであった。
 憧れの一人暮らしに有頂天のチカであったが、どうも部屋の様子がおかしい。
 携帯電話の電波状況が悪かったり、クローゼットが急に開かなかったりする。
 ある日、彼女は事故物件に関する都市伝説を聞き、隣の青年に自分の部屋で何かあったか聞く。
 彼女の部屋では一年前、若い女性がベランダから飛び降り自殺をしていた。
 彼女が怯えながら、居間のソファでテレビを観ていると、連続強盗殺人犯は以前逃亡中とのことでますます心細くなる。
 そのうち、彼女は寝てしまうのだが…」

・「都市伝説―サンタクロース―」(「マーガレット」2009年No.2)
「クリスマス・イヴ。
 高校生のあるクラスが飲食店を借り切って、パーティをする。
 この飲食店は二ノ宮レナが親戚から借りたもので、金持ちの娘の彼女はクラスの女王様的存在であった。
 話は去年のパーティのことに移り、三田という男子生徒が話題になる。
 彼は「サンタ」という綽名のいじめられっ子であった。
 彼はレナのことが気になっていたらしいが、レナは彼みたいな人間を見ると苛々してしまい、一度、意見をしたことがある。
 その時の彼の返事は「二ノ宮さんもいじめられてたことがあるんだね」であった。
 そして、彼は去年のクリスマスの朝、町のゴミ捨て場で凍死体となって発見される。
 三田の話が終わると、レナは「サンタクロースの都市伝説」について話し始める。
 本物のサンタクロースは良い子にはプレゼントをするけど、悪い子にはお仕置きの後、大切なものを一つ奪っていくという。
 そのためにサンタの袋にはプレゼント以外にお仕置きのための凶器が入っていて、あの赤い服は血の色なのであった。
 レナは本物のサンタを見たことがあるらしいのだが…。
 今宵、彼女たちのもとにはどちらのサンタが訪れるのであろうか…?」

・「都市伝説―死者の叫び―」(「ザ・マーガレット」2009年4月号)
「黒木田美輝は病院長の娘。
 彼女は事故で失明するが、三か月後に角膜移植手術を受けて、視力を取り戻す。
 だが、喜びも束の間、彼女の目には人が化物のように見える。
 彼女が角膜提供者について調べると、提供者は影山耀(15歳)という青年で交通事故死であった。
 彼らしい青年が窓ガラスに度々映り、ある時、彼女は彼の記憶を視る。
 それは耀が同じ年頃の青年に道路に突き飛ばされる映像であった。
 美輝は耀が殺されたと知り、彼について調べ始めるが、やがて恐ろしい事実を知ることとなる。
 影山耀の目に映っていた世界とは…?」

 「サンタクロース」のエピソードは非常に完成度が高く、最初読んだ時、感動しました。
 ズバリ、名編だと思います。

2024年11月8日 ページ作成・執筆

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