亜月亮「都市伝説E―水曜日の爆弾魔―」(2010年4月28日第1刷発行)

 収録作品

・「都市伝説―水曜日の爆弾魔―」(「マーガレット」2010年No.2、3・4合併号)
「国内薬品メーカーのトップ企業、M製薬を狙った連続爆破事件。
 事件は水曜日の午後に起きていることから、犯人は「水曜日の爆弾魔」と呼ばれる。
 だが、犯行声明は一切出ておらず、怨恨によるものか、テロなのか、愉快犯なのか全くわからない。
 ある水曜日の午後、高校生の結菜は歩道橋の上で爆破事件を目撃する。
 その場で彼女に声をかけたのは、隣人の田中という青年であった。
 駅の宅配ロッカーで二人はまた出会い、彼は彼女を車で送るが、彼は彼女のことは何でも知っていると話す。
 実は、二人にはあるつながりがあった。
 それは約十年前に起こったM製薬による薬害事件。
 新薬の副作用で数十人が死亡し、田中は母親を亡くす。
 また、この事件は集団訴訟へと発展し、開発部部長は妻と心中するが、結菜はその娘であった。
 田中は二人は同じと話し、いずれ「水曜日の爆弾魔」は捕まると予告する。
 そして、彼は彼女にプレゼントがあると言うのだが…。
 「水曜日の爆弾魔」の正体は…?」

・「都市伝説―ホテル―」(「マーガレット」2009年No.23号)
「ある高校の二年生が京都に修学旅行に来る。
 ホテルに泊まる際、久元千都と友人のクミは他の階の二人部屋を割り当てられる。
 どうやらホテル側の手違いで急遽この部屋を割り当てられたらしい。
 二人の恋人の田村寛とケンも二人部屋らしく、クミは夜、それぞれの部屋でカップル同士で過ごそうと提案。
 千都の彼氏の田村寛は非常にガキっぽく、千都は不安を覚えるが、彼は彼なりに彼女を思いやっており、彼女は彼にOKを出す。
 だが、このホテルにはある部屋で不倫関係の痴情のもつれから女が殺されたという都市伝説があり…」

・「都市伝説―ブログ―」(「ザ・マーガレット」2010年4月号)
「広瀬マナミはブログに夢中。
 毎日更新するのはいいが、どうも個人情報の管理が非常に甘い。
 ある日、女友達のサキから初Hの話を聞き、メールで返事したつもりが、ブログにアップしてしまう。
 これに友人たちは激怒し、当然のことながら絶交を言い渡される。
 しかも、友人たちはブログにマナミの悪口と共に彼女の個人情報をさらす。
 マナミが抗議するが、それは友人たちの仕業ではなく、悪意のある誰かがマナミの私生活を探り出し、嫌がらせをしているのであった。
 マナミはブログを閉鎖しようとするも、パスワードが勝手に変更されている。
 ブログは勝手に更新され、その内容はエスカレートしていき…」

・「都市伝説―遊園地―」(「マーガレット」2010年No.6号)
「マリエ、ルイ、ミキオ、ナルの四人の若者が「パイレーツ・ランド」という遊園地に夜、忍び込む。(正確には閉演時間まで隠れていた。)
 四人は遊園地を散策するが、警備員はおらず、全くの無人。
 ミキオが入園者数と退園者数をカウントしているから、彼らが残っているのはわかりそうなものだと呟くと、ルイが入園者と退園者の数が合わないのはここでは一種の都市伝説扱いになっていた。
 更に、ここにはもう一つ有名な都市伝説があった。
 それは「悪い子はパイレート・ランドのフック船長にさらわれ、さらわれた子はこの遊園地の中で一生働かされる」というもの。
 そして、マリエは子供の頃、友達のサヤカがフック船長の着ぐるみを来た者にさらわれるのを目撃していた。
 それから10年後、クラス遠足でこの遊園地に来た時、サヤカのような女性が風船売りをしていて、声をかけようとした時、すぐ近くでボヤ騒動が起こり、サヤカを見失ってしまう。
 マリエはもしもサヤカがここに囚われていたのなら、助けたいと考えていた。
 パイレーツ・ランドの秘密とは…?」

・「都市伝説―ペット―」(「マーガレット」2010年No.1号)
「中学生の菜々はキュー太という犬を飼い始める。
 犬の散歩をしていると、彼女は近所の池に「立入禁止」の看板が立てられているのに気づく。
 この看板を立てたのは、近所に住む十蔵という少年で、彼は去年、彼のペットの犬がこの池に棲む巨大カメに食べられたと訴えていた。
 菜々は十蔵が嘘をつくような人ではないと思うが…」

・「あなたがつくる新都市伝説」
「日没後、道行く者の背後から声をかけ「撫でてもいいですか?」と聞いてくる、新都市伝説「妖怪撫で女」。
 撫で女の正体とは…?」

 現代的な内容の「ブログ」、遊園地絡みの都市伝説を巧みに使った「遊園地」が怖かったです。
 特に「遊園地」は、トビー・フーパ―の「ファンハウス」(注1)の印象もあり、夜の遊園地にいろいろと想像をかき立てられます。

・注1
 でも、「ファンハウス」と聞いて思い起こすのは、イギー・ポップ&ストゥージズの2nd アルバム。
 個人的にはストゥージズの最高傑作!!
 「ドラッギーなワン・リフ攻撃」(by 松谷健氏)は最高で、25年以上聴いてるのに全く飽きません。

2024年12月12・14日 ページ作成・執筆

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