亜月亮「都市伝説Jr.」(2012年8月29日第1刷発行)
収録作品
・「マンホール」(2012年「夏の大増刊号りぼんスペシャル レモン」)
「大島夢衣は小学六年生の少女。
彼女の家庭は母子家庭で、母親は夢衣を名門校に入れるべく、進学塾の夏期講習に通わせる。
と言っても、本人はさほど熱意はなく、模試の判定はいつもC判定。
そんな彼女は優等生の来杉優也と仲良くなる。
きっかけはマンホールで、彼は夢衣にマンホールに関する都市伝説を話す。
それは、マンホールの下の下水道では親に捨てられたり家出したりした子供たちがコミュニティを作り生活しているというものであった。
ある晩、二人が塾から帰る途中で、チンピラたちにカツアゲされそうになる。
そこに現れたのが小学生らしい男児たちの集団で、チンピラを袋叩きにする。
警察に見つかり、男児たちは逃げ、二人もリーダー格の少年について行く。
子供たちは路地裏のマンホールの中に向かい、そこには「マンホール王国」という名の生活空間があった。
「マンホール王国」は都市伝説通りの子供たちの「楽園」で、様々な子供たちが楽しい時間を過ごす。
また、ここのリーダーはトキオという少年で、彼以外の子供たちは外の世界を行き来していたが、彼だけはずっとここで暮らしているらしい。
夢衣と優也は塾の帰りに度々「マンホール王国」に立ち寄るようになる。
こういう日々が続くかと思われたが…」
・「コトダマ」(2009年「夏の大増刊号りぼんスペシャル ダイヤ」)
「ある小学校のグラウンドの脇にある小さなお社。
ここには「言霊さま」という神様が祀られていて、何でも願いを叶えてくれるという。
夏のある日、神崎紅音、斉藤美優たち女子がお社の中を覗きに行く。
中にはどす黒い色の玉が安置されており、美優は寒気を覚える。
それでも、美優は言霊さまに二年前に亡くなった母親を生き返してくれるよう願わずにはいられない。
一方、紅音は言霊さまに願いを叶えてもらう方法を見つけていた…」
・「七不思議少女」(2007年「夏の大増刊号りぼんスペシャル」)
「安達ヒトミは熱心な美術部部員。
美術の杉山先生はカッコよく人気者だが、美術に関しては厳しく、今やヒトミ以外は皆、幽霊部員であった。
元・美術部の青木紀香たちはヒトミを妬み、彼女をいじめる。
それでも、ヒトミは杉山先生の笑顔を見るだけで耐えることができ、また、ナナミという友人も心配してくれていた。
ある日、ヒトミはコンクール用の絵を少しでも進めるため、補習の後も美術室を開けておくよう杉山に頼む。
補習の後、彼女が美術室に急いでいると、三階にある美術室から杉山が転落し、意識不明の重体となる。
彼女は自分のせいだと激しく悔やむが、ふと「学校の七不思議」を思い出す。
この学校では七不思議を全部知ると、学校の守護霊のようなものが現れ、その名を七回呼ぶと一度だけ願いを叶えてくれると言われていた。
ヒトミは七不思議を全て知っており、守護霊に杉山先生を助けてもらおうと、学校へと向かう。
美術室には七不思議の一つ「『白い少女』の絵」があり、彼女がそこを訪れると…。
守護霊の正体とは…?」
・「幽霊ごっこ」(「りぼん」2006年10月号)
「ある中学校の二年B組に季節外れの転校生がやって来る。
彼女の名は鈴原リナで、窓際の一番後ろの席に座るが、そこは以前、冴木綾香という女子生徒の席であった。
前の席の飯島アキによると、綾香は二か月前に交通事故にあって亡くなったという。
だが、リナは綾香が「ユーレイごっこ」といういじめにあっていたことを知る。
「ユーレイごっこ」とは一人だけ「ユーレイ」役を決めて、クラス全員で徹底的に無視するというものであった。
リナは綾香の死に疑問を持つものの、証拠はなく、アキからリナを第二の「ユーレイ」にすると脅される。
しかし、綾香をいじめていた連中が次々と奇怪な事故にあっていく。
クラスでは綾香の幽霊の仕業だという噂が立つのだが…」
亜月亮先生が「りぼん」に掲載したホラー作品を単行本化してものです。
「りぼん」は「マーガレット」より年少向けなのに、恐怖描写は相変わらず、力入っていて、嬉しいところ。
個人的なベストは「七不思議少女」。
「学校の七不思議」はワンパターン&陳腐でありながらも、どこか「賑やかさ」みたいなものもあるように私は感じております。
この作品では七不思議が次々と少年少女を襲う描写があり、楽しいです。
2024年11月14日 ページ作成・執筆