はざまもり「悪夢の花嫁」(2008年4月5日初版第1刷発行)

 収録作品 ・「ウエディング・ナイトメア」(1993年「セリエミステリー」1月号掲載)
「破産寸前の赤坂産業の社長は、笹倉グループから資金援助を受ける代わりに、三人の娘のうち、一人を笠倉グループ社長の息子の嫁にやることとなる。
 嫁に選ばれたのは、三姉妹の中で最も地味な三女の香子であった。
 相手は、遊び人として有名な輝一郎。
 愛のない結婚と知りながらも、父親のために縁談を断れず、香子は彼と結婚する。
 だが、夜毎の彼はとても情熱的で、彼女を熱烈に愛する。
 何故か、明かりを付けようとしなかったが、その理由が明らかになる日がくる。
 輝一郎には子種がなく、後継ぎを作るために、遠い親類の男に彼女を抱かせていたのであった。
 彼女は妊娠するが、父親は一体、誰なのであろうか…?」

・「悪夢の花嫁」(1990年「セリエミステリー」7月号掲載)
「鳴海曜子は、もうすぐ二十歳になる娘。
 彼女の父親は、孤児から一代で鳴海物産グループを築き上げていた。
 彼は娘を代議士の息子とお見合いさせようとしていたが、彼女には洸一という駆け出しのカメラマンの恋人がいて、猛反発。
 ある日、彼女宛てに荷物が届く。
 差出人は「桜木明彦」という人物からで、中身はウェディング・ドレスであった。
 それを見て、父親は顔色を変える。
 曜子が、父親の態度を怪しみ、彼の机を探ると、桜木明彦からの手紙が沢山あった。
 手紙には「曜子は俺のもの」で、彼女が「20歳になったら結婚する」と書かれていた。
 父親は「桜木明彦」について何も教えてくれなかったが、曜子には心当たりがあり、洸一と共に別荘に向かう。
 彼女の記憶通り、別荘の木には、「あきひこ」「ようこ」と相合傘が刻まれていた。
 別荘の管理人の加藤友代に話を聞くと、「桜木明彦」は、父親の共同経営者だった桜木章太郎の息子だという。
 曜子の父親と桜木章太郎は、今の会社の前身となる関東商事を二人で創立し、この別荘はもとは桜木章太郎の持ち物であった。
 その頃、二人は自分達の子供を結婚させようと約束したらしいのだが、十五年前、桜木一家は、この近くの海に車で落ちて亡くなる。
 そして、明彦の死体だけはいまだに見つかっていなかった。
 結局、友代の話を聞いても、手紙の差出人は誰か、全く見当がつかない。
 不安の渦巻く中、翌日、曜子の二十歳の誕生パーティーが開かれるのだが…」

・「蜉蝣の森」(1990年「セリエミステリー」12月号掲載)
「庶務課の山口圭子が連続殺人事件の犠牲者となり、彼女の恋人だった影山秋生が行方不明になる。
 OLの香澄は、三か月前までは秋生と恋人同士で、とても彼が犯人とは思えない。
 ことの真相を調べるため、彼女は、彼の生まれ故郷、蜉蝣村に向かう。
 そこは山奥の辺鄙な村で、よその村人達からは忌み嫌われていた。
 日が暮れる頃になって、ようやく村に到着するが、秋生の実家では「村の娘と結婚する」とほとんど門前払い。
 同じく、門前払いされた、民俗学者の桜田久作に案内され、二人は村はずれの古寺で一夜を過ごす。
 桜田久作によると、江戸時代、この村に金髪碧眼の美しい女性が現れ、「白雪様」と呼ばれ、村の男達と交わった。
 その子孫が、外部からの血は入れず、近親婚を重ね、今に至るという。
 また、「白雪様」は老いて亡くなると、村娘の中から選ばれ、その言葉は「お告げ」とされ、絶対であった。
 だが、近親婚を重ねたため、子供は育たず、村は存亡の危機に瀕しているらしい。
 初めて知る事実に戸惑いながらも、香澄は横になるが、物音で目を覚ます。
 見ると、壁の羽目板が外れ、その向こうに通路が続いていた。
 久作と共に奥に進むと、秋生が閉じ込められている牢屋に通じていた。
 彼は、彼女を守るために、山口圭子を隠れ蓑にして、別れたと話す。
 明日、彼は「結婚式」をすると言うのだが…。
 また、代々、この村で受け継がれる習慣とは…?」

・「魔天使」(1989年「セリエ」10月号掲載)
「山口里美は、夫の浩二の浮気現場を突き止めようとして、夫の転落死を目撃する。
 その時、ホテルから逃げ去る女性の姿があった。
 この事件について、里美は、奥村という刑事から何度も聞き込みをされる。
 愛に飢えていた彼女は、そのうちに、彼と深い仲になる。
 だが、買い物に出た時、彼女は何者かに道路に突き飛ばされる。
 彼女をかばい、奥村は重傷を負うが、その後、彼女は彼が刑事でないと聞かされる。
 彼の目的とは…?
 そして、彼女を狙う者の正体は…?」

 1990年前後に「セリエミステリー」に掲載された「ブライダル・ミステリー」を四作収録したオムニバスです。
 はざまもり先生の作品は基本、ミステリーですが、「蜉蝣の森」はかなりホラー寄りな内容です。
 若干、荒唐無稽なところ(カ※※※※ム)があり、こういうのは、はざまもり先生には珍しいのではないでしょうか?

2024年10月24日 ページ作成・執筆

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