藤子不二雄「少年SF短編@ 宇宙人」(1989年1月20日初版発行)

・藤子・F・不二雄「漢字の『漫画少年』とカタカナの『マンガ少年』」

・「みどりの守り神」(「マンガ少年」1976年9月号)
「エンジン・トラブルで高山に墜落した飛行機。
 生存者はみどりという少女と学生の坂口五郎。
 二人は救助を求めるため、山を降りる。
 だが、どうにもおかしいことだらけ。
 飛行機が墜落したのは4月16日なのに真夏のような気候で、また、標高が高いにも関わらず、地面は雪ではなく緑色の苔に覆われていた。
 そして、彼ら以外、生き物の姿を全く目にしない。
 途中で何度も植物に助けられながら、二人は町へと到達する。
 そこで二人は想像を絶する真実を知ることとなるのだが…」

・「耳太郎」(「マンガ少年」1976年12月号)
「耳太郎は漫画を描くのが大好きな少年。
 彼は裏表がなくさっぱりした性格であったが、他人への配慮に少々欠けるきらいがあった。
 彼は同じ漫画マニアの木常、団、京子の三人と人目につかない廃事務所に集まり、新人賞を目指し日々精進する。
 彼は事務所の屋上でアイデアを練る習慣があったが、ある日、足を滑らせ、落ちた拍子に頭を打つ。
 以来、彼はテレパシー能力を持ち、人の考えが読めるようになる。
 また、彼は超能力者を主人公にした「テレパスくん」というマンガを思いつき、描き上げるのだが…」

・「ユメカゲロウ」(「マンガ少年」1977年3月号)
「深山田精一は昆虫が大好きな少年。
 ある夜、深山田家が所有する山で蝉の脱皮の観察をしていると、浅野という男と出会う。
 彼は「ユメカゲロウ」という幻の虫を追っていた。
 「ユメカゲロウ」は民話に出てくる虫で、浅野の祖父は深山田家の山林でそれを発見したものの、いざ発表と言う時に標本が消失し、詐欺師扱いされていた。
 そこで孫の彼は一生かかってもユメカゲロウを捕まえる決意をしていた。
 精一は最初は疑いの目を向けていたが、ユメカゲロウが実在する可能性があることを知り、浅野に協力をする。
 だが、精一の祖父は山林を切り開き、団地にしようとしていた。
 工事の前夜、精一と女友達は風上で殺虫剤を燃やし、ユメカゲロウをいぶり出そうとするのだが…」

・「考える足」(「マンガ少年」1977年6月号)
「英才は勉強は嫌いだが、体を動かすことは大好きな少年。
 彼の母親は教育ママで、彼に勉強を強要するも、こればかりはどうにもならない。
 ある日、彼の足の裏にイボのようなものができる。
 さほど気にしてはいなかったが、徐々に足が勝手に動くようになる。
 英才の足に起きた異変とは…?」

・「宇宙人」(「マンガ少年」1978年1月号) 「福島は子供の頃からずっと宇宙人に憧れ、会いたいと願っていた。
 彼はスペースマン・スクールに入学し、遂には「オデュッセイ計画」のメンバーに選ばれる。
 オデュッセイ計画とは他の太陽系に行き、人類と似たタイプの異星人とコンタクトを取ることであった。
 地球に似た惑星で、彼は異星人を探して回るのだが…。
 このプロジェクトの真の目的とは…?」

・「ウルトラB その114 ウルトラB カラスにてこずる……」
「マッスル(筋肉ムキムキのカラス)はブラック団という悪カラスに襲われているカラスを助ける。
 マッスルはウルトラBにこのカラスの面倒を看るよう頼む。
 だが、このカラス、結構図々しく…」

 藤子・F・不二雄先生が「マンガ少年」に描いた少年SF短編を集めた単行本です。(「ウルトラB」は除く。)
 「好きなもの」を描いたせいか、テーマはバラバラですが、「何か屈折した、ブラックな物」(p2)は健在で、単なる少年向け作品とは異なる翳りがあります。
 この単行本の中で最高傑作は名作「みどりの守り神」でしょう。
 「人類絶滅もの」かと思いきや、意表を突いた結末を見せ、その鮮やかさにはただただ感嘆するばかりです。
 また、表題作の「宇宙人」はF先生の作品の底流にある(ような気のする)「ペシミズム」に溢れた佳品です。
 でも、こういう時代を生きていると、人類など滅びた方が地球にとっては良いように思えて仕方ありませんが…。

・備考
 裏表紙に値札シールの剥がし痕あり。

2025年9月29日 ページ作成・執筆

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