高階良子「呪われた誕生日」(1972年11月10日初版・1973年12月20日第2刷発行)
収録作品
・「呪われた誕生日」(1969年7月「週刊少女フレンド」)
「滝村家の末っ子、ナナの誕生日が来ると、父親の様子が決まっておかしくなる。
実は、ナナが産まれる時、彼は産院に向かう途中、女性を轢き殺していた。
ナナが三歳になる誕生日、長男の秋夫が二階から転落死する。
翌年の誕生日には、長女のゆう子が何者かに刺殺される。
再び迎えた誕生日、父親は家族に害をなす者の正体を突き止めようとするが…」
・「青い雨の追憶」
「恋人を殺害した濡れ衣を着せられた大崎エミは城治・バーリーのもとに駆け込む。
城治は、広大な館に住んでいるものの、イギリス人の父親に捨てられ、母親は自殺という孤独な身の上であった。
彼はエミを秘密の隠し部屋に匿い、二人が初めて出会った日について語り始める…」
・「扉の向こうに」
「綾は、失踪した婚約者の小田桐章一を追って、深い森の中の洋館を訪ねる。
章一は、彫刻家、小田桐進介の孫だったが、進介と章一の父親が変死した後、彼の母親は幼い彼を連れて、館を離れた。
そして、母親の死後、彼は館に戻って来たのである。
綾は章一の心変わりを問い詰めるが、彼はただ帰ってくれと繰り返すばかり。
また、小間使いの婆やも、ここは「悪魔の巣」だと警告する。
そして、厳重に鎖で封印された、章一の祖父の仕事部屋。
館に住まう「悪魔」の正体とは…?」
・「アマゾンの樹霊」(原作・中岡俊哉)
「ブラジルの奥地、アマゾンの上流。
少年ピラは、死んだママイに会うため、東北の彼方にあると伝えられる「生者と死者のあえるところ」へ旅立つことを決意する。
すると、彼を呼ぶ声が聞こえ、その声のする方向に、彼はカヌーを見つける。カヌーには旅に必要な道具が全て揃っていた。
旅の途中、彼は幾度も危機に直面するが、その度に、ルチと名乗る不思議な少女が現れ、彼を救う。
ルチの正体とは…?」
・「デビルの足音」(1970年「月刊少女フレンド」4月号)
「純真な魂を求めるデビル。
彼が目を付けたのは、清らかな心を持つアサ子。
しかし、デビルが如何に誘惑しても、「Let it be」なアサ子には全く通用しない。
そこで、彼は強硬手段に打って出るのだが…」
・「墓の中から」(原作・一条明)
「半年前、無縁仏として葬られた女性から生まれた赤ん坊。
寺の和尚は赤ん坊を幸子と名付け、育てる。
十数年が過ぎ、幸子は美しい少女に成長し、ある会社に就職する。
だが、その会社の社長は、彼女の母親を捨てた男であった。
彼と妻には子供がなく、彼の子であることを隠して、幸子を養女にしようとするのだが…」
高階良子先生の初期の作品の中から、怪奇色や異色な作品をまとめた単行本です。
怪談からサイコ・スリラー、ユーモアものからエキゾチックなファンタジーまでバラエティー豊かなのは流石!!
どの作品も後の作品につながる原石と言うべきものばかりで、ファンとしては非常に興味深いです。
また、「呪われた誕生日」「墓の中から」は、当時としてはキツいグロ描写もあるのも、後のトラウマ・メーカーとしての活躍を予感させます。
高階良子先生は様々なジャンルの作品を描いておられますが、やはり、幻想的なマンガ(怪奇、ミステリーやファンタジー等)が一番、水に合っていると感じました。
・備考
非常にボロイ。
2018年7月31日・8月6日 ページ作成・執筆
2021年2月16日 加筆訂正