日野日出志「骨少女」(1997年7月28日第1刷発行)

 収録作品

・「骨少女」
「市立保根小学校。
 太地マキはおデブな少女で、いつもからかわれていた。
 ある日、一念発起した彼女はダイエットに挑戦。
 一年かけて、ダイエットに成功したものの、今度は摂食障害にかかり、どんどん痩せていく。
 しかも、いじめられるストレスのせいか、身体中の肉が落ちて、骨がむき出しになるという奇病にかかる。
 一か月後、彼女は病院で全身骨となって息絶える。
 彼女の死を知り、彼女をいじめていた男子四人組は反省するのだが…」

・「赤いランドセル」
「市立所田小学校。
 5年1組の女子四人組が体育館横でお喋りしていると、浦見春奈が突然に現れる。
 彼女は急な引越しのため、クラスメートに挨拶もしないままであった。
 四人がちょっと目を離した隙に、春奈は姿を消し、ランドセルだけが残される。
 ランドセルは春奈の机の上に置かれるが、四人はどうも不審に思えて仕方がない。
 更に、四人は春奈の死体の幻を何度も見るようになる。
 浦見春奈の身に起こったこととは…?」

・「肉みどろ」
「第一話 姉の告白」
 沼田清子は市立旭ヶ丘中学校の教師。
 彼女はきれいで賢く、生徒からも同僚からも人気があった。
 しかし、そんな彼女に恐ろしい秘密があった。
 彼女は人里離れた一軒家に妹と共に住んでいるのだが、その妹の姿は…。
「第二話 妹の告白」
 妹は実は寝たきりで、姉によって生かされていた。
 彼女の目に映る姉の本当の姿とは…?
「第三話 医大生の告白」
 城南女子医科大学。
 ある一室に沼田清子という元・中学教師の女性が監禁されていた。
 彼女の病状は悪化する一方だが、ある日、遂に…。

・「翠流るる果てに」
「新津臨海学校。
 一日目の夜、山田一郎は海からの水死人の群れに襲われる夢を見る。
 翌日、自由遊泳の時間、彼はいつの間にか境界ブイのところまで流されてしまう。
 海中には水死人たちがおり、彼は水中に引きずり込まれる。
 気が付くと、そこは沈没船が幾つも浮いている「海の墓場」であった。
 沈没船の中に、亡くなった父親が船長をしていた船を見つける。
 肩に手をかけられ、一郎が振り向くと、そこに船長姿の父親が立っていた…」

・「切り裂きX」
「私立花園女子高校。
 星さとみは成績はトップ、スポーツは万能、そして、美人とあって、学園の人気者であった。
 しかし、彼女の机に「切り裂きX」を名乗る人物から、彼女の呪う人形や動物の死体が入れられるようになる。
 彼女を親友の黒田ゆきや担任の男性教師は励ますが、彼女の疑心暗鬼は募るばかりで、奇怪な幻想を見るようになる。
 「切り裂きX」の正体は…?」

・「いも虫」
「中学校一年生のまゆ子は「いも虫」少女。
 彼女は自分の部屋で蝶や蛾の卵を孵し、幼虫を大事に育て、成虫にして放すことが楽しみであった。
 しかし、彼女の趣味を理解してくれる人は皆無で、家にも学校にも彼女は厄介者扱い。
 ある日、父親に虫を捨てるよう言われ、彼女は部屋の幼虫を森の中に捨てる。
 だが、どうしても幼虫たちを放ってはおけず、学校を休んで森に通う。
 遂に家におれなくなった彼女は森に向かうが、幼虫たちは蝶となって旅立った後であった。
 孤独と絶望に苛まされながら、彼女が歩いていると、巨木の根元のウロが目に入る…」

・日野日出志・後書き「虚構と現実の違い」
 「良識的社会とその市民」、「良識的マスコミとマスコミ人種」に対し、「虚構」が「現実」の恐怖を生むのではなく、「現実」の恐怖を描いたのが、マンガ、映画、小説といった「虚構作品」だと訴える文章。私も同感です。

 日野日出志先生による「後書き」がクール!!
 何度も煮え湯を飲まされただけあって、その憤怒は本物だが、決して取り乱すことなく、冷静に読者に語りかけてくる。
 そして、今、「良識的社会とその市民」、「良識的マスコミとマスコミ人種」は化けの皮が剥げつつある一方で、日野先生の評価は確立され、作品は広く読まれ、様々な観点から批評されいる。
 「良識」というものも虚しさよ…。(注1)

・注1
 「良識」というものに対して否定はしない。
 でも、それに隷属し、他者の価値観に「不寛容」にならないよう肝に銘じるべきことだと思う。
 とは言え、それが本当に難しいのだが…。

2023年7月14・15日 ページ作成・執筆

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