谷間夢路「恐怖 死霊の闇」(1991年7月25日第1刷発行)
収録作品
・「東京都死霊区」
「東京の学校に転入した立花由加。
彼女の父は会社社長で、地方から東京へ移り、家を構える。
早速、隣席の久住桃子と意気投合した由加は、桃子の所属するオカルトクラブに入部することとなる。
だが、転校したばかりの由加を「ね暗クン」とあだ名される名倉竜平が由加を音楽部に勧誘する。
桃子が断ったものの、オカルトクラブの部長によると、由加と竜平は生年月日、産まれた時間、血液型まで一致しており、マジメ人間の竜平は霊に憑りつかれているらしい。
その日、由加は桃子を家に招き、一緒に入浴する。
風呂場で二人は、東京大空襲の際に亡くなった人たちの霊に襲われる。
彼女の家が建てられた土地は、地縛霊で満ち溢れていたのであった。
以来、由加は様々な怪奇現象に襲われるようになり…」
・「海からくる」
「由起の住む町には「自殺の崖」と呼ばれる崖があった。
そこから飛び降りた自殺者の死体は、ここ最近、海流の流れが変わったこともあって、上がることはない。
ある日、由起と夏江は、自宅で長期療養している香から、奇妙な相談を受ける。
インターンをしている、彼女の兄が、地下で、自殺者の死体を解剖していると香は訴えるのだが…」
・「あちらの世界」
「新聞部部長の柏原由起は担当の早坂先生と相思相愛の仲。
ある日、早坂先生に想いを寄せる、新聞部部員の牧原利子は、二人のキス・シーンを見て、ショックを受ける。
その場にい合わせた教頭は利子に、早坂先生を彼女と付き合わせると約束し、その見返りに、肉体関係を要求。
だが、三か月経っても、教頭は約束を守らず、利子はお腹の子供を盾に教頭を脅迫する。
追い詰められた彼は、利子と由起を殺害し、早坂先生を自殺に偽装しようとするが…」
・「心霊写真の怪」
「由理は別荘で撮った写真には女性の顔らしきものが写っていた。
彼女は、友人が供養するよう勧めるにもかかわらず、ホラー雑誌に投稿しようとする。
そんな時、姉の婚約者が、結婚式を目前にして、交通事故死。
更に、サッカー部のボーイフレンドが怪我をして、破傷風で入院。
由理は心霊写真の祟りと思い、写真を焼くが、怪異は一向にやまない…」
・「鬼面石」
「美奈子の田舎の家は大きな武家屋敷。
彼女は庭の奥に、人の顔のような飛び石を目にする。
「鬼面石」と呼ばれる、その石にまつわる因縁話とは…」
つげ義春先生の作品に同じタイトルのものがありますが、そのまんまです。
・「悪霊キューピッド」
「金沢由紀は、キューピッドを集めるのが趣味。
彼女の誕生日、親友二人が、彼女にキューピッドのブロンズ像をプレゼントする。
それは、古道具屋で千円で売られていたものであった。
年代物と喜ぶ由紀であったが、以降、不吉なことが彼女の周囲で多発する。
キューピッドの正体とは…?」
・「先生が腐る!」
「夏休み、お化け大会でお岩さんに扮して以来、由美先生の周囲では奇怪なことが起こる。
彼女には田村先生という婚約者がいたが、彼に想いを寄せる女生徒が次々と怪死。
由貴は、お岩の祟りではないか?と由美先生のもとに御守を持って、訪れるが…」
どの雑誌に掲載されたものか、ちゃんと確認を取っておりませんが、桃園書房から出ているせいでしょうか、女性のヌードが多いです。
描きとばしたような描線であるにもかかわらず、あれほどの肉感を出せるというのは、流石です。
ちなみに、ホラー映画から引用したと見られる描写。(まだ他にもたくさんあるような気はしてますが…)
・「海からくる」p35→「クリープショー」
・「海からくる」p40→「バスケットケース」の女医(っぽいが違うかも…)。
・「心霊写真の謎」p124→ルチオ・フルチの「ビヨンド」のゾンビ
・「悪霊キューピッド」p147→「ヘルレイザー」だと思うが…。
・「悪霊キューピッド」p158→「13日の金曜日」(片目に矢の刺さった死体は関よしみ先生の「魔少女のおもちゃ箱」にも影響を与えてますよね。)
2018年6月6・11日/8月30日 ページ作成・執筆