白川まり奈「どんづる円盤」(1978年6月15日発行)
「奈良県二上山にある、どんづる峰。(注1)
そこにある「鬼の壁」という岩の上に、斉藤もとむ(注2)は宇宙人のメッセージを視る。
このメッセージはカメラによる念写には現れるが、普通の人の目には見えない。
そして、そのメッセージとは、8月8日午後8時にどんづる峰にUFOが現れるというものであった。
東京に住む、UFOマニアの佐田雅男は友人のもとむから手紙をもらい、妹のミチルと共に彼のもとを訪れる。
もとむは超能力少年に祭り上げられ、当の8月8日、どんづる峰にUFOマニアだけでなく、マスコミが殺到。
しかし、8時になってもUFOは現れず、急な大雨に襲われ、大混乱。
結局、UFOは出ずじまいであったが、あの混乱の後で、マスコミ関係者や近所の人間が何人かが行方不明となっていたことが判明。
また、その後もどんづず峰で観測を続けていたUFOマニアも幾人か姿を消す。
夜更けに散歩をしていた、雅男の妹のミチルも失踪し、彼女を探していた、もとむの父もまた行方がわからなくなる。
翌日、どんづる峰に光るものを見た、もとむと雅男は、そこで墜落しているUFOを発見する。
宇宙人の正体とは…?
そして、彼らがこの地上にもたらしたものとは…?」
断言します、大傑作です!!
白川まり奈先生の「円盤三部作」の中で最も完成度、エンターテイメント性、そして、トラウマ度の高い作品でしょう。
何が凄いかって、巨大な「○○○○」が群れをなして、襲いかかってくる描写がいや〜、もう…。(ネタばれ防止のため、伏字にしております。)
白川まり奈先生の絵柄は楳図かずお先生タッチと評されておりますが、学校に立てこもって、巨大○○○○と竹ヤリと火炎瓶で応戦するくだりは、やはり「漂流教室」の影響なのでありましょうか?(何故に学校に籠城するのか、あまり説明はありません…。)
とにもかくにも、ちっちゃな○○○○にもキャーキャー言ってるようなお人が読むと、確実に泡吹いて、ひっくり返る内容です。
私は汚いアパート暮らしをしておりましたので、そこまでヤワではありませんが、このラストは読むたびに「海老反り」です。
あと、宇田川岳夫氏は「ストーリは永井豪の「鬼」に(…)似ている」(注3)と指摘しておりますが、今回、チェックできませんでした。すみません…。
この作品は復刻されておりますが、この作品は「人喰い円盤」の続編的な内容となっておりまして、登場人物や設定が一部、共通してます。
併せて観賞すると、ラストの未来人類の運命についての説明がわかりやすくなりますので、もしも機会がありましたら、どうぞ。
ちなみに、左上の表紙画像でありますが、これは後期バージョンです。
前期は白川まり奈先生による、味のあるイラストだったのに、後期は売り上げを伸ばそうと画策したのか、「サイファイ」なイメージとなってます。
でも、ページを開くと、巨大な○○○○が…。
・注1
ネットで調べたら、屯鶴峯(どんづるぼう)というのが実在するそうです。
過去、関西に住んでいた時にでも、行ってみたらよかったな〜。
・注2
斉藤もとむの住所は「奈良県北葛城郡当麻町」(p30)。
・注3
宇田川岳夫「マンガゾンビ」(太田出版/1997年8月19日初版発行)p154より引用いたしました。
・備考
後ろの袖に折れ痕あり。
2017年4月21日 ページ作成・執筆