御茶漬海苔「童鬼@」(1998年8月9日発行)

 「童鬼」は絶望した少女のもとを訪れる。
 彼との取引が少女達にもたらすのは、救いなのか、それとも、破滅なのか…。

・「菜月」(「LCミステリー別冊ホラー&サスペンスEX」1994年8月掲載)
「中学三年生の絵上菜月は家にも学校にも居場所がなかった。
 学校ではいじめにあい、家では母親と妹に責められる。
 彼女の唯一の避難場所は森の中にある廃屋で、夏には蝶や虫でいっぱい集まり、彼女は楽しい時を過ごす。
 夏のある日、彼女の前に不思議な少年が現れる。
 彼は「菜月の味方」だと話し、友だちになってくれるよう頼む。
 翌日、菜月をいじめていた女子生徒二人がプールで惨殺死体となって発見され…」

・「死神先生」(「LCミステリー」1996年5月号掲載)
「渡田静子は厳格な両親に育てられ、委縮しがちな少女。
 教王女子中学校に入学するが、彼女の担任は「死神」という綽名の鬼教師であった。
 早速、静子は目を付けられ、初日からボコボコにされる。
 放課後、見知らぬ少年が彼女の前に現れる。
 彼は彼女の片目と引き換えに、死神先生を殺してやろうと提案する。
 静子が死神先生にも家族がいると断ると、少年は「ぶてないよう」「こらしめておいてやる」と言うのだが…」

・「赤絵お姉さん」(「LCミステリー」1996年6月号掲載)
「村田白代は青島中学校に通う女子中学生。
 彼女はある青年に恋をしていた。
 彼とは毎朝、通学の途中のバスで見かけていたが、名前すら聞けないまま。
 白代の誕生日、姉が恋人を家に連れてくる。
 姉の恋人は白代が想いを寄せている青年であった。
 嫉妬に苦しむ白代の前に、見知らぬ少年が現れる。
 彼は片目と引き換えに、姉を殺してやろうかとしつこく絡み…」

・「妖怪童鬼」(「LCミステリー増刊超怖い学校の怪談VOL.1」1996年6月掲載)
「星山中学校。
 放課後の女子トイレで、千代子は絵里子たち三人にいじめられていた。
 その女子トイレはいじめをすると、妖怪が出ると噂されていたが、いじめっ子たちは気にしない。
 いじめっ子たちが立ち去った後、仮面をつけた少年が千代子の前に現れる。
 少年の名は「童鬼」。
 彼は片目をくれたら、「しかえし」をしてやると話し、トイレを出ていく。
 しばらくして、彼が戻って来ると…」

・「食中虫」(「LCミステリー」1996年7月号掲載)
「東京中学校。
 太木デブ子は超メガ盛りおデブさん。
 憧れの長井に笑われたと思い込み、痩せたいと願うものの、食欲を抑えることがどうしてもできない。
 そんな彼女の前に、童鬼と名乗る少年が現れる。
 童鬼はデブ子に「食中虫」が入った瓶を見せ、これを飲めば一日で痩せられると言う。
 彼の言葉を信じ、デブ子を「食中虫」を飲むと、あっという間にスリムになる。
 こうして「食っても食っても太らない」身体になったのだが…」

・「プール」(「LCミステリー」1996年8月号掲載)
「ハリス学園。
 水代は青子と黒美の二人組にいじめを受けていた。
 体育の授業の水泳で二人は水代をプールに沈め、水代は意識不明となる。
 青子と黒美は水代が一人で潜ったと嘘をついて、知らん顔。
 一方、救急病院の水代の病室に童鬼がやって来る。
 童鬼は水代の意識に潜り込み、あとで目玉をもらう代わりに「しかえし」をする…」

・「妖怪井戸」(「LCミステリー」1996年9月号掲載)
「古井戸女子中学校。
 この学校の裏には「妖怪井戸」というものがあり、この中にいけにえを落とせば願いが叶うと言われていた。
 ある日、いじめっ子二人が菊子という少女を学校裏に連れてきて、妖怪井戸に突き落とす。
 そばには菊子の友人の立花理佐もいたが、いじめっ子たちが怖くて、何もできない。
 菊子は井戸に落ちた拍子に頭を強打して死亡。
 理佐はいじめっ子たちに脅され、菊子が一人でとび込んだと警察に嘘の証言をする。
 帰宅後、理佐は罪悪感に苛まされる。
 そこに見知らぬ少年が現れ、片目をくれたら、あの二人に「しかえし」をすると提案する。
 ただし、それには、あの二人に本当のことを警察に話すと言うことが条件であった…」

 御茶漬海苔作品の代表キャラの一人である「童鬼」。
 1980年代から描かれておりましたので、作者にとって愛着のあるキャラのようです。(東京三世社版「童鬼」を参照のこと)
 「菜月」では可愛らしい少年だったりしますが、基本は、小さな身体にダブダブの服を着た、小憎たらしい(老け顔の)少年で、願いを叶える代わりに、片方の目玉を寄こすよう要求してきます。(舐めると甘いとのことです。)
 あとがきによると、「童鬼は子供の心の中にある鬼の部分」とのことで、子供の「心の闇」が作品のテーマなのでありましょう。
 また、身体の一部を失って、絶望から救われるという展開も何か象徴的な意味があるような気がしております。(が、浅学故に、頭の中のモヤモヤした考えをうまく言葉で表せず、悔しい…。)

 スコラ社のSLC・LCミステリーシリーズ版「童鬼@」と同内容ですが、あとがきは書き直されております。

2023年6月9日 ページ作成・執筆

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