鹿野景子「ギロチン女」(1992年9月16日第1刷発行/原作・唐沢俊一)

 収録作品

・「ギロチン女」
「其田奈美は、ヤクザの花輪への借金返済のために、レース本命の馬に薬を打とうとして失敗。
 獣姦ビデオで雄馬の相手をさせられ、性器をむちゃくちゃにされてしまう。
 そんな彼女を時広整形外科の院長が引取ってくれる。
 彼は彼女に復讐の話を持ち掛け、全く別人の顔に整形手術を施す。
 更に、彼女のお股に刃物を仕込み、力を入れると、仕掛けが動くようにする。
 奈美は、花輪の一味を誘惑しては、「切断」していく…」

・「鳥葬の谷」
「雨井真澄と紀久子は幼い頃からレズビアンであった。
 だが、成人してから、真澄には桧葉(ひば)伸吾という好きな人ができる。
 紀久子は応援すると口では言いつつ、内心では嫉妬に燃え、桧葉伸吾の殺害を目論む。
 一方、真澄は、死んだ父親の書籍を整理していた時、日記から恐ろしい事実を知る。
 それは、A県に遺跡調査に行った時、若い娘を生贄にした後、鳥葬にする部落があった。
 父親は、いずれ生贄となる予定の幼女を連れて逃げたのだが、その幼女が真澄だったのである。
 そして、その部落出身の桧葉伸吾は、真澄と勘違いして、紀久子を拉致。
 真澄は、桧葉の同僚の池崎春弥と共にA県に向かうのだが…」

・「蛇が!蛇が!」
「医師の叶数彦を巡り、院長の娘、摩耶と、天才医学者の祐子が火花を散らす。
 数彦はのらりくらりと明言を避けるが、実際は、看護婦の二三子とできていた。
 ある時、摩耶が交通事故を起こし、脳に重大な損傷を負う。
 彼女の治療を申し出たのは、祐子であった。
 祐子は、蛇の脳の研究をしており、それを摩耶に応用。
 摩耶は意識を取り戻すのだが…」

・「ライオンのたてがみ」
「鈴江美紀は、銀行の支店長の夫を持ちながら、全くときめかない。
 ある日、隣人の川尻夫人の紹介で、フィットネス・クラブの特別会員となる。
 そこでコーチをしていたのは、大学時代の友人、三田であった。
 彼は彼女への想いを打ち明けてくるが、彼女は不倫も離婚もする勇気はない。
 ある日、美紀と三田が海岸にいた時、川尻夫人の水死体を発見する。
 その死体には、サイアネア・カピラータ(別名・ライオンのたてがみ)という毒クラゲが貼りついていた。
 川尻夫人は、フィットネス・クラブのオーナーが地下にミニ水族館を持っていると話していたのだが…。
 フィットネス・クラブの秘密とは…?」

・「肉魔」
「良一は、モデルの朱鷺百合絵に夢中。
 彼女に何度もプロポーズするものの、返事はずるずると引き伸ばされ、また、家にも決して招いてくれない。
 物足りなさから、同じモデルの美希と浮気しても、百合絵の身体の方が圧倒的に魅力的で、物足りない。
 ある日、芸能雑誌に、百合絵と美希がレズビアンなのではないか?という記事が載る。
 良一は百合絵を問い質すと、彼女は記事を否定し、彼を彼女の家に招く。
 郊外の家に向かう途中、彼女は、三年前、狩猟マニアだった当時の彼とアフリカ旅行に行き、シマウマを食べた話をする。
 そして、彼女の家には、輸入された食用犬が何匹もケージの中に閉じ込められていた。
 百合絵は一匹を撲殺・解体し、料理する。
 彼女の「精力」の秘密を知った良一は、美希に惹かれるようになるのだが…」

 鹿野景子先生の元・亭主だった唐沢俊一氏により何度も紹介されて、有名な「ギロチン女」。
 これ以外の作品も、強烈なエロ・グロ描写と「破天荒」すれすれの奇想が冴えまくって、(人を極端に選ぶとは思いますが)かなりの面白さです。
 個人的には、奇習の伝わる村を描いた「鳥葬の谷」と、唐沢版蛇女の「蛇が!蛇が!」が好みです。
 今から思うと、1995年頃から発行されるレディース・コミック雑誌「恐怖の快楽」を先取りしたような内容だなあ〜。

2020年10月12・15日 ページ作成・執筆

その他の出版社・リストに戻る

メインページに戻る