山岸凉子「白眼子」(2000年12月5日第一刷発行)
収録作品
・「白眼子」(「月刊コミック トムプラス」2000年5月号〜9月号掲載)
「昭和二十一年(1946年)十月。北海道の小樽。
四歳か五歳ぐらいの少女が市場で人を待っていた。
だが、待ち合わせ場所がわからなくなり、寒さに震えていたところ、ある人物に拾われる。
その人物は白眼子と呼ばれる盲目の男性で、その運命観相は北海道中に知られていた。
彼は、ある人物の持ち物を手に取るだけで、相手の生死や運命を視ることができる。
また、病気治癒の祈祷や、亡くなった人に夢の中で会うといったようなことも請け負っていた。
拾われた少女は「佐々木光子」と命名され、白眼子のもとへ客を案内する役目を担当する。
佐々木姉弟(姉の加代と白眼子)のもとで、光子は成長し、八年後の昭和二十九年(1954年)、小樽から札幌に引っ越す。
光子が17歳の時、彼女に大きな転機が訪れるのだが…。
白眼子が彼女を身近に置いた理由とは…?」
・「雨の訪問者」(「月刊セブンティーン」1979年7月号掲載)
「糸井久仁子は市役所に勤める女性。
年は40歳ぐらいだが、結婚する気は全くなく、一人気ままな生活を楽しんでいた。
ある雨の日、彼女が帰宅すると、部屋の中に一人の少女がいる。
少女は「ベル」と名乗り、自分の家のようにくつろいでいて、全く遠慮というものがない。
迷子と思い、どこから来たのと聞いても、ずっと一緒に住んでいたと答え、ヘタなことを言うと、泣かれてしまう。
散々、ベルの我がままに振り回された後、久仁子は近所に迷子がないかどうか尋ねに行くが、いつの間にかベルの姿は消えていた。
翌日、仕事から帰ると、また部屋にベルがいる。
子供の相手は厄介だが、それでも、世話せずにはいられない。
神出鬼没の少女、ベルの正体は…?」
「白眼子」は、盲目の占い師と彼に拾われた少女のふれ合いを描いた、深く、不思議な人間ドラマです。
山岸凉子先生の心霊漫画はトラウマ度の高いものが多く、敬遠されている向きも多いようですが、そんな方にもこれはお勧めできます。
ラストは泣けます!!
「雨の訪問者」は、トルーマン・カポーティ「ミリアム」から着想を得たのでしょうか?
山岸凉子版の方はハート・ウォーミングな仕上がりとなっております。
2022年12月26日 ページ作成・執筆