了春刀
「イビツ@」(2010年8月21日初版発行)
「イビツA」(2010年9月25日初版発行)

 単行本@
・「第1話 ゴミ捨て場の少女」(「ヤングガンガン」2009年20号)
「デザイン専門学校に通う伊藤和樹。
 ある夜、彼がアパートに帰ろうとすると、アパート前のゴミ捨て場に、ロリータ・ファッションの少女が座り込んでいた。
 とても汚く、膝には、汚いクマのぬいぐるみを抱き、傘を持った右手の二の腕には深い傷が縫われてあった。
 和樹は無視して通り過ぎようとするが、突如、少女が「ねぇ 妹いる?」と尋ねてくる。
 思わず「いるけど…」と答えるが、これが全ての惨劇の始まりであった。
 「怪奇ロリータ」の都市伝説とは…?」
・「第2話 侵入する少女」(「ヤングガンガン」2009年21号)
「和樹には、ヒカリという妹がいた。
 彼は、彼女が自分の部屋を掃除していると考えていたが、それはロリータ少女の仕業と気付く。
 その時、ヒカリは彼の部屋に忘れ物を取りに行っていた…」
・「第3話 遭遇する少女」(「ヤングガンガン」2009年22号)
「和樹の部屋で、ヒカリはロリータ少女と出会う。
 戸惑いながらも、ヒカリは食事を御馳走することになる。
 兄が帰ってくるまでの時間稼ぎに、ヒカリは兄について話すのだが…」
・「第4話 決意の少女」(「ヤングガンガン」2009年24号)
「部屋に戻った和樹は、ロリータ少女から妹を守る。
 だが、逆に、ロリータ少女は、彼に「いい妹」と認められたと喜ぶ。
 和樹が、自分は彼女の兄ではないと否定すると、ロリータ少女の様子がおかしくなる。
 和樹とヒカリは部屋から逃げ出し、警察を呼ぶのだが…」
・「第5話 鉄槌の少女」(「ヤングガンガン」2010年1合併号)
「この件で、ヒカリはしばらく学校を休む。
 ある日、彼女は、バスケ部のユカから、夏休みの合宿についての部活会議に出席するよう求められる。
 ヒカリは学校の体育館でユカと会うが、ユカはそんな電話はしていないと言う。
 ヒカリが兄のストーカー被害について話すと、ユカは都市伝説の「怪奇ロリータ」ではないかと指摘する。
 その頃、ロリータ少女は着々と計画を進めていた…」
・「第6話 追いつめる少女」(「ヤングガンガン」2010年3号)
「閉鎖された学校。
 その中で、ヒカリとロリータ少女の鬼ごっこが始まる。
 ヒカリは逃げ切れるのか…?…」
・「外伝・人形回廊 〜イビツ異聞録〜」(「増刊ヤングガンガン」2009年7号)
「四人の高校生(ユウジ、サトシ、カオリ、有希)は、夏休みのある夜、肝試しをすることになる。
 場所は、高速のそばの幽霊が出ると噂の廃ビルであった。
 中に入ると、焼け焦げた人形が至るところにある。
 このビルは、三笠井という人形師の持ち物であったが、ここで焼身自殺をしたという。
 また、ここには「幸せの壁」という都市伝説があった。
 最上階の壁にカップルで名前を書くと、ずっと一緒に幸せになれると言う。
 四人は、ユウジ・カオリ、サトシ・有希の二組に分かれて、別々に最上階に向かう。
 だが、途中、ユウジが何者かに襲われ、行方不明となる。
 サトシ達は彼を捜しに上階へと向かうのだが…。
 このビルに潜むものとは…?」

 単行本A
・「第7話 扉越しの少女」(「ヤングガンガン」2010年4号)
「和樹は部屋に、友人の美山と一緒にいた。
 美山はインターネットで「怪奇ロリータ」について検索する。
 すると、ロリータ少女に「妹はいない」と答えた男性は皆、変死していた。
 だが、「いる」と答えたら、どうなるかはネットには載っていない。
 そこに、ロリータ少女が訪ねてくる…」
・「第8話 病院の少女」(「ヤングガンガン」2010年6号)
「ネットのわずかな情報を頼りに、和樹、美山、後藤の三人はI市のK病院を訪れる。
 そこは、数年前、医師の一人が異常をきたし、患者を次々と刺殺した後、自殺したという事件のせいで閉鎖されていた。
 探索するうちに、彼らは、ある部屋の壁際に死体袋があるのを発見する。
 何か動いたようなので、恐る恐る近づくと…」
・「第9話 記憶の中の少女」(「ヤングガンガン」2010年7号)
「友人達とはぐれた和樹が逃げ込んだ先は、患者の病室であった。
 壁には「お兄ちゃん」の言葉がびっちりと書き込まれ、生爪が幾つかめり込んでいた。
 壁際の机の引き出しから、和樹は、古びた手帳を見つける。
 その手帳は、臨床心理士の田辺という人物のものであった。
 その手帳には、K県一家惨殺事件の唯一の生き残りである少女について書かれていたのだが…」
・「第10話 狂乱の少女」(「ヤングガンガン」2010年8号)
「病室で、和樹は、ロリータ少女と対峙する。
 彼は、手帳で知った事実を彼女に突き付け、自分に何かを求めても無駄だと諭す。
 それを聞いたロリータ少女は一段と様子がおかしくなり、猛然と彼に襲いかかってくる…」
・「第11話 悪夢の少女」(「ヤングガンガン」2010年10号)
「目が覚めると、そこは我が家の自室であった。
 母親によると、夜中に友人が家まで運んでくれたらしい。
 悪夢は終わったと彼は安堵するのだが…」
・「第12話 監禁の少女」(「ヤングガンガン」2010年11号)
「囚われの身となった和樹。
 彼は「妹」の絵を描かせられては、凄惨な虐待を受ける。
 ボロボロになった彼は、田辺という医者の手帳に手掛かりを求めるが…」
・「最終話 少女の噂」(「ヤングガンガン」2010年12号)
「女子高生達の間で囁かれる「怪奇ロリータ」の噂。
 それが噂なのか、本当なのか、知るのは、ぬいぐるみのみ…」
・「外伝・編集奇譚 〜イビツ異聞録」(「増刊ヤングガンガン」2010年10号)
「連載を打ち切られ、仕事のない漫画家、佐野進。
 彼のもとに、ある編集者から連絡があった。
 それは、少年アクセル編集部の翠川瑠綺奈というおデブ、かつ、得体の知れない女性であった。
 彼女は彼の大ファンだと言い、「有栖優」というキャラで「恋愛もの」を描いてほしいと依頼する。
 彼は「恋愛もの」は描いたことがなかったが、彼女は自作の膨大な設定資料を渡して、イメージを掴むよう言われる。
 生活がギリギリだったこともあり、彼はどうにか漫画にしようと努めるのだが…」

 「都市伝説もの」の名作「イビツ」です。
 個人的には、「座敷女」+「ロリータ・ファッション」+「妹もの」+「バイオレンス」…といった印象を受けました。
 と言っても、二番煎じと貶めているわけではありません。ストーリーは「都市伝説」をうまく用いて、ミステリーとしても完成度は高いと思います。
 また、残酷描写はかなりのもので、恐ろしく陰惨なストーリーと相まって、後味は猛烈に悪いです。
 併録された外伝(「イビツ」とは直接的な関係はありませんが)の二編も出来が良く、「人形回廊」は個人的に「最恐な作品」の一つです。
 ホラー好きには胸を張ってお勧めできまる内容ですので、興味のある方はどうぞ。

2021年9月15日 ページ作成・執筆

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