日野日出志「怪奇!地獄まんだら」(1995年10月16日第一刷発行)
@「不思議な転校生」
板橋区立蓮根小学校。
あるクラスに、星小夜子という少女が転校している。
見るからに気味の悪い子で、両親が去年交通事故死して以来、一人で暮らしているという。
彼女は、クラスメートが誘っても、決して一緒に遊ぼうとはせず、いつも一人で過ごしていた。
ある時、クラスのガキ大将が、彼女が毛虫を食べているところを目撃する。
放課後、彼は彼女の後をつけて、正体を暴こうとするのだが…。
A「小夜子の秘密」
実は、小夜子は人間ではなく、妖怪大魔王ごんごろ三世の娘、「まんだら」であった。
話は百年以上も前にさかのぼる。
太古の昔から日本に住んでいた妖怪一族は、人間達に生活の場を奪われながらも、地下の世界で平和に暮らしていた。
しかし、幕末の頃、地殻変動により、地下世界は壊滅の危機に襲われる。
妖怪大魔王、ごんごろ三世が闇の神の像に祈ったところ、神託が下る。
それは、まんだらの両目を抉りだし、妖怪一族の血をかけた、闇の神の神眼と入れ替えよ、というものであった。
まんだらの眼窩で、神眼を千日間温め、その後、まんだらの眼と合体させれば、妖怪一族は全て蘇えるという。
早速、まんだらの眼を神眼と入れ替える儀式が行われるが、右目を移し替えた直後に大地震に襲われ、まんだらだけが地下世界から脱出。
彼女は自身で左眼を入れ替えようと思ったものの、物珍しい人間世界を見物しているうちに、肝心の神眼をなくしてしまう。
以来、彼女は神眼を探して、さまよい続けてきたのであった。
どうやら、小学校の近くに、右目の神眼があるようなのだが…。
B「地獄まんだら」
クラスで孤立していた、まんだらであったが、隣の席の田中という少年だけは彼女に親切にする。
だが、彼女には彼の親切が心苦しい。
何故なら、彼女に近づく人間は皆、不幸な目にあうからなのであった。
一方、田中は、ある夜、ゴミ捨て場で、不思議な玉を発見する。
その美しさに魅せられ、彼は玉を家に持ち帰るのだが…。
C「黒髪地獄」
念願の自転車を買ってもらい、有頂天な田中少年。
しかし、自転車をとばしていた時、曲がり角で少女に衝突してしまう。
血まみれになった少女を川土手に放置して、彼はその場から逃げ去るが、一部始終を、奇妙なカラスが見ていた。
以来、彼は、少女の幽霊や、彼女の黒髪に襲われるといった幻覚に悩まされるようになる…。
D「血吸い鴉」
学校を休んでいる田中を心配して、まんだらは彼を捜す。
田中から全てを聞き出し、まんだらは彼にその玉を持ってくるよう言う。
だが、田中は奇妙なカラスに襲われ、玉をなくしてしまう。
そのカラスは、日本妖怪の復活を阻止しようとしている西洋妖怪の一味、「血吸い鴉」であった。
まんだらは血吸い鴉の対決することとなる…。
E「さすらいのまんだら」
まんだらは、田中に別れを告げることなく、町から去る。
彼女のさすらいの旅はいつまで続くのだろうか…?
立風書房のレモンコミックスを復刻したものです。
復刻に際して、タイトルページ(2ページ)と巻末の「奇妙なものが私のまわりに…」が削除、また、カバー絵が描きなおされております。
それ以外に大きな差異はないと思いますので、少し大きなサイズで読みたい方には復刻本の方がお勧めです。
2020年9月17日 ページ作成・執筆