成毛厚子「化粧坂の首」(1992年11月16日第1刷発行)

 収録作品

・「化粧坂の首」
「新妻の真澄は妊娠三か月。
 夫の正隆は大喜びをして、出張の間、彼女を鎌倉の実家に預ける。
 鎌倉の実家には義母が住んでいたが、彼女は正隆の継母であった。
 正隆が十歳の頃、父親が亡くなった後、義母は華道を教えて女手一つで育て上げ、今も旧家を一人で守る。
 しかし、気高く凛とした義母も寄る年波のせいか、最近、ぼーっとすることが多くなっていた。
 真澄が鎌倉の実家に移ってから、彼女の前に着物姿の少女が幾度となく現れる。
 少女は真澄に敵意を抱いており、子供を産ませまいとするのだが…」

・「危険な玩具」
「智子の夫の伸宏は外面は有能な会社員であり、妻想いの家庭人。
 だが、その中身はずぼらで愚痴まみれで、妻のことは都合のよい家政婦ぐらいにしか思っていなかった。
 ある日、智子は会社に書類を届けに行き、夫が秘書と浮気をしていることを知る。
 頭に来て彼女は実家に帰り、荷物を取りに家に戻ると、家では伸宏と秘書の女性がお腹の赤ちゃんのことで口論をしていた。
 伸宏は女性を扼殺し、家庭菜園に埋めるが、それを智子は一部始終、目撃しており…」

・「贈り物」
「相川梢と久我慎介は婚約者同士。
 ただ、慎介はとても女性の間で人気があり、梢はヤキモキすることが多い。
 バレンタインデー、彼は手編みのセーターを贈られる。
 差出人は不明だが、彼の周囲で黒髪の地味な女を何度か見かけ、梢は慎介が二股をかけていると考える。
 彼を問いただしても、彼女は疑惑を拭うことができず、二人の間に隙間風が吹く。
 そんな時、彼女は道で見知らぬ中年女性と出会うのだが…。
 慎介にセーターを贈った女性の正体は…?」

・「夕魔暮れ」
「瀬口三奈子という若い女性が山小屋で目を覚ます。
 彼女は別荘で不倫相手の堀江貴志と会う予定だったが、ここは別荘番の矢崎の住居であった。
 矢崎によると、彼女は崖から落ちて、意識を失っていたという。
 彼女は別荘に行くが、貴志はまだ来た様子はない。
 仕方なく、別荘で彼を待つが、彼女の身に奇怪で幻のような出来事が次々と起こる。
 矢崎は、この森には『魔』が棲んでいて、昼と夜の狭間の夕暮れ時に時々見えることがあると話すのだが…。
 『魔』にとり憑かれているのは…?」

 個人的には、悪夢的な「夕魔暮れ」が単行本でのベストです。
 ラストも不思議な余韻があり、佳作と言っていいのではないでしょうか?
 あと、「危険な玩具」も夫の弱みを握った女性の心理を巧みに描いて面白いのですが、B級ホラーなラストが賛否分かれるかもしれません。(個人的にはあまり感心しませんでした。)

2026年3月23日 ページ作成・執筆

その他の出版社・リストに戻る

メインページに戻る