瀬川乃里子「モンスター in U.S.A.」(1989年6月30日初版発行)

・「フォラスの降りる地」
「ケニス・グローガンは雑誌「エッジ」のカメラマン。
 彼の撮る写真は血生臭いものが多く、彼自身もそういうものに惹かれていた。
 ある時、彼は女友達のエリザと仕事でシンシナティに向かう。
 途中、道路で車がバンクして足止めを食うが、パンクの原因は様々な生き物が彫りこまれた右手の像であった。
 近くに田舎町があり、エリザの友人であるジョンと出会う。
 ジョンはオカルト誌「プロムナイト」の編集長で、彼の曾祖父は有名な霊能力者であった。
 その曾祖父が、明日の1987年5月10日、「フォラス」が降りてきて、この町が血にまみれると予言する。
 ジョンは惨劇を阻止しようとしており、ケニスの車をパンクさせた右手の像は魔除けであった。
 その夜、二人は町の教会に泊めてもらう。
 そこにはレストランで出会ったマシュウという少年が牧師と共に住んでいた。
 牧師は温厚な人物であったが、甥のマシュウにつらく当たる。
 マシュウの父親は牧師の弟で、数年前に自殺した、悪魔崇拝者の画家であった。
 翌日、町から出る時、二人はマシュウの秘密を知るのだが…」

・「闇への誘い」
「ウォルトは「ラット」と綽名されるチンピラ少年。
 ある日、彼は愚連隊のレックス一味からダイヤモンドを奪い取るのに成功する。
 容疑はジョジョという青年にかかり一安心のはずだが、彼は罪悪感や無力感を感じ、内心穏やかでない。
 モヤモヤしながら路地裏を歩いていると、彼は死霊の世界に迷い込む。
 死霊たちは彼を仲間と呼び、気づくと、彼の右手は死霊たちのように干からびている。
 死霊たちは日没までウォルトが一番憎い相手をここに連れて来れば、八つ裂きにしてやると話す。
 ただし、連れてこれなかった時は八つ裂きにされるのはウォルトであった。
 彼はレックスを死霊たちのもとへとおびき寄せようとするのだが…」

・「求血」
「ジム・プライスはヴァレンテの花屋で働く青年。
 ヴァレンテはロッコ・ファミリーというマフィアの幹部で、ジムの親友、ニノはヴァレンテの長男であった。
 ジムとニノの経営する花屋はヘロインの密売に使われていたが、二人は犯罪には全く興味がない。
 ある日、花の配達のトラックに一人の娘が入り込む。
 娘の名はマリアであったが、どうも頭がおかしいようであった。
 ジムは自分が家主のマンションに彼女を連れて帰り、去年、自殺した妹の部屋に住ませる。
 妹が自殺した原因は精神分裂病で、ジムはマリアに妹の面影を重ね合わせる。
 その頃、FBIがジムに目を付けているのがロッコに知られ、彼に刺客が送られる…」

・「償いの刻印」
「カーラ先生は村人から信任の厚い女教師。
 彼女はショナという少女を引き取るが、ショナは夫のアルが町の女に生ませた娘であった。
 村人たちはショナに蔑みの視線を向けるが、クリスはショナに興味を持ち、彼女に優しくする。
 ショナは人の感情を読み取り、自分の感情をサイコキネシスとして発動させることができた。
 クリスはショナの能力に感激し、ショナもクリスの真心に慰められる。
 しかし、人々の「裏」の心にショナが追い詰められた時……」

・「アンダー・ドッグ」
「ディヴィット・マッケイは三等級刑事。
 彼は以前、相棒で一級刑事だったホルゲートを見殺しにしたと蔑まれていた。
 マッケイは二等級刑事のオーティ・ロンバルティと新人警官殺しの捜査を担当することとなる。
 新人警官は後ろから刺され、拳銃がホルスターごと奪われていた。
 不良少年集団の抗争からラティーノの少年、スエードに容疑がかかる。
 だが、マッケイが捜査を進めていくと、彼はとても臆病で、警官を殺せるような度胸は持ち合わせていない。
 警官殺しの犯人は…?」

・「瀬川乃里子全調書」
・「クエスチョン&アンサー」

 瀬川乃里子先生は現代アメリカを舞台にした繊細かつ哀愁漂う作品が多く、この作品集も同様です。
 最も出来が良いのは作者もお気に入りの「アンダー・ドッグ」でしょう。
 渋い刑事ミステリーで、ほろ苦いラストも絶品。(ただし、ホラーではない…。)
 個人的には、サイキック・ホラーの「償いの刻印」がベストですが、これまた、もの悲しいラストです…。
 もしかすると、瀬川先生はホラーよりも人間ドラマを描く方が向いていたかもしれません。
 それでも、手抜きなどせず、独自の作品を作り上げているところに好感を持ちます。

2025年9月24・26・27日 ページ作成・執筆

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