山口秋太郎「ならずの顎」(2014年7月24日初版発行)

・「第一話 起ノ章」
「地図にも載らない、秘境の村、飛緋村(とびひむら)。
 六人の大学生が夏休みを利用して、その村にキャンプに訪れる。
 彼らはゼミ仲間で、詳しいことは以下の通り。
・比嘉和泉(ひが・いずみ)〜主人公。暗い過去あり。
・如月八雲〜比嘉和泉の幼なじみで親友。飛緋村へのキャンプを発案。
・丹羽重吾〜体育会系の筋肉野郎。単細胞っぽいけど、他人を思いやれるナイス・ガイ。
・袴田慎一〜平凡な青年。書くことがあまりないキャラは当然、真っ先に殺される。
・瑠璃川ルリ〜高ビ〜で、ハデハデケバケバな娘。如月八雲に想いを寄せる。
・石野繭〜気弱で引っ込み思案な娘。ルリの近くにいつもいる。
 飛緋村は老人ばかりの、何のない村だが、森を抜けたところに奇怪な鍾乳洞があった。
 鍾乳洞の入り口は開いた口のように見え、「顎門(あぎと)」と呼ばれるらしい。
 急な雨に降られ、六人は鍾乳洞の中に入り、鍾乳洞の奥に進む。
 八雲は、この村には「顎くぐり」という風習があり、年に一度、村の繁栄を願い、「顎門」と呼ばれる洞窟に生贄を捧げる風習があると話す。
 途中、コウモリの群れに驚き、彼らは崖下に転落。
 そこの岩壁には少女が鎖で縛り付けられていた。
 更に、地面にはたくさんの頭蓋骨が…」

・「第二話 承ノ章」
「鬼の面を付けた連中が突如、暗闇から現れる。
 彼らは鉈や鎌で武装しており、明らかに和泉たちの命を狙っていた。
 和泉たちは彼らたちから逃げるも、逆に奥に入り込んでしまう。
 パニックを起こし、ルリは洞窟の少女を問い詰める。
 和泉が少女を落ち着かせ、彼女の名は「麻椰(まや)」ということはわかるが、それ以外については記憶障害を起こしているらしい。
 そこで、八雲はこのキャンプに来た目的を皆に明かす。
 彼の父親は洞木田義男という学者で、彼は飛緋村に来て、消息を絶っていた。
 彼が研究していたのは、大陸から渡来してきた食人族「亜鬼人(あぎと)」についてだったが…」

・「第三話 転ノ章」
「八雲は亜鬼人と共に崖に転落し、ルリと繭は二人だけで脱出の道を探る。
 彼女達は和泉たちをおとりにするつもりであった。
 繭はルリを「親友」だと考えていたが、二人の友情の真実の姿とは…?
 一方、丹羽重吾は麻椰に出口について尋ねる。
 すると、麻椰は顎を出たら、皆、食べられると答える」

・「第四話 血ノ章」
「状況は絶望的であった。
 和泉は脱出のヒントを考えるも、違和感は覚えるものの、はっきりとは掴めない。
 そんな時、麻椰の姿が見えなくなる。
 彼女は空腹を訴えていたのだが…」

・「第五話 鬼ノ章」
「和泉と麻椰は亜鬼人たちに追いつめられる。
 和泉は命に代えても、麻椰を守ろうとするが…。
 その頃、八雲は父親の死体を発見する。
 父親の遺したメモから彼は意外な事実を知る。
 飛緋村の人々が顎門に封印していたものとは…?」

・「第六話 最終話 生ノ章」
「炎に包まれる飛緋村。
 最後に生き残ったのは…?」
(「月刊コミックバーズ」2014年2月号〜7月号掲載)

 伝奇ものの入ったサバイバル・ホラーです。
 面白いとは思いますが、ちょっとボリュームに欠け、よく理解できない部分があります。
 一番のネックは、比嘉和泉の口に入った虫のようなものの説明は全くないこと。
 また、比嘉和泉や麻椰の過去についても、もう少し深く掘り下げて欲しかったところです。
 ともあれ、伝奇ミステリーの要素もあり、力作ではありますので、ホラー好きは読まれて損はないと思います。

2023年11月13日 ページ作成・執筆

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