山岸凉子「鬼」(1997年6月25日第一刷・1998年1月10日第六刷発行)

 収録作品

・「鬼」(「月刊コミックトム」1995年10月号〜1996年1月号掲載)
「とある美大のサークル「不思議圏」。
 その目的はその地に埋もれた故事・遺跡を検討することであったが、実際は旅行好きの集まり。
 三年生は、部長の中沢純司に、副部長の斉藤儀一(愛称、ギイ)。
 二年生は、美人の水野舞に、ボーイッシュな葉山あぐり、双子の姉妹の今井光と薫。
 そして、たった一人の新入部員は無口で不愛想な一年生の草薙宏を加えて、計七人。
 平成七年の夏、不思議圏の面々は、岩手県の山奥にある光林寺に向かう。
 旅行気分の彼らであったが、そこで禅の修行をする破目となる。
 しかし、住職の身重の妻は体調がすぐれず、緊急入院し、寺には彼らだけになる。
 彼らは寺の由来を調べるうちに、この寺は、飢饉で亡くなった人を供養するために建てられたらしいことを知る。
 更に、寺の近くにある「雀塚」には何か秘密があるようなのだが…。
 この地に潜む「鬼」の正体とは…?」

・「肥長比売(ひながひめ)」(「月刊コミックトム」1993年10月号掲載)
「肥長比売は出雲の豪族、岐比佐都美(きひさつみ)の末の娘。
 母親は巫女で、彼女を産むとすぐに亡くなってしまった。
 彼女は大勢の異母姉と一緒に育ったが、特に、雲照比売(くもてるひめ)が母親代わりであった。
 雲照比売の婚約者は月根王(つくねのきみ)という身分ある青年で、優しく洗練されており、娘達は皆、憧れる。
 しかし、月根王が戦死し、雲照比売は意宇の豪族と政略結婚させられる。
 野蛮人である夫を受け入れることができず、雲照比売は、月根王の思い出を胸に病死する。
 肥長比売が十六歳になった頃、岐比佐都美は大和に恭順を示すため、大和の王、本牟智和気(ほむちわけ)に彼女を差し出す。
 彼女は本牟智和気に月根王の面影を見出し、初めての恋に酔いしれるのであったが…」

 個人的な感想ですが、山岸凉子先生の心霊を扱った漫画は真に「スピリチュアル」だと思います。
 こういったものは霊能力云々でなく、「ハート」だと私は信じています。
 「鬼」のラスト、感動しちゃいました。
 また、どちらかと言うと、おちゃらけた雰囲気のある作品ですが、死者に足を掴まれる描写等、地味なのに、かなり不気味です。
 山岸先生の提示する「恐怖」は直接、肌に来ますね。凄い事だと思います。
 「肥長比売」は作者お得意の古代の日本を舞台に据えたものです。
 が、私、さ〜っぱりわかりません。(「日出処の天子」すら読んでない時点で論外です!!)
 作品のもととなったお話しがあるのでしょうが、お手上げです。
 でも、ストーリーの焦点は女性の嫉妬と独占欲で、山岸先生らしい作品かも。

2018年12月16日 ページ作成・執筆

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